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九条 顕彰・台本置き場

【immortal game】

2020.06.06 16:44


※必ず規約を読んでから台本をご使用ください。分からないことがございましたら、TwitterのDMまでご連絡お願い致します。



こちらは声劇台本となっております。

コピーなどでの無断転載、自作発言、二次創作はおやめ下さい。

ネットでの生放送(ツイキャス等)のご使用に関しては自由です。

※YouTube等での音声投稿や有償での発表(舞台での使用等)に関しては作者の方に相談してください。

使用報告なしで構いませんが、なにか一言あるととても励みになります。飛んで喜びます。

物語の内容にそっていれば、セリフアレンジ・アドリブは自由です。

大幅なセリフ改変はおやめ下さい。




あらすじ

混沌の闇に包まれ、魔神族が人々を苦しめる世界。勇者も僧侶も魔法使いも、帝国軍ですらも、魔神族に皆殺しにされ、世界の平穏は失われたかに思えた…そんな人々の最後の切り札となったのは、何千年と牢獄に監禁されていた罪人達だった…



罪人1 オルトロス ♂

とある罪を犯し1000年の禁固刑に処されている不老不死の罪人。本人はもう歳を数えるのをやめた。


罪人2 サリエル ♀

死を司る大天使の名をもつ少女。名前のごとく、なんの感情もなしに人を殺す。ハーフエルフ。


罪人3 クロノス 不問

闇の魔法使い。帝国での人体実験がバレて監獄されていた。無機質な笑顔でニコニコしている。


魔神族の長 ヴェノム ♂

世界を蝕んだ魔神族の長。傲慢で、人間はクズで魔神族以下の存在だと思っている。ヴェノム役の方はナレーション兼ね役でお願いします。



※空白の間の[]←こちらの文章はト書なので読まないでください。



役表

オルトロス:

サリエル:

クロノス:

ヴェノム・ナレ:





台詞



ナレ:レム暦(れき)、2550年……地上は、黄泉世界(アンダーワールド)からやってきた魔神族(まじんぞく)により、世界は一時(いっとき)の平和を奪われた…この窮地(きゅうち)を脱出するべく、帝国は人々を守るため、他国と協力し、魔神族を駆逐(くちく)しようとした、が、その圧倒的な力により、軍隊は壊滅(かいめつ)……世界は、魔神族に支配されてしまった…かに思えた…




オルトロス:…はぁ?この俺に、世界を救え、だァ?




ナレ:人々の最後の切り札となったのは、聖剣を持つ勇者でも、杖をたずさえる賢者でもなく、何千年もの間、帝国の監獄(かんごく)に囚われていた、罪人達だった…





[道中、3人組が話し込んでいる]





オルトロス:はぁ~あ…久しぶりに娑婆(しゃば)の空気吸えると思って、帝王に従って素直に出てみりゃ、いきなり世界を救ってくれ、だもんなぁ…俺が監獄(かんごく)されてる間、一体外は何がどうなってやがるんだよ…ああ~、めんどくせぇ…


サリエル:…でも、その代わり…私たちは自由の身になる…そう帝王が保証(ほしょう)したわ…


クロノス:そんなの、絶対嘘に決まってますよ、どうせ、またボクらを檻(おり)に投獄(とうごく)する気だ


サリエル:…まあそれも、世界を救ったあとのはなし…なんだけどね 


クロノス:けど、なんでボクらなんでしょうね、他にも、世界を救える人はいくらでもいたでしょうに


サリエル:あら…何、怖いの、坊や?


クロノス:…そっちこそ、臆病風(おくびょうかぜ)に吹かれて逃げないでくださいよ…お嬢さん


オルトロス:はぁぁ…何がめんどくせえって、こいつらと一緒に行動すんのが1番めんどくせぇ…


クロノス:それはボクも同じですよ、まさか、みんな同じ監獄の囚人だったなんて…しかも揃(そろ)いも揃(そろ)って帝王に同じ命令を受けていたとは…いっその事、このままどこかに行きませんか?


サリエル:…まあ、こっちは監視(かんし)の呪文をかけられてる身だし、どっちにしても勝手には動けないんだけどね


オルトロス:ちっ…ああ…ほんとめんどくせぇ…




ナレ:この時すでに、帝国軍に戦える者はもう残っておらず、魔神族の長、ヴェノムに歯向かうことも出来ない帝王にとって、彼らのような罪人は都合のいい兵隊であり、また、捨(す)て駒(ごま)でもあった…




オルトロス:…まあ、ようは魔神族の親玉をぶっ殺せばいいんだろ…こんなのさっさと終わらせて、バルで酒でも飲みたいねぇ…


クロノス:ふん、本当にいいですね、脳天気(のうてんき)な頭で


オルトロス:あ?


