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WUNDERKAMMER

その家の巨人

2019.04.29 13:48

俺の通ってた中学校まで行く途中に、やたら高い壁(?)に囲まれた家があった。

友人とその家の前を通るたび、へんな家だよな、と話していた。

なにしろ門以外、すべてが高い石の壁に囲まれており、

しかも、それより高い木々がはみ出していて、

まるで森みたいになっていたんだから。

でも表札はあるし、(すごい難しい漢字で、読めなかった)

確実に誰かの家という事は分かってた。

でも、住んでるのがどんな人か、というのは中学三年まで知る術がなかった。 


中学三年のある日。クラブの朝練の為、早朝6時ぐらいに一人で学校に向かっていた。

そしたら途中で、事故の現場に遭遇したんだ。

あの石の壁の家に、トラックが派手に突っ込んでいた。

幸い運転手は無事だったみたいで、トラックから降りて携帯で何かを話していた。

で、あの城壁みたいな石の壁には、事故のせいで派手な穴が開いていたんだけど、

歩くスピードを落として、ちょっと中を覗いてみた。

中に居たのは、数え切れない程の大量の人間。男か女もわからない。

みんな、カクカクした妙な動きで何かをしていた。

??・・・と中の状況が理解できないまま、でも足を止める訳にはいかず、

そのまま学校へと向かったんだ。 

その日の学校は4時間の日で、クラブも朝のみの日だったから、

学校を出たのが12時ぐらいだった。

また、あの石の壁の家の前を通る・・・。

と、まだトラックが突っ込んだままだった。

えー、まだ片付けてないのかよー、などと思いながら近づいていくと、

運転手が、トラックが開けた穴の向こうに向かって土下座してる。

何だろうと気になって、また歩くスピードを緩めて壁の奥を見たんだ。

・・・あれだけ居たはずの者達はただの一人もいなくなっていた。

代わりに、とてつもない大きさの人間?(上手く表現できない、申し訳ない)が一人だけ居た。身長は、4メートルはあったと思う・・・ 

びっくりして、というよりかは呆気にとられて足がとまってしまった。

トラックの運転手はひたすら土下座してる。

そいつは、カクカクした妙な動き(朝に見たあの人間達の動き)をしながら、

巨大な家の柱に半身を隠して、もう半身だけで運転手を睨んでいた。

目がやけに大きくて、ぎょろりとしていた。

訳がわからないまま、俺は何となく、一瞬だけ運転手の方に目をそらしたんだ。

そして、もう一度前を向いた時、その巨大な人間が、

運転手じゃなく俺の方を睨んでいる事に気付いた。

柱をガリガリとかじりながら・・・


途端、これ以上は見てはいけないと、慌ててその場から逃げたんだ。

その後、一日休みを挟んで、次の登校の時にはもう完全に石の壁は修理されていた。

俺がいくら考えた所で、あれが何だったのかは解らない。

もう、大分遠くに引っ越してしまったしね。

でも、一連の出来事が不可解すぎた故に、今でも鮮明に思い出せるよ。