4月10日 山都町 → 椎葉村[椎葉民俗芸能博物館]→ 南阿蘇村(146km)②
続いては、民間信仰について。
年末年始に行われる行事で、一風変わったものをご紹介。
神事で、こんなカラフルな飾り物も珍しい。
こういった餅花飾り物は、日本各地で見られるが、結構華やかな感じ美しい。
収穫を祈る「モグラウチ」は、九州では一般的だとか。
他地域では、「鳥追い」というらしい。
関東人の我々は、その言葉に聞き覚えはあるが、未だかつて、一度も目にしたことはない。
そして、小正月前に、シシが捕れると玄関先に吊るすという「シシツリ」。
次は、門松。
間に下げる縄に、吊るされた「蘇民将来子孫の門也」と記した護符を下げるという。
この「蘇民将来」。
道中見かけた、裸の男性の祭り「蘇民祭」と関係があるとか。
「蘇民」とは何なのか?
ネット検索してみても、よくわからなかった。
今後も注視したい案件である。
さらに、変わったところで「正月の呪文」。
正月の儀礼では、様々な呪文を唱えるという。
この「ねや 起きて」とは、何の意味なのか?
ここで、また、「蘇民将来」登場。
続いて春祭りの「的射」。
的射は、椎葉村各地で行われており、その的の形もさまざま。
行事として、これだけ盛んに行われているというのは何故なのか。
起源は、江戸初期だとすると、農民が行うものとしては少し不自然な気もするが。
薩摩藩における麓の半農半士生活を送っていた武士であるなら、いざ知らず。
それとも、弓の名手那須与一の弟の子孫だけに、密かに的射を慣わしとしていたのだろうか?
続いては、盆の行事。
寺や僧侶を介在させない、普段着の民間行事。
そして、村内の26地区で舞われているという、国の重要無形民俗文化財「椎葉神楽」。
神楽というのは、焼畑農耕や、狩猟生活と密接な関係がある。
来訪神というのは、この地に神のような存在が訪れたことがあったということか。
能面らしからぬ、若い女性の面がある。
これは、なかなか珍しいらしい。
衣装につける小道具も、カラフル。
一見すると、クリスマス飾りのよう。
「雲」と呼ばれる天蓋や、飾り付けの「えりもの」は、高千穂あたりでも見られたものと同じ。
こういったものが、村内26地区で保存され、受け継がれているというのである。
ここはまさに、伝統文化の宝庫である。
そして、最後に、民謡。
この地の生活で育まれた民謡は数知れず。
中でも有名なのは「ひえつき節」。
正月に客を御馳走でもてなせず、代わりに「つくり歌(歌詞を作る」を贈ったというお話。
心豊かな生活を送っている人々ならではの、心と心の交流を感じさせる。
他に、焼畑や狩猟、製茶、炭焼きなどについては、五木村での展示内容と共通点が多かった。
また、伝統芸能や民間信仰などでは諸外国との比較などもあり、学術的な深みのある展示であった。