二胡の楽譜
二胡の一般的な楽譜は数字譜です。
二胡は「固定ド(五線譜のように音を固定して、調が変わったら♯や♭で変化させる)」
ではなく、「移動ド(調によって主音をドとして表記する)」方式をとっているため。
移動ド(数字譜)のメリットは どの音を主音にしてもドとして捉えられるようになるため、相対音感が身につく。
♯や♭の表記が限りなく少なく済むため、シンプル音が表記できる。
特に数字譜は音と音の空間としての余白が多いため、特に古典曲を弾く場合、
丹田を意識しやすい。
呼吸や、音と音の隙間の音が見えやすい(二胡を長年学んだ場合にわかってくること
かもしれませんが)。
というところでしょうか。
固定ド(五線譜)のメリットは 音がひとつしかないため、絶対音を頭で鳴らしやすい。
譜面を見た瞬間にリズムや音の高低がわかりやすい。
ト音記号の脇に記載される調号を読むと、これまた絶対音で調の音階が頭で鳴りやすい。
バンドなど、五線譜表記の楽器とセッションするときに同じ譜面を見れるのでやりやすい。
「正しい音はひとつしかない」というシビアさを感じるため、
五線譜楽器とセッションする際、ピッチの向上に役立つ。
というメリットがあります。
デメリット的な部分では
(両方で二胡を演奏している立場から、あくまで個人的に思うこと)
数字譜よりも空白部が少ない=譜面自体が混み合って見えるため、
音をなぞるだけで満足してしまうような気がする。
楽器に慣れないうちは丹田に意識が行きにくい→二胡らしい音色を出しにくい。
フレーズの合間の呼吸がとりにくい。
演奏の中に二胡の技法(二胡らしいニュアンス)を取り入れたい場合、
譜面を見てイメージできるようになるのに数字譜より時間がかかる。
ように思います。
それぞれのメリット、デメリットがあるので一概にどちらの方が良いとは言えないのかも
しれませんが、日本の環境では一般的にどの楽器でも、五線譜のものが多いため、
小さい頃からピアノや弦楽器といった、ある程度の音楽経験をお持ちの場合は、
五線譜の方が読みやすいかもしれません。
数字譜は二胡の歴史を学ぶ意味でも大切だと思いますし、
五線譜の必要性も将来的には避けて通れないと思います。
それぞれの良さを生かして、両方読めるようになったらベストだと思います。
幸い私の師匠 ウェイウェイウー先生は幼少期からバイオリンを学び、
バンド活動も積極的に行われていたため、
五線譜で二胡を学ぶ機会が多いのは、両方を学ぶ上でとてもありがたかったです。
私自身、音楽経験がある方でも、「二胡で初めて、音楽を学びます」という方でも、
数字譜、五線譜、両方が読めるようになるよう、
指導させていただいています。