Elton JohnとHIPHOPの濃いつながり
みなさん、Elton Johnはご存知でしょうか?
彼といえば「最も売れたアーティスト」でピンク・フロイド、レッドツエッペリンを抜いて第5位、全世界で3億枚以上のレコード・セールスを記録した伝説的なシンガーソングライターでマドンナやMJに匹敵するくらいの人気を誇った人物です。
一番最初に挙げられる代表曲は"Your Song"ですが、日本だと"Rocket Man"の方が聞いたことある方が多いのではないでしょうか
幼い頃からピアノを弾き始め、ロック、カントリーやポップMusicを経てソウルなど彼の楽曲性は数々のジャンルの垣根を越えるにいたりました。
そして、今回はあまり知られていないElton JohnとHIPHOPミュージックとの関係性を書こうと思います。
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エルトンジョン(72歳)の同世代のアーティストの多くが現在のUSラップムーブメントに対しあまり関心がなく、また楽曲提供(サンプリング)などを拒むアーティストが多い一方、彼は今にも過去にも、HIPHOPアーティストへの賞賛を公にしています。
さらっと例をあげると、彼はA Tribe Called Quest(ATCQ)の大ファンで
以前NYでATCQのメンバー、Q-Tipとの対談でジョンは彼に”ATCQはHIPHOP史において今にも後にも革命的なグループだ”と語りました。また、彼との対談でジョンはN.W.A.、Public Enemy, De La Soulなどのライブにも足を運んでいたことを告白。
ジョンは彼の楽曲がHIPHOPにてサンプリングされることを容認しており、数々のHIPHOPアーティストが彼の曲をサンプリングしたり彼をフューチャリングしたりしてきました。
以下、ジョンとラッパー間における象徴的な曲、イベントについてご覧ください。
①"Bennie And The Jets"
1974年にリリースされたジョンのこの曲ははその中でも多くカバーされており、いままでに
1)Beastie Boys
2) Miguel (feat. Wale)
3)Logic & P!nk
4) A Tribe Called Quest
他にも
5)Action Bronson-"Silverado"
6)T.I.- "Wonderful Life"
7)Raekwon - "Kiss the Ring" など、本当に多くのラッパーにカバーされた有名作になります。
②エミネムとのグラミー授賞式での共演
エミネムは以前(いうて最近もですかね)、faggotというゲイの人たちを軽蔑するようなワードをよく使い、LGBT団体から訴訟騒ぎにもなった過去があります。ちょうどその頃、ゲイを公表しているエルトンジョンと2001年のグラミー受賞式でエミネムの”Stan”でコラボしたことが話題になりました(ジョンはピアノ)。
ファンの間ではエミネムの”ゲイ嫌い”で炎上しているのをジョンとコラボすることで鎮火するためにコラボしたとの憶測が飛んでいますが、実際にエミネムはジョンのことを正当にリスペクトしているようで、お互いにそうらしいです。
ジョンとエミネムは長い交友関係があり、
The Graham Norton ShowでのインタビューでジョンはエミネムとHIPHOP全般について
”We became friends. We’ve been amazing friends ever since. He’s an amazing guy… I just adore him. People who mock rap, and say, ‘I don’t like it,’ they should go check out Kanye in the studio rapping. Or Eminem when he’s in the studio. It’s a phenomenon. It may not be your cup of tea, but don’t ridicule. I find that so many of my peers of my age don’t listen to anything new. I love the new.”(https://www.xxlmag.com/news/2019/03/history-elton-john-relationship-hip-hop/)
(意訳)”エミネムとは昔からの友達で、彼は素晴らしいやつでおれはただ尊敬している。よく人々はラップミュージックに対して簡単に嫌悪感を抱いたり、あまり聞かないまま嫌ったりするけどカニエやエミネムがスタジオでラップしているのを一度見て欲しいね。まるで一種の現象を見ているかのようだ。それすら興味がないかもしれないけど本当だ。多くの自分世代のアーティストは新しい音楽を聞こうとしない、けどおれは違う。新しい音楽が好きだよ” と語った。
そんなジョンに対し、エミネムは後日地元デトロイトのMetro Timesにて
”He had a substance abuse problem in the past. So when I first wanted to get sober, I called him and spoke to him about it because, you know, he’s somebody who’s in the business and can identify and relate to the lifestyle and how hectic things can be. He understands, like, the pressure and any other reasons that you wanna come up with for doing drugs.” (https://www.xxlmag.com/news/2019/03/history-elton-john-relationship-hip-hop/)
(意訳)”ジョンは昔、薬物問題があった。おれが薬物依存から立ち直ろうとした時、まずジョンにそのことを相談したんだ。なぜならジョンもその経験があったし、(ミュージシャンとしての)環境が似ていたから打ち明けやすかったんだ。彼はプレッシャーやその他の理由でドラッグをやりたくなってしまう原因を理解しているしね”
エミネムは去年、そんなジョンの支えもあり薬物中毒から回復して10年になった。
ちなみに彼の中毒だった頃の話は2013年の「ハウ・トゥ・メイク・マネー・セリング・ドラッグス」というドキュメンタリーで語られている。
③2 Pacによるサンプリング
2004年にリリースされた2PacのアルバムLoyal to The Gameの中に”Ghetto Gospel"という曲がある。その曲には明らかに2Pacのものではない高いメロディアスな声が入っている___ジョンのものである。サンプル元はジョンの"Indian Sunset"(1971).
