美肌の科学
【日光紫外線の皮膚への影響】
角層は物理的な遮蔽により障害性の光線、つまり太陽からの紫外線の透過もある程度は防いでくれており、強い日焼けで生体組織を障害するB波の紫外線の数10%は角層により遮断される。特にヒスチジン、チロシン、トリプトファンなどのアミノ酸やトランス型ウロカイン酸が紫外線を吸収する。しかし、日光に当たり過ぎて赤くなり日焼けが起きるということは、放射線皮膚炎の軽症ともいえるものであり、長生きすれば、中高年からはその後遺症としてシワやしみが顔や手の皮膚に多発してくる。つまり、昔から皮膚の老化と思っていた変化がそれまでの生活パターンを反映するようにあらわれてくる。
紫外線はビタミンDを表皮細胞につくらせて、骨を丈夫にもするし、このビタミンD自体は今後は紫外線による表皮細胞の異常を守るようにも働くため、戦前戦後の義務教育では日光欲が盛んに推奨されてきた。しかし、生きている限り日に当たる機会も多く、何より栄養が食事で十分取れるような今の時代では、ビタミンD不足で骨が曲がるくる病が発生することもなくなったので、無理に日光に当たる必要などない。
※B波・・・中波長紫外線(UVBまたは紫外線B波)のこと。皮膚に対する刺激は長波長紫外線(UVAまたは紫外線A波)よりも強く、細胞の遺伝子を損傷する影響が大きく、皮膚ガンの原因にもなる。
【光老化によるシワ形成】
かつて老人の顔面や襟首に見られる深いシワは、年寄りの皮膚の特徴であるとされていた。しかし、これらが見られるのは顔と頸部にだけであり、腹部や背部の日に当たりにくい皮膚には深いシワも黄ばんだ変化もでてこない。
露出されていない皮膚に見られるのは、年齢相応に表皮、真皮、皮下組織の全てにゆっくりといた萎縮性の変化が進化していくことだけである。
日光の紫外線照射は少なくとも3種類の酵素、MMPー1、MMPー3、MMPー9のマトリックス・メタロプロテアーゼを活性化し、結合組織成分を消化する。また、結合組織ではⅠ型、Ⅲ型コラーゲナーゼを活性化しⅠ型とⅢ型のコラーゲンと細胞外基質とを分解する。一方、それに対して日光照射皮膚では線維芽細胞の弾性繊維の貯留が真皮の上層から中層に起き、皮膚は黄ばんで深く消えないシワができてくる。すなわち、黄味を帯びた皮膚のたるみは、子供のときからの日光照射による真皮上層の異常な弾性繊維形成である日光性弾力線維症の結果である。
※線維芽細胞・・・動物の生体において、細胞と細胞、または組織と組織の間を埋める線維性の結合組織をつくっている細胞のこと。この細胞が真皮成分である膠原線維(コラーゲン)、弾性繊維(エラスチン)、さらに酸性ムコ多糖類(ヒアルロン酸)などをつくっている。
※弾性繊維・・・硬タンパク質の一種であるエラスチンのこと。真皮の結合組織にあるたんぱく質の重量に占める割合は約2%とわずかであるが、皮膚の弾力に重要な役割を果たしている。
【光老化へのスキンケア】
主な美白作用機序
①メラニン生成抑制(メラノサイトに働きかけてメラニンの生成を抑制する)
有名な美白成分・・・トラネキサム酸、カモミラET、アルブチン、エラグ酸、コウジ酸、ソウハクヒエキス、トウキエキス、リノール酸S、4MSK
主な使い方・・・メラニンができる前に使っておくといい
②メラニン還元(メラニンと反応してメラニンを別の物質に変える)
有名な美白成分・・・ビタミンC誘導体
主な使い方・・・メラニンができる前から後まで
③メラニン排出促進(メラニンがターンオーバーにのって排出されるのを促進する)
有名な美白成分・・・プラセンタエキス、アデノシン一リン酸二ナトリウムOT
主な使い方・・・メラニンができた後のシミやそばかす
美白への異なるアプローチを持つ①~③の各段階の美白成分を組み合わること(ダブル美白)で、シミの生成連鎖を抑止することができる。
※メラニン・・・メラノサイト(色素細胞)内にあるメラノソームで、チロシナーゼ(酸化を進める酵素の一種)により、チロシンというアミノ酸から生成される色素のこと。
※メラノサイト・・・表皮の基底細胞層に混在している色素細胞のこと。メラノサイトの数は人種や年齢、さらに部位などによって異なる。通常では、露出部では、衣服で覆われている部分に比べて数が多くなっている。
左側→ ・資生堂 『HAKU メラノフォーカスV』
右側→ ・SKーII 『ホワイトニングソースダーム リバイバルマスク』
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