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tete a tete

日差し

2019.04.22 07:14

あったかいね。

お天気がよいので出勤前にシーツを、帰ってからソファカバーを洗濯。

本当は羽毛布団をしまってしまいたいのだけど、どうにもふわふわ素材のカバーからふわふわの素が溢れて、カバーを外すと羽毛布団にくっついていて、私の全身にもふわふわまとわりついてしまうので、できれば夫と外したい。


夫はこの季節のお布団を持っていなくて、今週末にでも買いに行こうかなと考え中。

私は無印の薄い掛け布団に切り替えて、夏もそれをお腹にかけて寝るのだけど、夫は夏は本当にお布団を使わない人だからなぁ。

本人もこの、狭間の時期だけに買うのもなぁ、みたいなことを言ってたっけ。

2人で私の布団を分けてすごすのも、アリかな。


汗っかきの私はソファカバーを外したソファの上で、極力発汗部位が触れないように妙な姿勢でいる。

だから独身の頃は、このソファに落ち着いて座れなかった。

洗えるシーツの上が安心できたから。

体に触れるものは、洗濯できるものでありたい。

靴も本当は洗ってしまいたい。

カーペットは敷かずにいたい。

シーツも掛け布団カバーも毎日洗いたい。

別にそこまで、と思われるだろうけど、私の手先足先の発汗は尋常でなく、本当に、触れたら汚れると思ってしまうので。

これだけ洗剤が進化する世の中で、私の体は汚れてるとしか思えなくなる。


最初はノートに触れるのがイヤだった。

すぐにふやけて文字なんて書けなくなる。

だから硬筆はイヤだと突っぱねたし、漢字の書き取りは最低限で覚えるようになった。

プリントを後ろの席に回すとき、端っこをつまむようになって。

ハンカチを忘れたら、もうテストへのモチベーションなんてなくなって。


ピアノもイヤだった。

何度も指が黒鍵から滑り落ちてしまうし、踏ん張れない。

先生は私が使った後のピアノを、月1お手入れ用のクリーナーで毎回磨いた。


洋服に汗をかくことを、はずかしいと思い始めたのはいつからなんだろう。

かわいい服が、着ているだけで台無しになる。

極力目立たない服を、薄着を、動かないことを、気にかけて怯えるようになった。


極め付けは、人に触れられない。

少し触れて驚かれるたびに笑ってごまかして、触れないよう触れないよう息を詰めて生活していた。

体育祭のフォークダンスは、恥ずかしさよりも恐怖が優って、わざと砂だらけにした手で毎年挑んだ。

カラオケのマイクはハンカチでくるんで使う。

お釣りはできればトレーから受け取りたい。

みんな汗だくの練習中でも、私と触れたチームメイトは驚いた。

こんな私が人と手を繋ぐなんて、怖くて考えられなかった。


夫はいつも「汗だねぇ」と笑って手を繋いでくれるけど、心はまだまだ怯んでる。

相手がよくても、私がダメだから。

こんな手が、大好きな人に触れている事実が耐えられない。

本当に、汚い体。

夫と手を繋いでいけそうなのは、彼が私以上に汗をかく人だからだ。

私って汗っかきじゃないのかも、と錯覚するほど、夏場は隣で全身ぐっしょりしてる。

とはいえ夫は清潔感を常に携えているので、別に私は彼がそんなでもまったく気にならないし、寧ろ私自身に対する嫌悪感への言い訳にさせてもらってる。

そんな夫は、手先と足先にはまっったく汗をかかないのが、不思議なところ。


暖かくなり始めて、我々夫婦はすこぅし憂鬱だ。

嬉しいんだけど、でも暑くなるねぇ……とため息が出る。

3月とか10月とかが永遠に続けばいいのにね、と毎年話す。

来年もそんな会話をしていたらいいね。