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映像作品ログ✩.*˚~vol.1「結婚なんて言わないで」~

2019.04.30 12:00



皆さんこんにちは〜!

TEAM909です。


映像作品のダイジェスト版です!

担当は私、あきがお送りします🐧

お暇な時に読んでくださると嬉しいです✨


それでは!

早速内容に入っていきましょう。


TEAM909の初めての映像作品!

『結婚なんて言わないで』をご紹介していこうと思います〜💒💕


出演者は私 あき🐧 と、遠い関西の地へ旅立った菊池仁美さんです。

脚本・演出・編集はボブさん。

10分程度のショートムービーでした。


最後にあっと驚く仕掛けが隠されたこちらの作品。

人物紹介から楽しくご説明して行こうと思います( ˙꒳​˙ )



【人物紹介】


タカシ(演:菊池仁美)

男性。割とクズ。




キリコ(演:あき)

女性。割と薄幸。



登場人物紹介が少ない?

いやいや、これでいいんです。

こちらを踏まえた上で、ベストショットを交えながらストーリー紹介に入っていきましょう。



【物語】


  とあるマンションの一室。舞台はタカシとキリコの部屋。


「ただいまー。」


2人の家に、住人の女性、キリコがいつもよりめかしこんだ様子で帰ってきました。部屋でくつろぐタカシに、キリコは聞きます。


「タカシ、ご飯食べた?」

食べた、と短く無愛想に返されるキリコ。

続けようとした会話も、億劫そうに遮られてしまいます。

気まずい雰囲気に言葉を選びかねて、沈黙するキリコ。


すると、今度はタカシから話題が振られます。


「何食べたの?」

職場の異性の先輩とフランス料理を食べてきた旨を伝えるキリコ。

自分を差し置き食事に行ったことに苛立つタカシ。気まずさに目を伏せるキリコ。部屋には再び気まずい雰囲気が流れます...。


この2人、一体どういう関係なのでしょうか?


