平成のうちに
善い人間でありたい、綾奈ゆにこです。そう思う理由を考えている。
平成のうちにやっておきたいこと、結構クリア出来て何も思い残すことがない(仕事は令和にまたぎますが……)。
・無駄に払い続けている契約の見直し
・ダイレクトメールの配信停止
・会社やら請求書やらの事務作業
・学生時代の年金保険料追納
・美容院行って、証明写真撮って、パスポート更新
・はしか(麻疹)の予防接種
・とあるショットバーに行く
全く使わなくなったモバイルWi-Fiの契約を3、4年放置していた。契約の見直し等のために、どこかに電話したり赴いたりするのが本当に苦手で、それに向き合うくらいならお金払うわ、と毎月しっかり引き落とされていた。思いきって電話したらあっさり解約できて、拍子抜け。カスタマーセンターの方が親切だとありがたい。
仕事関係でない方と接する時は、ちょっと緊張する。地元の病院や銀行の方はいつもとても親切で、お世話になる度に、「この街が好きだ〜〜!!」と心の中で思う。コンビニの店員さんたちも好きだな。今の街に住んで14年くらい、この街に来て良かった。好きすぎて、ここに骨をうずめたいと思ったんだけど、お墓は無いようです。まじか。
国民健康保険料の学生納付特例制度。所得の低い学生のうちは、申請すれば納付待ってあげるよという制度ですが、これの追納期限が10年というのをうっかり忘れていた。10年を過ぎてしまった数ヶ月分はもう払えないというから驚き。あわてて払ったけど、将来もらえる年金はちょっと減ったと思う。どちらにせよ、あまりもらえないらしいけど……うん。将来の自分、困ったらごめん。
とあるショットバー。22歳の夏に挑戦して、昨夏も挑戦したけど、びびって結局入れなかった。平成のうちに入れなきゃ、きっと一生無理!と、思いきって行った。
映画を観たあと、傘をさしながらてくてく歩いて。金曜の夜だったけど雨のためか人通りは少なく、いつも満ちているギラギラした欲望も薄く、なんとか歩いて行けた。開店時間、まだ開いてないのかなぁと店の前でぼーっと立ってたらガチャッと内側から扉が開き、店員さんがびくっと驚いた。
店内には彼女の趣味だろう男性アイドルのカウントダウンライブ映像が流れていた。どこに座るのが正解なんだろう、と考えながらカウンターの一番奥に座り、辛口のシャンディガフを飲みながら、思ったよりめちゃくちゃ話してしまった。店員さんの雰囲気だろう。緊張から話したというよりは、話したいから話した。ある程度、ひとを選んで話すことの多い過去話が、そこではさほど特別なことではない、というのが新鮮だった。気兼ねなく話せる一方、自分にとっての特別な話を、話のたねにただ消費するのが虚しく、それ以上過去の話をするのはやめた。
「ずっと来たかったけど、びびって入れなかった」と言うと、「えー怖いですか?」と笑われた。「じゃあ今日すごい勇気だして来たんですね。しかもひとりで!」 過去2度の挑戦は、友人と一緒だった。よく分からない場所に誰かと一緒に行って巻き込むのが嫌でと言うと、「プレゼントとか自分の良いと思ったものあげるタイプですか?」と店員さん。会話が上手い。
「どんなところだと思ってました?」と聞かれ、ちょっと言葉をにごす。漠然と、自分の居場所かもしれないと思っていた。22歳の時に、その期待は一度打ち砕かれて絶望したけど(その直後に初めてシリーズ構成の話が来たので仕事に打ち込めってことかなと思った)、諦めきれずまた挑戦したのが今回。頑張って店に入ってお酒を2杯飲んだけど、思ったより「普通」だった。特別視していたことを反省した。
系列店のカフェで薬膳カレーをいただいて、その日は帰った。「居場所」にするほど寄っかかれる場所ではなかったけど、行ってみて良かった。一番の収穫は、どういう職業の方が多いかという話。生きていく覚悟を決めて、頑張ってる方々がいる。心強い。
答えが出ないまま平成が終わる。答えを出さない方がいいこともある。