「元号考証」滝川政次郎著 📖
▮「元号」と言うのは、西洋にはありません
中国・朝鮮・ベトナムなど東アジアに在った年号との事です。
元号は、中国の年の考え方で、改元ごとに其の名が変わります。1年未満でも変わると言うのです。
この書物では、「元号」の始まりとしての中国についてから、日本の元号の始まりについて述べています。
▮しかし、今や年号は日本だけのものとなった。
かつて中国には同じ年号があったこともあるのですが、日本では南北朝時代に二つの元号があっただけで、同じ名称が使われたことがないと言います。
そして、この「同じ名称は使わない」についても、先般の、令和についてのニュースで言われていました。
▮ひとつの時代が変わる時です。
著者が他者の言を借りて言うように、年号は、ある事件事故を表現するには便利です。
「昭和天皇」「明治元年生まれ」「保元平治の乱」の様に、想像もしやすい。
元号は、天皇一代ごとに変わるのですから、和暦は、西暦よりその分変更事項もそれだけ多いと言う事です。
日本は、その両方使っているので余計に多いわけです。
西暦使用が世界の基準である事への論議も、改論ともなると宗教論争になる懸念もあると言います。
▮仏歴
ちなみに、タイ・カンボジア・ラオスなど仏教国では、西暦も使うが、公的には「仏暦」を使用していると言います。
「仏暦」が何かは想像できますが、西暦+543=仏暦と言うのだそうです。
すると、今年は、2022+543=2565年になりますか。
これで思い出すのが、子どもの時に見た、近くのお寺の門脇にある石柱に掘られた年号「紀元二千〇〇年」が似ています。
お寺は仏暦すなわち、釈迦の入滅翌年を紀元元年としているからですね。
当時不思議に思ったものでした。
●この書が、「元号」を考える上では、貴重な基本書であることに変わりわないでしょう。
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※「元号考証」滝川政次郎(永田書房)
滝川政次郎:法制史の大家、法学博士。他の著書:「日本行刑史」「非理法権天」など。