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優秀な人材を自前で育てる

2019.04.09 08:33

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 新元号「令和」発表に沸いた4月1日。観光産業の労働組合を母体とする当組織にとって、注目すべき制度がはじまった。働き方改革関連法、そして改正出入国管理法の施行である。前者においては、年10日以上有給休暇取得の権利がある従業員の、最低5日以上の取得義務化の行方に注目している。使用者による「不利益変更」は起きないだろうか。「休日」を労働日としてその日を有休の取得としてしまう方法や、年末年始などの連続休暇制度を取りやめて有休指定するやり口などが想像されるが、果たして。当法人は経年的に大手ホテルチェーンから調査事業を受託している。昨年度の有休取得状況の回答結果をみると、10日以上付与されているにも関わらず取得日数がゼロと答えた組合員は実に25.2%にのぼった。その3年前の調査では33.8%であったため、取得率自体は「向上」しているものの、依然4分の1が未取得とあり課題視している。一方、後者については、安価な労働力に依存する力が働き、賃上げを阻害することにならないかが危惧される。また、「単純労働」から「特定技能」と位置づけを大転換する政策に、人材育成や日頃の教育を行う現場が対応し続けることができるものなのか憂慮せざるを得ない。

 
 そして、同じ日には改正学校教育法が施行され、専門職大学・専門職短期大学の設置が可能になった。新しい類型の大学制度創設は、短期大学制度創設以来55年ぶりなのだという。専門職大学は2校、専門職短期大学は1校が今年4月開設の運びとなるも、国が人材の育成が急務と位置づける「観光」の分野での開学は、残念ながら実現しなかった。来年2020年4月には、新潟県に「開志専門職大学」が国際観光学部を、香川県に「瀬戸内専門職短期大学」が地域観光学科を、それぞれ開設を目指している。


 ところで、新卒社員の採用に関わる昨今の報道では、「今の若者は行動の理由や目的を明示しなければ動かない」「理不尽なことでも昇進と引き換えに我慢してきた年長者と違い、自分の成長に役立つという納得感を欲しがる」と伝えられる。企業による一律の人材育成策には疑問が示されており、昔から何も変わらない新入社員研修や、キャリア観が明確な若い世代への一方的な配属先決定通知といったものは、馴染まなくなってきている。


 イメージ先行で相応に就活中の学生から人気を集めるツーリズム産業だが、人事賃金制度の見直しや中長期的な事業戦略の明示など、選ばれるための努力が圧倒的に求められるステージに入ってから相当な年月を経ている。だが、その処方箋が示されているようには思えない。イノベーションを起こすうえで多様性は必要だが、特定の職業のプロフェッショナルになるために必要な知識や理論に加え、実践的なスキルを身につけられるようなカリキュラムが組まれる専門職大学・専門職短期大学と有機的に連携した人材確保の必要性を感じずにはいられない。






TOPIC:A

野口観光、職業訓練校に調理科新設 入校式開催
2019.04.02(火)日本経済新聞より引用

野口観光(北海道登別市)は2日、苫小牧市内のホテルに併設している職業訓練校「野口観光ホテルプロフェッショナル学院」の入校式を開いた。今年度新設した総合調理学科の15人を含む47人の新入生を迎えた。2年間の学習課程を終えた後は同社の経営するホテルで引き続き働いてもらう。同学院は昨年4月に開校した。新入生を給与の出る正社員として採用しており、入学金や授業料は不要。学生寮を備え、卒業後は同業他社への就職も可能だ。昨年度は接客などを学ぶ総合ホテル学科に32人の1期生を迎えていた。今年度は調理学科を新設。調理師免許取得に必要な技能や語学、簿記などを2年間かけて学ぶ。





TOPIC:B

日航・赤坂社長「大学の設立検討」 外国人整備士、自前で育てる
2018.04.03(水)日本経済新聞より引用

日本航空の赤坂祐二社長は日本経済新聞のインタビューに応じ、外国人整備士を育成する「技術大学」の設立を検討していると明らかにした。2020年ごろの設立を目指す。4月の改正出入国管理法施行で外国人材の受け入れが始まる中、将来の整備士の人手不足をにらんで技能の取得段階から人材を囲い込む。赤坂氏は、「外国人を一本釣りで採用するだけでなく、最初から仕事に愛着を持ってもらう必要がある」と指摘。「技術を学ぶ場を自らつくってしまうことが必要だ。全日本空輸などほかの航空会社を含めて、様々な企業と連携できればいい」と述べた。