Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

Try Everything!

母親失格か!?

2019.04.13 07:26

東京大学の入学式の式辞が話題になっている。「男性の価値と成績のよさは一致しているのに、女性の価値と成績のよさとのあいだには、ねじれがあるからです」と式辞で上野先生はおっしゃった。男性の価値は誰がきめるのだろう。会社社会? 女性社会? 男性社会? 東大、早慶、上智以下なので、うちの子どもたちは男性としての価値は低い。ひとりの母親として、選ばれし人になれる環境、モチベーションを整えられなかった。某社中の中学に進学したお母さまに言われたおなじような言葉も、どうしても忘れられない。心からその言葉を抜こうとしてもなかなか抜けない。「母親失格……」


わたしはバブル時代に社会人になりリーマンショックの時に子育て真っ只中だった。類ともなのか、時代なのか、周りは専業主婦のほうが多かった。今は、専業主婦の人口より仕事を持つお母さんの数が圧倒的に多い。仕事を通じて、働くお母さんから、呼吸が止まるのではないか? と思うほど泣き叫ぶ子どもを受け取り、一緒に過ごす間はとにかく安心して過ごせる時間を作っている。お迎えの時に、疲れ切った様子で子どもを受け取り、このあとごはんのしたくをする姿を創造すると、心が痛むことがある。自らのキャリアのために預けている人もいれば、価値の低い(かどうかわからないけれど)男性との婚姻で働かざるを得ないのか……。

「わたし、だめママなんです」と、忘れ物をしたり、お迎えに遅刻するママが言った。「そんなことないのよ。自分のことだけじゃなくて、パパや子どものこともやっているんだから。私なんで、仕事してなくても忘れ物よくしてたわ」と、言うと、安心した表情に変わった。また、毎朝子どもを連れてくるパパが「ぼく、これくらいしか手伝えないんです。またママに叱られるね」と、おむつを忘れたときに言った。出社前にいっぱいいっぱいの状況。この後、仕事上手く回るのか?? 心配になったので「なるようになりますからご安心を。汗ふいて、すっきりして行ってね」と笑って言うと、ポケットからハンカチを出し、我に返っていたり。パートナーには弱音を吐けなくてもわたしにはボソッと本音を吐いてくれる。偉そうにアドバイスしているつもりはない。弱さを弱さ、辛さを辛さとして受け止めているだけ。


上野先生は祝辞で「フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です」と仰った。逆に言えば、そうではないという現実。家族と言ういちばん小さな社会では、この思想がとてもとても大事な思想になっている。夫、妻、こども。それぞれ弱者だったりするから……。そして最も大事なのは、この小さな集団を作ったからには「幸せ」を共有できること、だと私は思う。小さな集団を作らない選択だって大いにある。強者でいたい人たちは、周りから言われることなどから、無理に作る必要はない。自ら幸せを実感できず、他人のせいにしてしまうことになる。


受験生の母としては失格だった。その贖罪ではないが、成績で決まる価値ではなく、自分で生み出す「価値」作りを応援したい。これから小さな集団を作る(作った)人の数多くの「幸せ」への応援は惜しみなくしていきたい。