おもしろのが、この曲は誰にプロデュースされたかというと、そう、あのエミネムなのだ。
(パンドラの箱、開けちゃいましたね。)
みなさん、いつにもなくかなり長い記事になっていますがもう少々お付き合いしていただけると、ジョンさんも喜びます。
④ジョンさん、ラップアルバムを収録することに興味を持ち始める
2006年、米マガジンRolling StoneにてHIPHOPをテーマとしたLP(長時間再生可能なレコード)を作りたいと発表。自分の曲をHIPHOP調にアレンジしてPharrell, Timbaland, Snoop, Kanye, Eminemらとコラボしてみたいと、この辺りからジョンのHIPHOP熱がたぎり始める。
⑤ジョンさん、カニエとコラボする。
カニエウエストは自身のアルバムGraduationの一曲目”Good Morning"でジョンの”Someone Saved My Life Tonight”をサンプリングしている。
2007年にそのアルバムがリリース後、ジョンはカニエの2011年にリリースされたアルバムMy Beautiful Dark Twisted Fantasyに収録された”All of the Lights"のレコーディングに招集され、ピアノとバックコーラスを含む複数のパートを担当した。
このホノルルで行われたレコーディングについてジョンは
”I could never do a rap record because I wouldn’t know where to start. You can learn so much from working with somebody that does. In the studio with Kanye, when I was doing that in Honolulu, he was just on fire. It was amazing to watch. You knew you were in the presence of greatness. Once I heard four or five tracks from that in the studio, I knew it was going to be a motherfucker of a record.”
(意訳)「カニエくそやべえ」
と答えている。いや、そんなわけないのである。
本当は
「ラップのレコーディングに参加するのは初めてだった。スタジオでのカニエの熱量は凄かった。君たちは偉大な時代に生きれていることを自覚したほうがいい。4、5トラック分スタジオで聞いた時、これはやばいレコードになると確信した」と語った。
⑥Young Thugが”Rocket Man"をサンプリング
2015年のNoiseyでのインタビューにてジョンはYoung Thugのファンだと語った。
こちらはYoung Thugシャツを持ったジョン。
そのインタビューの1年後、彼らはロンドンにてジョンが1972年にリリースした代表作の一つ、”Rocket Man”を基調とした曲、”High”を制作し去年正式にリリースされた。
ジョンさんが気持ちよく「ハイになっちゃうよ〜」と歌っているのがわかる。
⑦ジョンさんの留守電、Logicの曲に採用される
最近話題のLogicが、2018年にリリースしたBobby Tarantino IIに収録されている”Yuck"の曲の最後にジョンがLogicに残した留守番電話が(スキットとして)採用されている。
当時の裏話としてロジックは「あれはめっちゃ変だったよ笑、うちのマネージャーにジョンさんが話したいらしいから電話番号あげていい?って言われていいよ!ってジョンさんにおれの電話番号渡してもらって、ずっと電話まってたらおれがちょうどおしっこしてる間に電話来てたっぽくてちょうど出れなかったんだけど、留守番に伝言入ってたから要件はわかったんだけど、肝心な電話でれなかったんだ笑 まじでやらかしわ」と語っている。そのあとLogicは電話をかけ直し、その留守番(グラミーでのライブおめでとう!&なにか一緒にしないかという件)を記念に曲の一部として使っていいかという許可を得て”Yuck"に使われることになった。
⑧スニッカーズのCMでラッパーとバトル(風)
スニッカーズはベビーブーマー世代とHIPHOPヘッズの注目を集めるためにジョンとラッパーBoogieをタイアップさせた。Boogieは「ジョンは音楽知識がはんぱない、しかも現代HIPHOPとのつながりも強い」と語っている。
⑨Mac Millerへの追悼
ペンシルバニア州で行われたマックミラーの追悼ツアーにて、ジョンは彼への追悼の言葉とともに、“Don’t Let the Sun Go Down on Me.”を捧げた。
「この曲をマックミラーに捧げる。26歳という若さで、彼のような才能にあふれた少年がなくなってしまったなんて想像もつかない。私、私たちの愛を彼の愛する者、家族、友達すべてに捧げます。マック、君がどこにいても、おれは君の幸せを願っているよ。」
⑩Futureとスタジオへ
まだ多くの情報はでていないがつい10日前にジョンとFutureが一緒にスタジオに行ったことがFutureのインスタにて明らかになった。
このコラボが本当に実現すれば、またYoung Thugの”High"の時のように世間を良い意味でざわつかせる曲となるであろう。
おわり。
ながながとした記事になりました。
最後まで読んでくださった方、きっとジョンさんが喜んでます。
ありがとうございました:)
参照:XXL
https://www.xxlmag.com/news/2019/03/history-elton-john-relationship-hip-hop/