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ノートルダム大聖堂の「再建」をめぐっての様々な思惑

2019.04.22 19:36

ノートルダム大聖堂の「再建」をめぐっての様々な思惑

 先週の最も大きなニュースというのは、ある意味でノートルダム大聖堂の火災ではないか。私は、自分の経験と判例などを読んでいる知識から、勝手に「漏電ではないか」というような推測を立てて、その話をしてみたのであるが、どうもその方向性でそのような話になっているのではないか。捜査情報というか、マスコミの報じる内容ではどうも漏電が原因というような感じになっているのである。

いずれにせよ、起きてしまったことに関してはどうしようもない。時間を元に戻せないのであり、800年前に建てた状態で、そのまま火事に会わなかった状態の前に戻すことはできない。では「再建」というときに、どのような形に行うのかということが大きな問題になるのである。

ノートルダム大臣の火事の後、すぐに様々な話が出てくる。まずすぐに世界の話題をさらったのが、寄付金である。日本円で120億もの寄付をすぐに表明した人もいた。またローマ法王もトランプ大統領もロシアのプーチン大統領も、中国の習近平国家主席に至るまで、名だたる世界の指導者が残念というコメントを発信した。

日本の場合相手が「教会」であることから、政府が中心になって再建を後押しすることはできない。何しろ靖国神社であれだけ言っている「政教分離の原則」があるのだから、このようなことになる。今まで野党の皆さんが政教分離を言い、靖国神社のことをやり玉に挙げたが、このような時には「世界から仲間外れにされる」という非常に問題のあることが起きるのである。

そのノートルダム大聖堂は、再建するのに数十年かかるといわれた。しかし、火事の二時間後に会見をしたマクロン大統領は、5年以内に再建すると公言したのである。この問題が何を意味するのか非常に興味が出てきた。

「新デザイン」か「忠実復元」か ノートルダム大聖堂修復で論争

 【パリ=三井美奈】火災で損壊したフランスのノートルダム大聖堂の再建をめぐり、元通りの姿に復元すべきか、新デザインにすべきかで、国内論争が起きている。

 政府は17日、尖塔(せんとう)の再建について、世界中の建築家に呼びかけて国際コンペを行うと発表した。マクロン大統領はこれに先立ち、5年以内の再建を目指す方針を掲げ、「より美しい姿にしよう」と呼びかけ、デザイン変更に前向きな姿勢を示した。

 これに対し、保守系の最大野党「共和党」のボキエ党首は「元通りの姿にすべきだ」との考えを表明。同党幹部は「大統領は謙虚になるべきだ」と注文付け、「国民の声を問う」としてインターネットの意見募集を開始した。極右「国民連合」のルペン党首も、新デザインの導入に反対した。

 文化財の建築家の間でも意見が分かれる。「耐久性を優先し、木造の骨組みや鉛製の屋根は、現代の軽い金属に替えるべきだ」との声に対し、「歴史的建築物は忠実に再現すべきだ」との反論が出た。

 大聖堂は14世紀に完成。尖塔は倒壊の危険から18世紀に撤去された。19世紀、文豪ユゴーの呼びかけで大聖堂が全面修復された際、建築家ビオレ・ル・デュクが、かつての尖塔に新デザインを加えて復元した。

2019年04月19日 17時54分 産経新聞

https://news.nifty.com/article/world/worldall/12274-252702/

ノートルダム高額寄付に怒り=反政府デモ激化も-フランス

 【パリ時事】大火災に見舞われたフランスのパリ中心部にある観光名所、ノートルダム大聖堂の再建のため、大富豪らから多額の寄付金の申し出が相次いでいることに対し、マクロン大統領の政策に反対し昨年11月からデモを続けている抗議運動参加者らは「不公平だ」と不満を募らせている。

 抗議運動の中心となっている女性は17日、「社会的な惨状には何もしないのに、わずか一晩で膨大な金を拠出できることを見せつけた」と高額な寄付を批判。インターネット交流サイト(SNS)上では「人間より石が優先されるのか」などと反発する投稿が相次いだ。

 有力紙フィガロは、20日に予定されているデモについて「怒りを募らせたデモ隊が結集する可能性がある」と指摘。再び破壊行動が起きる恐れがあると報じた。

時事通信社(2019/04/19-08:06)

https://web.smartnews.com/articles/fPbtdDgk6Tx

 まず二つの問題がある。一つは「再建とは何か」ということである。再建には二つの方法がある。

一つは800年前、つまり火事の「前の状態と全く同じものを作る」という方法である。この方法では、木組みなど様々なことを行うのであるが、当然に建築方法まで踏襲するとは言っていないので、現在の重機などを使って全く同じものを使うというものである。私の好きな城で話をすれば、木造天守閣を戦国時代と同じ内容で作るということであろう。宮大工などがいなくなった現在の状態でかなり難しいということになる。

一方で「コンクリートなど現代の工法で行う」ということである。まあコンクリートなど様々な現代技術を使い、現代のビルを作るように作るということになる。城で言えば、まったく同じ形のコンクリート天守閣を作るという考え方である。ある意味で現在の大阪城や名古屋城の天守閣がそのような感じであろうか。

そしてもう一つ「新規の建物を作る」ということである。壊してしまい全く新しいものを作るという。まあ、日本で有名なところといえば、福井県の永平寺などがそうであろうか。本殿や行動などは別であるが、入り口の建物は鉄筋コンクリートである。

さて、マクロン大統領は、「より美しい姿にしよう」と呼びかけ、デザイン変更に前向きな姿勢を示した<上記より抜粋>問うようなことになっている。

まあ、ノートルダム大聖堂の今までのイメージがある人にとっては、全く異なる内容の建物がそのままあそこに立つことは許せない。私などは政治首主張やマクロン大統領のイデオロギーを含め「左翼共産主義、史的唯物論の大統領は言うことが違う」と思ってしまう。まあ伝統とか、歴史とかそういうことに重要性を感じない人々であるからそのような結論になってしまう。単純に言えば、中国において三国志の曹操の墓の上に騎馬像を作ってしまったり赤壁の戦いのあったところの岩壁に「赤壁」と大きく語りするようなものだ。中国などと全く同じその精神性に、「他人事」といえば問題かもしれないが、ある意味で感心してしまった。

保守系の最大野党「共和党」のボキエ党首は「元通りの姿にすべきだ」との考えを表明。同党幹部は「大統領は謙虚になるべきだ」と注文付け、「国民の声を問う」としてインターネットの意見募集を開始した。極右「国民連合」のルペン党首も、新デザインの導入に反対した。<上記より抜粋>

まあ、保守系はこうなるであろう。フランスの国民が左翼になるのか、保守を守るのかということがこのことでわかるのではないか。

一方、でもはどうなったのであろうか

黄色いベストデモは、まさに「資金」や「生活」の問題である。ある意味で、その内容が自分たちの生活の問題である。

「社会的な惨状には何もしないのに、わずか一晩で膨大な金を拠出できることを見せつけた」と高額な寄付を批判。インターネット交流サイト(SNS)上では「人間より石が優先されるのか」などと反発する投稿が相次いだ。<上記より抜粋>

まさにこの言葉がすべてであろう。自分たちがデモをしているときには全く出てこないで大聖堂であると出てくる。まあそんなものなのかもしれないが、その速さなどから考えればデモ隊は無視されたようになるであろう。日本でも同じような状況になるとは思うが、それでも同じパリで起きていることなのだから、何か配慮があってもよさそうなものである。

そのうち黄色いベストデモがノートルダム大聖堂の再建現場を襲うようになるのではないか。フランスは大聖堂以上に人心が乱れているような気がする。