14. タイムマネジメント
仕事タイプ別時間配分の調査は「現状分析」のためにしばしば行われますが、調査してみると意外な事実が判明することがあります。この種の調査は効率改善には必要不可欠です。
百貨店の化粧品売り場の時間帯別売上状況を調査したことがあります。当時の百貨店は10時に開店し7時に閉店でした。約一週間にわたり時間帯別の売上を調べると、10時~5時までの7時間に一日の売上の約50%が、そして残りの半分が5時~7時までの2時間に集中していました。毎時間、均等の売上ができればよいのですが、さすがにこればかりはお客様の都合によるものなので仕方がありません。
当時のビューティアドバイザーのひとりあたりの平均売上実績は月間2百万円、接客単価は7千円でしたので、一日の接客数は、月間22日の稼働日数とすると、約13人(2,000千円÷7千円÷22日)になります。夕方5時までが比較的暇な時間となり、接客数は半分の6.5人(13人÷2=6.5人)となり、1時間当たりの接客数は0.9人(6.5人÷7時間)になることがわかりました。暇な時間帯の接客数がたったの1人だという事実には正直のところ驚かました。1人あたりの接客時間は約10分ほどですから、残りの50分は手持無沙汰な時間になることになります。この暇な時間を有効に使えるかどうかは、ビューティアドバイザーの考え方によります。つまり暇と思えば何もしないかもしれませんが、優秀なビューティアドバイザーは忙しく動き回っています。従って、ビューティアドバイザーが優秀かどうかは、暇な時間の動きを観察すればわかります。
ビューティアドバイザーを「湖上の白鳥」に例えることがあります。白鳥は優雅に泳いでいますが、実は水面下では絶え間なく、休むことなく脚を動かしているのです。生半可な気持ちではビューティアドバイザーにはなれません。いつも忙しく、見えないところで動き回っているのがビューティアドバイザーなのです。
同僚同志のコミュニケーションも同じことが言えます。お互いが忙しく仕事をしている時には特別なコミュニケーションをする必要がありません。要件があれば電話したりメールを交換するなど多くの接点があるからで、暇になり互いの間に接点がなくなるとコミュニケーションが途絶えて問題が生じます。暇な時こそ普段以上にコミュニケーションを積極的にとる必要があります。