クロノス:魔神族は黄泉世界(アンダーワールド)の中でも最強の種族…帝国軍ですらも歯が立たなかったヤツらですよ、そんなのをボク達3人だけでどうこうしようなんて…無茶な話だ


サリエル:別に、私はこの世界がどうなろうと知ったことじゃないわ…静かに暮らせていればそれでいい


クロノス:まあ、確かにそうですね


オルトロス:俺は自由になれればなんでもいいがな…


クロノス:おや、こういう所はお互い気が合うんですね


オルトロス:やめろよ、胸くそ悪い


クロノス:お互い様です


サリエル:…これが終わったら、3人でお酒でも飲む?


オルトロス:お?なんだ嬢ちゃん、お酌(しゃく)してくれるってか?だが、お嬢ちゃんには酒はまだ早いだろ?


サリエル:馬鹿にしないでくれる?私、これでももう成人よ


オルトロス:…冗談だろ?


サリエル:色々込み入った事情があるのよ、オジサン


オルトロス:オジサンじゃねぇ…いや、まあ、確かにそうだけど…


クロノス:どっちですか…けどまあいい機会ですし、ここらでお互いのこと詳しく話しませんか?そろそろ魔神族の巣窟(そうくつ)にたどり着きますし


サリエル:…最後の晩餐(ばんさん)…みたいな?


クロノス:ちょっと違う気もしますが…まあ、最後になるとは限りませんしね?


オルトロス:…めんどくせぇ


クロノス:とりあえず、意見は一致ですね、じゃ、僕から


オルトロス:勝手にしろ


クロノス:名前はクロノス、帝国軍の闇の魔法使いと名を馳せて来ましたが、秘密裏(ひみつり)に行っていた人体実験が帝王にバレて、監獄されました、それで、何故かいま、あなたがたとパーティを組んで魔神族を倒しに行っていると…


オルトロス:…そこまで言うんか


クロノス:まあ、カンタンな自己紹介ってやつですよ…次は、お嬢さん、どうぞ


サリエル:…名はサリエル…罪としては…村の人を殺しまくったから…


クロノス:は?村人を…?


サリエル:…見ての通り、私はハーフエルフで、とある村の人達に迫害(はくがい)を受け、惨(みじ)めな思いをしたわ…それでも、私は同じ人間だと、そういってくれた人がいた…けど…その人は私を庇(かば)って、私の前で、火あぶりにされ、殺された…見せしめに、と


オルトロス:…それで、歯止めが効かなくなった、ってことか


サリエル:…馬鹿なことした、と言えば済む問題じゃないわ…あの子も、きっとそれを望んでいなかった…それでも、私にとってはたった一人だけの親友だった


クロノス:…


サリエル:さあ、最後はあなたの番よ


オルトロス:…俺は、オルトロス…罪としては、そうだな…ある物を盗んじまった


クロノス:盗んだ?


オルトロス:…俺は、不老不死なんだ


サリエル:…なんですって?


オルトロス:だから、不老不死、死なねぇんだよ…もう何千年と生きてるから、年なんか数えるのやめたがな


クロノス:…冗談、じゃないんですよね?


オルトロス:冗談言ってるような顔してるか?


サリエル:…見えなくはないわね


オルトロス:あっそ、まあ、信じる信じないはお前らの勝手だが…俺は元々、とある盗賊団の一味の1人だった…ある日、お頭(かしら)に「生命(いのち)の泉」の水を盗んでこいと言われてな…俺は、兄貴と慕(した)っていた存在のやつと、それを盗みに行った


サリエル:それで?


オルトロス:あの時ゃ、俺も兄貴も若造だったからな…罠があるのにも知らずに、ただ目の前の泉の水を持ち帰ろうと必死になって…突っ走って、罠にハマって死にかけた…でも、その兄貴が…お頭に渡すはずの生命の泉を、俺に飲ませた


クロノス:で、不老不死になった、と…


オルトロス:…兄貴はお頭の命令に背いたってんで、殺された…それで俺は、盗賊団を皆殺しにして、わざと帝国に捕まった…めんどくさくなったんだよ、人と関わって生きるのが…どうせ死なねぇなら、どこいっても同じだろうと思ってな


クロノス:なるほど…本当、前向きなのか、ただの脳天気なのか、馬鹿なのか分かりませんね


オルトロス:なんとでも言ってろ…これが俺の罪だ


サリエル:…とんでもない罪ね


オルトロス:クロノスが言ってたろ?お互い様だ


クロノス:そうですね…まあでも、死なない人間がここにいるということで、1つ得を得ました


オルトロス:あ?


