レンタ彼氏『OMI②』
2019.04.17 06:35
「ちっ…」
後ろに迫っていた男が舌打ちをして私の横を通り過ぎていった。
「お帰り」を言ってくれた人は、ずっと男を睨み付けている。
チラチラこちらを振り返っていた男の姿が見えなくなると、影が動き目の前にやって来た。
薄暗い外灯に照らされたその姿は…
私が大好きなアーティスト
昼も夜も恋い焦がれてやまない、登坂広臣その人だった。
「え、まさか?そんなはずは…」
「昨日の夜、定額レンタルの登録したでしょ?」
定額レンタル…
そういえば布団の中で半分落ちながらスマホを弄っていて、
『定額レンタル彼氏』
『貴女の理想のタイプをレンタルします』
『登録無料、初回に限り街で使えるポイント30000相当プレゼント』
広告にひかれて、思わず登録してしまった。
規約も読んでない。
確か、理想の芸能人を入力する項目があって、私は迷わず臣くんの名前を登録した。
でも、まさか?
本物であるわけないし。
影が言った。
「毎度あり」
「お支払はクレジットで」
to be continued…