沈黙を破ったのはタカシでした。

もごもごと言いにくそうに告げられたのはこの言葉。


「お金欲しいんだけど。」


瞬間、キリコから返されたのは冷え切った相槌でした。

それに構わず続けるタカシ。

ご飯食べたら無くなったから。

5万くらいで良いんだけど。

言葉を重ねても何も言わなくなったキリコに、タカシは苛立ちます。


「おい、無視すんなよ!」

そんなタカシに視線をいくらか彷徨わせた後、キリコは意を決したように重い口を開きました。


「ねぇタカシ、話があるの。」


真面目な顔で呟くキリコに、タカシは面倒そうに言います。

「なんだよ、どうせ働けとか言うんだろ。いいよもうそういうのは。」

「ちゃんと聞いて!」


いつになく鋭い声に思わず呆気にとられたタカシ。

大切な話だと静かに言われて、仕方なく向かいの椅子に腰掛けることにしました。



「で。何?」

ぶっきらぼうに言われて、キリコは再び言いにくそうに口を開きます。


「......タカシにとって、私ってなんなのかな」

「なんだよ急に。」

「しゃべるATMって感じ?」

目を伏せて自嘲気味に呟くキリコに、タカシは苛立ちます。


そんな気分の悪い話題なら聞きたくない、と席を立とうとするタカシ。

そんなタカシを引き止めるキリコ。

要領の得ないキリコにタカシは声を荒らげます。


「もったいぶんなよ。さっさと言えよ。」

苛立ちを隠せないタカシを一瞥した後、キリコは決心したようにこう言いました。



「私、結婚することにした。」

「は?」


「結婚することにしたの。」



「もう決めたの。」


憮然とした態度でそう告げるキリコ。

あまりに衝撃的な言葉に、タカシは動揺を隠しきれないまま必死に言葉をつむぎます。


「おいちょっと待てよ。どーゆーことそれ?俺は?」


しかしキリコは、今まで溜まった不満を爆発させるようにして続けました。


「毎日毎日働いてあなたにお金渡して、もう疲れたの。私だって自分のために生きたいの」

「ふざけんなよ!そんなの裏切りだろ!許せるかよ!」


狼狽えながらも激昴するタカシに、依然としてキリコは態度を崩さず言います。

許されなくてもいい、と。

もう覚悟を決めたように告げる姿に、タカシはつなぎ止めるように言葉を紡ぎます。



そういうことは普通自分に相談するべきなんじゃないか。

――― 相談なんかしたってダメって言うだけでしょ。だから決まるまで何も言わなかったの。


いつから付き合ってたんだよ。

――― 2年くらい前から。


よくそれで俺の前で平然と過ごせたな。

――― ごめん。


ごめんじゃねぇよ。

――― でも、もう決めたことだから。


............。


どれだけ言葉を紡いでも、腹を括ったキリコを説得することは出来ません。

膠着状態が続く中、 窮地に追いやられたタカシの口から思わず本音が零れ落ちます。


「なんだよ。......言ったじゃんかよ!」

「何?」


「昔、俺が本気で落ち込んでた時に、私はいつでもタカシの味方だって、ずっと一緒にいるって......言ったじゃんかよ!」

「言ったよ。」

感情的に叫ぶタカシに、努めて冷静に答えるキリコ。


「嘘つくのかよ!」

「子供みたいなこと言わないで!」

――人の気持ちは変わるものでしょ。


張り上げられたキリコの声に思わず言葉を失うタカシ。

彼女の決意はもう、絶対に揺らがない所まで来てしまったのだと悟ります。



「......この家は?」

絞り出すように出した声は掠れていました。


自分が出ていく。あとは好きにしなさい、と返された声は、依然として冷静でした。


好きにしろったって、家賃払えなきゃ住めないじゃんか!

―――じゃぁ出て行けば?

何他人事みたいに言ってんだよ。

―――私とあなたは他人にはならないけど、会わなくなれば他人みたいなものでしょ?


あのさ、じゃぁ、例えば、一緒に住むとかさ?

