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梨の日

映画『ナイトクルージング』

2019.04.18 07:46

映画『ナイトクルージング』


監督:佐々木誠

出演:加藤秀幸/

山寺宏一/能登麻美子/神奈延年/

金氏徹平/ロバート・ハリス/

小木戸利光/三宅陽一/石丸博也



生まれつき全盲の方が映画をつくる。

どうなることやらの疑問から、あまりに内容の詰まった映画づくりを目撃しました。



私が前に目の見えない役をやった時、

ましてや後半、耳も聞こえない時には“ブラックホール”にいる感覚を想像し、体感してた。

けど。

生まれつきの全盲だと、色すら知らない。

黒という色も。


その概念の中で映画制作。

色を伝えるための視覚的色素、色の立体化は刺激的だったな。

目が見える者としては、上の方が白kて下に行くにつれて黒く、濃くなっていくことは容易に判断できる。

でも伝える時には。

軽さ・白、重さ・黒、として、重みからイメージを伝える。

ボーリングの玉の色が濃いものが多いのは、玉が重たいものと認識させるためだったり。

観客側の私たちにも、目から鱗の知識が盛りだくさん。


また、映画を作る時の現代のコンピュータの発達具合ったらびっくり。


え、え、、

これを普段の映画作りにも使ってたりするの???

どんだけ未来感だよと終始釘付け。



目が見えない=不便そう、というのは見える人間からの判断。

今見えてるものが見えなくなる、

人や車、危ないものを知ってしまってるから、恐怖を勝手に想像してしまう。


もちろん見えない人には多数の恐怖はあるだろうけど、もはやそれはそれ、とわりきる姿勢。

だって知らないんだもの、と。

私の出会ったことのある目の見えない人も、わりとこざっぱりしているのを思い出した。

もちろん人それぞれ、加藤さんだってとても周囲に気を使っていらっしゃると思うけど、見える人よりも、何かが強い気がしてて。


ラッキーなことにアフタートークもあって加藤さんお話しを直接聞き、目の前にいて下さった。

その時のトークで特に感じたというか、納得するほど、こざっぱりと、何か強く居たように、個人的には感じてました。



目が見えないから触覚や聴覚が優れている、

とは誰もが言うし実際そうなんだろうけど。

逆に、目の見える私たちは、視覚からの情報にとても頼っているのだな、なんて。


指を鳴らしての空間把握や(すげえ)触って情報を感じ取ること、生きながらちゃんと習得してきたことなんだよな。



とはいえ。



自分個人的なこと、感覚で言えば、

だから何だ、

と、うっかり思ってしまう。

誤解はしないでほしいのだけど。苦笑)

目が見えないことも耳が聞こえないことも、確かに不自由に感じ、見える聴こえる人間中心に作られたこの世界は、とても生きにくいとは、思う。

ただ、これは私の問題でもあるんだけど、

障害があっても、それはその人の個性、として受け入れちゃう感覚が、人より強いんだ私。笑)


目が見えない耳が聞こえないは、

ハゲてる太ってる、美人、足が長い、みたいな、特徴として見ちゃうから。笑)


差別的な映画をここ最近観るたびにモヤモヤしてたけど、そういうことだったんだわ。


だから、

全盲なのにすごい、

よりも、

この映画の中の制作過程にある技術の驚きや、スタッフさんや加藤さんのセンスだったり創作意欲の方に、興奮してました。


まさかAIまで出てきちゃうんだもん。

パッと目で得られる情報を、AIのように少しずつ情報を頭にいれて、把握してゆく、というAIの原理に自分の感覚が近いと言ってたな。



1シーンごとに各セクションで変えてゆくチームプレイも凄い。

チームの人たちは大変だったろうと捉えたり。

いつも視覚的に解るゆえに省略しする説明を細かく、1つ1つを伝えるコミュニケーション。

でも時々、「で、こっちが、、」と普通に話してしまう姿がまた面白かったり。



完成した作品には、監督の分身が主人公。

作品内で行われることを、監督自身で体感して作ることの意味。

体で知るからこそ出来る指示もあるだろうし、間違いなく、加藤さんが監督なんだと、周りも、観てる方にも伝わる。


SFが好きになったキッカケの作品とかあるのかなぁ。

触れられる色を知った後で好きになった色はなんだろうか。


時間はかったかもしれないけど、完成させた事の素敵さ。


私も、ようやく興味を持ち、やりたいと思う人がいて、何か完成させたい気持ちだから、完成させる事への尊敬がわく。



時間はかかるかもしれないけど、また次の作品も構想があるのであれば、是非観てみたいな。