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穀雨に

2019.04.23 10:08

気がつくと、空に雨が降っていた。


気がつくと、心に雨が降っていた。


いつのまにか、季節は穀雨を迎えている。


自然に逆らわず、水の流れる如く生きたいと願いながら、ときどき人は、鯉が滝を昇るが如く流れに逆らう。

それはそれで、美しいとも思う。

時代の流れや自らの運命を越えて、水面を跳ねることもある。

その結果、滝にのまれることになっても、鯉はきっと、満足するだろう。



優しい言葉をかければ、

信頼が生まれる。

相手の身になって考えれば、

結びつきが生まれる。

相手の身になって与えれば、

愛が芽生える。


紀元前6世紀に、老子はそう書き残している。


穀雨という季節に、雨が降る。


会いたい気持ちに、雨が降る。


鯉はいつか、水の流れの中で気づくだろう。