複数治療歴がある卵巣がん患者へのニラパリブ単独療法、第2相試験において奏効率28%を示す
背景 再発卵巣がんの治療選択肢は限られており、三次治療後の全生存期間の中央値は5〜9ヵ月、奏効率は10%未満と低い。本研究(QUADRA試験)では、4次治療としてニラパリブ単独療法の有効性を調べた。
方法 QUADRA試験とは、再発性の高い漿液性(グレード2または3)の上皮性卵巣卵管を有する成人患者(18歳以上)、もしくは3レジメンの抗がん剤治療を受けた原発性腹膜癌患者を対象にしたニラパリブの安全性と有効性を評価する非盲検多施設共同第2相試験である。この研究は米国とカナダで行われ、56施設が患者をスクリーニングした(50施設が少なくとも1人の患者を治療した)これまでの3〜4回の治療歴があり、プラチナ感受性の患者(BRCAおよびBRCA突然変異を伴わない)への有効性を確かめるため、 28日を1サイクルとして1日1回ニラパリブ300mgを病勢進行または予期せぬ有害事象が発現するまで投与し、有効性について分析を行った。
調査結果 2015年4月1日から2017年11月1日までに、729人の患者に対しスクリーニングし、463人の患者が試験に参加した。463人の患者のうち151人(33%)はプラチナ抵抗性であり、161人(35%)はプラチナ耐性であった。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は28%(95%CI:15.6-42.6%,P=0.00053)で、全生存期間(OS)中央値は12.2ヶ月(95%CI:3.7-22.1ヶ月)を示した。治療に起因するグレード3以上の有害事象で最も多かったのは、貧血(463人中113人、24%)および血小板減少症(463人中95人、21%)で、重篤な有害事象は、小腸閉塞(463人の患者のうち34人、7%)、血小板減少症(463人の患者のうち34人、7%)、嘔吐(463人の患者のうち27人、6%)であった。なお、治療に起因する胃出血により1人の死亡が確認されている。
解釈 複数治療歴のあるプラチナ感受性の卵巣がん患者において、BRCA 変異の有無に関わらず、ニラパリブ単剤療法は有効性を示した。
翻訳:そら
原文(The Lancet Oncology)
https://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045(19)30029-4/fulltext