クロノス:何かあった時に、盾の替わりになる


オルトロス:お前だけは絶対助けてやんねぇからな!?…てか、お前はなんで人体実験なんか…






[その時、生ぬるい風が吹く]






サリエル:っ…嫌な風…


オルトロス:あぁ…なんか来るな…


クロノス:構えた方がいいですかね…オルトロスさん、僕の罪の話はまた今度で…


オルトロス:デザートは最後に…ってか?


クロノス:…デザートって…失礼な人だな


オルトロス:てめえに言われたくねぇ






[その時、空から黒い影が降りてくる]







3人:!?


ヴェノム:ふむ…先程からなにやら臭うと思えば…ゴミ虫が3匹迷い込んでおったか…ここら一帯(いったい)は魔神族の支配下にある、わざわざ死にに来たか、人間ども


サリエル:…あなたは誰ですか?


ヴェノム:ワシは、魔神族の長、ヴェノム


オルトロス:さっそく親玉の登場かよ…


クロノス:こんにちは、魔神族の長殿、僕達は…あなたを殺しに来ました


ヴェノム:はっ、面白いことをいう奴らじゃ…人間の帝王風情が、毎度くだらぬことをしよる…ワシには勝てないと分かっておるはずなのに軍隊を無駄に送り込んでは戦わせ……今度は何をするのかと思いきや、こんなクズ人間共を出してくるとは…しかも3人ときた…わしも随分(ずいぶん)と舐められたものだ…ふはは!!笑わせてくれるわ…!!よかろう!!このワシを殺せるものなら、殺してみるがいい!!


クロノス:っ…来ます!!


サリエル:援護する!


オルトロス:めんどくせぇけど、さっさと終わらせるぞ…!!







[戦闘開始、オルトロスは剣、サリエルは弓矢、クロノスは本を武器にヴェノムと交戦]







オルトロス:でやぁ!!


ヴェノム:なかなか太刀筋の良いガキじゃ…だが、遅い!!


オルトロス:ぐうっ!!


サリエル:オルトロス!


オルトロス:っ…大丈夫だ!俺に構わず攻撃しろ!


サリエル:…分かりました…「穿(うが)て光 切り裂け闇…サンライト・バインド!」


ヴェノム:ふん、なまぬるいわ小娘!!






[ヴェノム、サリエルを術ごと吹き飛ばす、]






サリエル:きゃぁぁぁ!!


クロノス:!サリエル!!【時の狭間(はざま)に汝(なんじ)を誘(いざな)え!ラプラス!】


ヴェノム:時の魔法か…なかなかできるものでは無い…その服装、お主は帝国軍のものか?


クロノス:だった、と言い直しましょうか…僕はもう、帝国軍の人間ではありませんよ…それに、時を操るのは得意なんです…【聖水よ 黎明(れいめい)へと導く覇者の力となれ スプラッシュ!!】


ヴェノム:ぐああ!!


オルトロス:やったか…!






[ヴェノム、水の槍で胸を貫かれ倒れるも、起き上がり、胸から引き抜く]






クロノス:っ…!?


ヴェノム:ふふふ…甘い、甘いのぉ…闇の魔法使いよ…魔神族の心臓は【1つだけではない】と、帝国軍で教わらなかったのか?


クロノス:…はは…そうか…忘れてました…


ヴェノム:ふん、よくもまあ、こんな風穴(かざあな)を開けてくれたもんだ…さて、今度はわしの番じゃ…«我に歯向かうものに 地獄の業火(ごうか)を  テンペスト!!»






[クロノス、黒い炎に包まれる]


  




クロノス:うああああ!!!


オルトロス:…!クロノスっ…!!


ヴェノム:ふふふ…ふははははははは!!帝国軍どももなかなかに強かったが、お主らも負けてはおらぬのお!!たった三匹ではあったが、久々に楽しめる戦いであった!だが、我ら魔神族の及(およ)ぶところではないのぉ!所詮(しょせん)はこの程度…やはり人間は脆いものよ!!!


オルトロス:…


ヴェノム:ふん、ワシが恐ろしくて声も出せぬか?さて、仲間は皆、塵(ちり)と消えたぞ小僧…どうする?ここで一緒に塵になるか?まだ戦うか?しかし、この程度の力でわしに挑もうなど、笑止千万!あぁ、可哀想にのぉ…貴様らはどうせ帝国の捨て駒(ごま)…クズはクズらしく、ゴミのように散るがいい!!


オルトロス:…言いたいことはそんだけか?


