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【予告】アナザーテラー~もうひとつの物語~

2019.04.28 17:49

※この内容はフィクションです。

記者に取材を申し込むというのは、妙な気分だった。


タワーオブテラーを題材に何か書けないか。そんな企画が持ち上がった時、私の足は自然とニューヨークグローブ通信社へと向かっていた。

そこには誰よりも永く、ハイタワーホテルを見続けてきた男がいる。


マンフレッド・ストラング。

彼は私に会うなり、こう言った。


「小説の体裁をとってくれないか」 


彼の言い分はこうだ。

記者である自分には事実しか書けない。

だが、本当に重要なことを伝えるには、

事実の羅列では不可能だ、と。


「アナザーテラー」とは、

正確な記録ではない、歴史小説である。


そして、マンフレッド・ストラングという個人が辿り着いた、

ハイタワーホテルに対する暫定的な結論である。

記者の脳裏をよぎる、あの夜の記憶。

──時は1912年。

科学が発展し、人々の思考から魔術や神の存在が薄れて久しい時代に、彼は「呪い」の存在を確信していた。


マンフレッド独りの力では限界があった。

都合よく協力してくれる者もそういない──思っていた矢先にあった、出会いと再会。


異変を前に動揺するマンフレッド。

これだけのことが起きながら、なおも呪いを認めない保存協会に苛立つ。

しかし、対する保存協会の代表、ベアトリスもまた苦悩を抱えていた。

──始めは、確かなものを感じていたのに。


"彼がこっちを見ている"

大柄な男が警戒する視線。その正体は何なのか。

閉ざされていた偶像の眼が、再び開かれる。


ついに邂逅を果たした、宿命の相手。

同じ事件を目撃しながら、

一人は市民を救う者に、

一人は市民を陥れる者になることを選んだ。

そして──。



(編集・デザイン/午前零時の幽霊  写真/アリエルおじさん)


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