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マヤ

レンタ彼氏『OMI①』

2019.04.10 01:10

花冷えにしては寒過ぎる。



最寄り駅に着いてスマホを見た。



22:15分。



通勤帰りの人々も、改札を出て方々に散っていった。



「うー、寒い!薄いショール持ってくればよかった…」



スプリングコートが風に揺れ、体の芯から冷える。



線路づたいに100メートル程歩くと、右手に大きな公園が見えてきた。



夜も更けた公園に人影はない。



入り口に差し掛かったとき、すぐ後方に人の気配がした。



振り向くと、黒いパーカーを着た男が近づいてくる。



通勤帰りの人だろうけど、なんだか気持ち悪い。



公園を抜けるまで何事もないように。



祈るような気持ちで足早に公園を横切る。



後ろの男が迫ってくる。



痴漢だったらどうしよう。



背筋が寒くなる。



公園を抜けたら派出所があるから、そこまで何もありませんように…



きっと家路を急いでいる人だ。



でも、怖い。



こんな時、迎えに来てくれる彼氏がいたら…



「なぁ!」



後ろの男が声をかけた時だった。



「お帰り、遅かったから迎えにきた」



公園の出口で立っている影が私に言った。



え?誰…



to be continued…