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Evidence Based Physical Therapy - 理学療法士 倉形裕史のページ

リハビリ職種に必要な症候診断①

2019.04.24 22:58

おはようございます。University College London (UCL)の理学療法士の倉形です。理学療法士はリハ専門職のひとつです。 


イギリスで勉強したことを共有したくてこのテーマで記事を書こうと考えました。 


私は日本にいた最後の約9か月間、訪問看護ステーションで働かせて頂いていました。一人で利用者さん(入院していないので患者さんとは言いません)のお家にお邪魔してリハビリを行うのですが、「一人暮らしの利用者さんが体調不良の時、どのように判断したらいいのか?」と心配していました。幸い、私が働いていた時は、判断に迷う場面に出くわすことがありませんでしたが、病院での勤務経験しかなかったため、ここには苦手意識がありました。 


判断に迷わない場面もあります。 例えば・・・


①訪問した時に、利用者さんが洗面器一杯の血を吐いて、意識を失っていた。
  

→迷わず、救急車を呼びます(救急車を呼ばないというような特別な指示が事前にない場合)。 


②訪問した時に、利用者さんが「いや~、うっかり手をテーブルにぶつけちゃって痛いよ」と言っている。見たら患部に軽い発赤がある以外は特に問題なし
 

→迷わずに、「しばらく様子を見て下さい」と言えます。
 



ただ、中には、判断に迷う場面があります。例えば、高齢者の肺炎などは、咳や発熱がなく、「なんとなくいつもと比べて話が通じないな~」位の状態であったりします。 


・判断に迷う全ての場面で救急車を呼んだり、受診してもらったりすれば、訪問する私たちのリスクはゼロです。利用者さんは安全ではありますが、時間や金銭面でのコストを支払わなくてはいけなくなります。医師(病院)は必要ない追加業務というコストを負わされてしまいます。 


・一方、迷った全ての場面で、何も対応しなければ訪問する利用者さんの健康のリスクはとても大きくなってしまいます。 


利用者さん、私達、医師(病院)の利益、リスクやコストの全部を最大にすることは出来ませんので、一番バランスの良い落としどころを探るというのが必要だと思います。 


そのために、私達リハ専門職も、どういう場合は即受診を勧める必要があるか、またはあまり心配せず経過を見ておけば良いかを判断する必要があります。 


これは診断名や治療方針を決める医師の診断とは全く別物ではありますが、診断の要素が含まれます。この二つの違いに関しては後程説明します。 


イギリスの理学療法士は、このような診断のトレーニングを養成課程で教育されています。
彼らは開業権を持っているためです。 


(ロンドンでは理学療法士が開業しているクリニックを見かけます)



北米、英国圏、ヨーロッパの理学療法士は開業権を持っています。日本の理学療法士は持っていません。
良い悪いではなく、同じ『理学療法士』であっても国によって仕事の権限が違います。
 


ここで私が言う『開業権』というのは、 

「医師の処方なしで、理学療法というサービスを理学療法士として提供できる」

という意味で使っています。 


日本の法律では、「理学療法」と言うのは「名称独占」とされていて、理学療法士以外は提供することが出来ません。 

例えば、私(理学療法士)が病院でやっていることと全く同じことを、医師の指示がなく病院外でやったとします。


それは「理学療法士による理学療法」ではなく、「男性スタッフが提供するリハビリテーションサービス」という位置付けになり、医療保険・介護保険は使えません。 


「えっ?開業する権利がないの?でも、チラシやWeb siteなどで、開業している理学療法士の治療院を見たことがあるよ。」

 と思われる方がいらっしゃるかもしれません。 

チラシなどを少ししっかり確認して頂くわかりますが、その方々は、『理学療法士として理学療法を提供するクリニック』を開業しているわけではありません。
開業権のある鍼灸師の資格を追加で取得して鍼灸院として開業していたり、特に資格の必要ないカイロプラクターや整体師として治療類似行為を提供しています。 


その様な治療院(ここでは便宜的に治療院と書きます)では、理学療法士としてサービスを提供することもできませんし、そのサービスを「理学療法」と言うこともできません。 


日本理学療法士協会は、現時点では理学療法士がこの様な形で開業することを良しとしておらず、チラシなどで「理学療法(士)」という言葉を使って欲しくないと考えています。

なので、チラシをよく見ると、「自分は、理学療法士です。」と名乗っていたり、「当治療院で理学療法が受けられます」とは書いていないはずです。書いていたら、法的にアウトだからです。。。
 


経歴の所に、「理学療法士として○○年間、病院に勤務経験があります。」のような形で、理学療法士の国家資格を持っていること、理学療法士として職務経験があることをアピールする書き方をしているはずです。

この様な書き方は、グレーではありますが、現状は違法ではありません。
 


長くなりましたので次回に続きます。
今日は、本題に入れませんでした。。。
 


今日も、最後までお付き合い頂きありがとうございます。

 理学療法士 倉形裕史 


次回へのリンクです。








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