―――は?何寝ぼけたこと言ってんの?そんなことできるわけないでしょ。


交わらない問答に、タカシは再び、本音を口にしてしまいます。



「じゃぁせめてお金だけでも!」


………。

しんと静まり返る室内。

重々しい沈黙の後、キリコは悲しげに笑いながら言いました。


「......ほら、それが本心じゃない。」


タカシは彼女を傷つけてしまったことを理解し、バツの悪さに思わず目を逸らします。




傷ついた心を隠すように、凪いだ声で告げるキリコ。


「お金はね、自分で稼げばいいでしょ。」

「無理だよ!今まで出来てなかったんだから、急にできるわけないだろ!」


弱さを見せるタカシに、キリコは情を殺した声で言います。

だからあなたのことはもう知らない、と。


揺らぐことのないキリコの決心を目にして、言及を辞めたタカシ。

静かな室内に溶けるようなささやかな声で、キリコは言いました。


「じゃぁ、もう出ていくから。」

「もう?もう出ていくのか?」

動揺と弱さを滲ませた声で言うタカシに、キリコは静かに頷きます。


...式は?と場を繕うように問いかけると、呼ぶ訳ないでしょ、と鋭く冷え切った答えが返ってきました。


「相手の事も新しい住所もなーんにも教えない。あなたは絶対邪魔しにくるから。」

「そんなことしないよ。」

「私の中であなたの信用はもうゼロなの。何を言っても無駄。」

2人を繋いでいた情はもう無くなってしまったのだと、タカシは項垂れてしまいます。

そんな彼の様子に、キリコは少し言いにくそうにしながら言葉を続けました。


「でも、私にも良心はある。」

「良心?」 

「あなたが真面目になって、ちゃんと働いて、ちゃんとした男になったら会うことくらいはしてあげる。私もこれがきっかけになってあなたがそうなってくれると嬉しい。」


それは、彼女が見せた最後の優しさでした。

静かにそう告げたキリコの言葉に、タカシはくしゃりと顔を歪めながら呟きます。


「勝手だよ。」

「勝手なのはあなたでしょ。」

「いや、勝手だよ。」

「じゃあね。」


簡素な荷物だけを持ったキリコ告げたのは、短い別れの言葉でした。 

そのまま自分の横をすり抜けて行く彼女の後ろ姿に、タカシは叫びます。


「待って。」

「さようなら。」


「待ってよ!母さん!」




「また会えるといいね。」

「母さん!」


最後の情を孕んだキリコの言葉は、2人の決別を決定的なものにするように響き渡ったドアの音にかき消され、タカシの耳には届きませんでした。


1人になった部屋で、打ちひしがれるタカシ。



「ねぇ、なんでだよ母さん。結婚なんて......結婚なんて言わないで。」


タカシの呟きは、ひんやりと冷え切った室内に吸い込まれるようにして消えていきました。



(終)





【あき的「けこいわ」推しポイント】


①タカシくんの清々しい位のクズさ。

いや〜、クズですねぇ。最後まで自分のことしか考えてないですもんね。今までも、疲労困憊で帰って来たキリコさんの姿を見ても、きっと見ないふりをしてたんだろうなって。何も感じない訳じゃないけど、感じたら自分が辛いから見ないふりをしてたんだろうなって思います。ずるいぞ〜!タカシ〜!

理由はなんにしろ、こうなってしまって、現状に甘えてしまった末の末路ですね。


でもきっと、こうなった道筋の途中には、キリコさんの『仕方ない』って妥協もあるんだろうなって。それが悪いこととは決して言わないし、実際に必要なことだと思うけど、その期間があまりにも長くなってしまい、心身ともに限界が来てしまったんだろうな、と思いました。


だからこそ、最後も『タカシなら出来る』という希望と信頼を込めての選択なんだと思います。

あなたの傷が癒える時間は沢山あったはず。だからそろそろ前に進みなさいって。

荒療治だけど、母なりの優しさなんだと思います。

何時になるかは分からないけど、自立したタカシくんと再会出来るといいね。



②最後のトリック。

いやヒモを養ってる彼女じゃないんかーい!っていうね。

ショートムービーでもボブさんのさんの仕掛けは健在です。

ここも909に所属している人間なら、推したいポイントのひとつでした。

ヒモを養ってる立場ならまぁ「彼氏(ヒモだけど)いるのに他の男とあってたんかい!」ってなりますけど(いや...なるかな...ならんかもな...私が友達なら「いいよいいよさっさと別れな!」って言うかも。)

母親なら尚更解放してあげなよ...って、思って頂ける方が多いことを信じてます。



③(これはほんとに個人的だけど)タカシという名前。

地味だけどツボでした。このわかる人には分かる感。多くは語るまい。何となく言いたいことが分かった人は多分私と同じ青春送った人なんだと思います。絶対友達になれるよ。お友達になろう。J( 'ー`)し




はい。

如何だったでしょうか。

私個人としても、撮影秘話も含めて、大変思い出深い作品です。

ロケ地の場所が入り組み過ぎてて見つからなくて、私もボブさんも仁美さんも迷ったとかね。


そう、これ3人で撮影したんですよ。

小さいハウススタジオを借りて、午前中の数時間で撮りました。


はい。

そして残念ながら、こちらの『結婚なんて言わないで』が、仁美さんの909での最初で最後の出演作でした。

仁美さんは現在も関西でお芝居を続けているそうです。

(いつかみんなで見に行こうね、と団員同士でも話してます。)


そして仁美さんは私たちの公演の度に東京に帰って来てくれます。

毎度遠くから本当にありがとうございます。


背が高くてスマートでお芝居に物凄く熱い仁美さん。

どんな形でも、またいつか一緒にお芝居出来ることを願っております!



ここまでお付き合い頂いたあなたに最大級の感謝を!

読んでくれてありがとうです(੭ˊ꒳​ˋ)੭


以上!

あきでした🐧🐧



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