コンテンポラリーダンスの本、バレエの本、踊り・舞踊学の本
コンテンポラリーダンスをはじめとするダンスやバレエ、舞踊学などの本を紹介します。随時更新。
■『ダンスは冒険である―身体の現在形』石井達朗著、論創社
舞踊評論家の石井達朗氏による、コンテンポラリーダンスの論考やダンサー・振付家のインタビューを収録した本(2020年2月刊)。
■『どうせダンスなんか観ないんだろ⁉激録コンテンポラリー・ダンス』乗越たかお著
2004~2009年に雑誌に掲載された原稿を中心に編まれた、当時の日本や世界のコンテンポラリーダンスの潮流を垣間見ることができる本。
■『西麻布ダンス教室―舞台鑑賞の手引き[増補新版]』桜井圭介、いとうせいこう、押切伸一 著、白水社、1998年
まだコンテンポラリーダンスという言葉が日本で言われていなかった時代に出版された本かもしれないが、ラバン、ウィリアム・フォーサイス、ダンカン、グラハム、ヴィグマン、ピナ・バウシュ、舞踏(土方巽、大野一雄)、ベジャール、ローラン・プティなどに言及している。
「時代」や「国・地域」といった区分ではなく、「マトリクス」という切り口でダンスや振付を語っているのが特徴。マトリクスは、「抽象」か「具象」か、「天上的・運動」か「地上的・身体」か、というもの。この4つの要素を基に、ダンスや振付家やダンサーがどの辺りに位置付けられるかを示した図が冒頭に掲載されている。
今読んでも興味深い点がいろいろあると思う。女性振付家・ダンサーに対する言い方には侮蔑的な表現が含まれていて、現代においては完全にアウトな記述が散見されるのが残念な点。
■『国際コンテンポラリー・ダンス―新しい<身体と舞踊>の歴史』原田広美著、現代書館、2016年
1961年生まれの舞踊評論家でゲシュタルト療法の実践者でもある著者が、バレエの成立も踏まえながら、20世紀以降のモダンバレエ、モダンダンス、ポスト・モダンダンス、そして現代のコンテンポラリーダンスを紹介。
ヨーロッパの国際ダンスフェスティバル、ウィーンの「インプルス・タンツ」、南フランスの「モンペリエ・ダンス」、ロンドンの「ダンス・アンブレラ」で上演された作品について、来日公演にも触れながら幅広く書いている。「バニョレ国際振付コンクール」の歴史的意義などにも触れている。
20世紀以降のダンスを概観し、今日注目したい振付家やダンサー、彼らが扱っているテーマを知ることができる書籍。
■『コンタクト・インプロヴィゼーション―交感する身体』 シンシア・J・ノヴァック著、立木燁子、菊池淳子 共訳、フィルムアート社、2000年
'Sharing the Dance: Contact Improvisation and American Culture' (1990)
コンタクト・インプロヴィゼーションについて、成り立ち、代表的な実践者、文化・社会的意義、課題など、包括的に紹介した良書。
■『身体感覚の旅―舞踊家レジーヌ・ショピノとパシフィックメルティングポット』 富田大介編、大阪大学出版会、2017年
踊りがどう立ち上がってくるのかを体感できるような書。
■『新・舞台芸術論 21世紀風姿花伝』 小池博史著、水声社、2017年
一人の演出家・振付家がどう生き、何を考えて創作しているのかが垣間見える。
■『オイリュトミーが育むこころとからだ―動きの教育学』 秦 理絵子 著、水声社、2011年
ドイツでオイリュトミーを学び、日本のシュタイナー教育の学校でオイリュトミーを教えてきた著者による、オイリュトミーの概要が分かる本。オイリュトミーはシュタイナーがダンサーと一緒に開発したもので、教育に取り入れられているほか、ダンサーによる公演も行われている。言葉の音を体の動きや呼吸で表すイメージだろうか。
■『シュタイナー教育とオイリュトミーー動きとともにいのちは育つ』 秦 理絵子 著、学陽書房、2001年
シュタイナー学校でのオイリュトミーの授業から、子どもたちの成長を描き、オイリュトミーの意義を探る書。
■『オイリュトミーの世界―ルドルフ・シュタイナーによって創始された宇宙神殿舞踊』高橋弘子著、水声社、1998年
オイリュトミーを、舞踊、教育、治療などの観点から解説。
■『オイリュトミー芸術』 ルドルフ・シュタイナー著、高橋巌訳、イザラ書房、1981年
原書は1957年発行。オイリュトミーの母音や子音のそれぞれの音を表す動きの図解付き。講演で話された内容の記録もあり。
■『劇団態変の世界―身障者の「からだ」だからこそ』 劇団態変 編著、論創社、2017年
1983年に金滿里氏が「身体障がい」のあるパフォーマーたちと立ち上げた劇団態変。金氏と様々な分野で活躍する人たちとの対談の記録。
■『踊る身体の詩学―モデルネの舞踊表象』山口庸子著、名古屋大学出版会、2006年
ざっとしか読んでいないが、今後じっくり読み直す機会があるかもしれない。身体や舞踊の捉え方には危険も潜んでいるし、それらへの見方から人間観、社会観、世界観が剥き出しになることもある。
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