ヴェノム:…何?


オルトロス:確かに、俺たちは揃(そろ)いも揃ってクズだ…何十人と人を殺し、盗みを働き、家を燃やし…大切な人を失い……けどな、そんなクズ人間でも、誰かに必要とされてる…世界が、俺達を必要としてる…めんどくせぇけど、今はそんだけで十分だ


ヴェノム:……死ぬかもしれぬと言うのに随分と余裕だな…身の程知らずが、思い知らせてやる


オルトロス:そうだなぁ…余裕って言えばそうなんかな?…なんたって俺は、「1000年の禁固刑(きんこけい)」食らってる身だからなぁ(笑)


ヴェノム:!?…1000年だと…人間の分際で…貴様、まさか※


オルトロス:※さぁて、おしゃべりはここまで…はじめようか、魔神族のクソ野郎…どっちが先にミンチになるか…勝負しようぜぇぇ!!







[ヴェノムに切りかかるオルトロス]








ヴェノム:ぐぅ…!!貴様ァ!!


オルトロス:おっとぉ!?足が1本無くなっちまったなぁデカブツゥウウゥ!!


ヴェノム:ぐぅ…おのれ…許さぬ!!«禍(わざわい)の種よ 我のもとに集(つど)い 大地を混(こんとん)沌の闇に包みたまえ 開け門 タルタロス!!!»






[地面から鎖が飛び出てオルトロスに巻き付き、空中から針が何本も刺さる]






オルトロス:ぐああああっ!!…っ…へへ…効(き)かねぇ、なぁ!!





[オルトロス、自らの身体がちぎれるのも気にせず鎖を無理やり外し、ヴェノムの腕を切り落とす]





ヴェノム:うぐぅぅぅっ!っはぁ…はぁ…わ、ワシの腕がァァァ…!!


オルトロス:どうだ、参ったかこのデブ野郎


ヴェノム:ゔぅうぅ…き…貴様…先程、1000年の禁固刑を食らった身、と言ったな…まさか、1000年前の、泉の事件…犯人はお前か!!


オルトロス:…さぁて、なんのことやら?…俺はもう、過去はふりかえらねぇ…昔のことなんざ、もうとっくに忘れちまったなぁ…そんなことより…早ぇとこ続きをやろうぜ…!!


 





[ゆっくりなスピードではあるが、ちぎれた部分が再生している]







ヴェノム:…ふん…なるほどのぉ…まさかお前のような小僧に、あの泉を盗まれるとはな…あれは我ら魔神族が手中に収めるはずだったもの…まあ良いわ!かえって好都合!!お主を食って、その不老不死の力、我のものにしてくれるぅぅぅ!!


オルトロス:そうなる前に、てめえをミンチにしてやらァァァァ!!






[両者激しい攻防戦の末、ヴェノムにオルトロスが弾き飛ばされる] 

(オルトロスとヴェノムが戦うアドリブ、ちょい長めでお願い致します)








オルトロス:っ!ぐああああああ!!


ヴェノム:はぁ、はぁ…ふ…ふはは…ふはははははははははははは!!!なかなかに楽しかったぞ、大罪人(たいざいにん)よ…!こんなに楽しめたのは久方ぶりじゃ!!…だが、お主もここで終わりのようじゃの…所詮人は人、我ら魔神族にはかなわぬのだ!!そして、わしは貴様を食らい、不老不死の力を得て、全世界をこの手中に収めるのだぁぁ!!!


オルトロス:ぐっ…ちくしょう、再生が間に合わねぇ…クソ…俺の長ぇ人生もここで終焉(しゅうえん)、か、めんどくせぇな…


ヴェノム:死ねぇぇえ!!!


サリエル:「天空より舞い降りし使者よ、地に落ちたものへ裁(さば)きを与えよ、アークエンジェル!!」


ヴェノム:!?ぐああ!!


クロノス:【アグダラ・アクシオン・インターセラス……ディセンディア!!!】


ヴェノム:ぐぬう…!!…き、貴様ら……なぜっ…


オルトロス:…!







[オルトロス、振り返ると、ボロボロながらも生きている2人を見上げる]







サリエル:…不老不死の貴方が、そんなボロボロの姿なんて…他の人が見たらあきれるわね


オルトロス:…へへ…本当に口の悪いお嬢ちゃんだぜ…というか、お前らも人の事言えんだろ…どうやって助かったんだ?


サリエル:私はクロノスの時空間魔法(じくうかんまほう)に助けられたの…攻撃が当たる寸前(すんぜん)で…それはそれは遠くに飛ばされてしまって…


クロノス:悪かったって言ってるだろ!あの時は場所まで考えてる余裕はなかったんだよ!


オルトロス:…クロノス、お前は俺の目の前で燃えたはずだ…


クロノス:ふふ、甘く見られちゃ困りますよ、オルトロスさん、僕の事、誰だと思ってるんですか?


オルトロス:生意気なクソガキ


サリエル:尻の青い坊や


クロノス:……今のは聞かなかったことにしましょうか


サリエル:無駄話はあと…今は目の前のやつを倒すことに集中しましょう…







[ヴェノム、大ダメージをくらいボロボロだが、かろうじて生きている]


 





ヴェノム:…ぐう…貴、様ら…何故生きている…ワシが殺した、はず… 


サリエル:殺した?お生憎様(あいにくさま)、この通りピンピンしてるわ


クロノス:それに、まだやり残したことがありますからね…こんな所で死ぬ訳には行かないんですよ


ヴェノム:やり残したこと…だと…


サリエル:殺し足りないもの、人間のこと


クロノス:僕は、まだ残ってる人体実験の続きをしなきゃいけませんからね


オルトロス:…酒が飲みてえ…


ヴェノム:…ふはははは!!本当に、頭のおかしなヤツらだ…だが、クズには変わりない……お前らのようなゴミ虫は、さっさと灰になって散れぇぇ!!!







[ヴェノム、突進してくる]







サリエル:残念だけど、散るのはあなた


ヴェノム:まずは小娘、貴様からだ!!!


クロノス:【…ベラクト・レダジオン】


サリエル:残念、「上」よ、デカブツさん


ヴェノム:何!?


オルトロス:…さぁ、ミンチにしてやらあ…!







[ヴェノムの頭上にオルトロス、クロノスの呪文で剣に魔法がつき、一振でヴェノムを粉々に粉砕する]







ヴェノム:ぐあああああああああああ!!ば、かな…このワシが……こんな所で、死ぬ、だとぉぉぉ……!!


オルトロス:…てめえは1つだけ罪を犯した、それは、俺らをゴミと馬鹿にした事…ゴミだろうがクズだろうが…舐(な)めてかかると、痛い目見るぜ…って、もう聞こえちゃいねぇか……さて、帰るか


クロノス:はい


サリエル:ええ





ナレ:かくして、世界の平和は守られた…罪人達は帝国へと戻り、望み通り、自由を得た…はずだった






[数ヶ月後、帝都]






サリエル:…あら?


クロノス:…ん?


サリエル:…久しぶりね


クロノス:おや、いつぞやのハーフエルフのお嬢さん、こんな帝都のど真ん中でばったり出会うなんて、奇遇(きぐう)ですね


サリエル:…喧嘩(けんか)売ってんの?


クロノス:違いますよ、ただひねくれてるだけです、僕が


サリエル:…もういいわ…それより…


クロノス:…オルトロスの件、でしたよね


サリエル:ええ…


クロノス:彼は本当に…何をしたいのか分かりませんね


サリエル:そうね…私たちを自由にする代わりに、自分はまた牢獄(ろうごく)行きなんて…ほんと馬鹿


クロノス:たしかに……そう言えば、サリエル、あなた、監視用のマジックリングは…?


サリエル:ぶっ壊してきた、物理的に


クロノス:え、いや、乱暴すぎでしょ…


サリエル:そういうあなたは?マジックリング、見当たらないけど


クロノス:…僕はちゃんとバレないように…


サリエル:ぶっ壊したのね?


クロノス:…そうですよ、壊しました


サリエル:素直にそう言えばいいのよ…さあ、行きましょ…私たち、まだあいつとお酒飲んでないんだし…


クロノス:えぇ、それに、僕も過去のことを話すと言っておいて、全然お話出来ませんでしたからね…


サリエル:で、どっちからいく?


クロノス:正面から、強行突破


サリエル:……正面って…頭脳派のあなたのやり方じゃないわね


クロノス:今回は、オルトロス方式で行かせていたただきます


サリエル:はぁ…なんでもいいわ… 


クロノス:ふふ、では、参りましょうか


サリエル・クロノス:オルトロスを助けに…




ナレ:──英雄(ヒーロー)…なんてものは単なる夢物語かもしれない。あるいは、人々の妄想の中の登場人物でしかないのかもしれない…と、とある人は言った……彼らは人々に、「世界を救った英雄」と言われてきた…しかし現実の彼らは、どんなに英雄と呼ばれても…罪人には変わりないのだ…彼らが正義なのか悪なのか…それを決めるのは、あなた達次第…




オルトロス:…ひひっ…さぁ、ショータイムの始まりだ…











終わり