成れの果て
2014.03.02 02:58
私は、ゲームの子供だった。
物心ついた頃から、ただひたすらゲームをしていた。
自分の思考とは無関係に、ゲームのルールに沿って、数多の敵を殺していた。
ゲームが好きだった。
でもいつの頃からか、心の中に、無意味に敵を殺し続けることへの悲しみが在った。
自分より遥かに劣った性能の敵を沢山殺しまくることで、スコアを稼いだり、レベルが上がって自分が強くなったり、レアアイテムを出さなければならない、そんなゲームシステムへの疑念も。
ずっとずっと。ゲームを愛しながら、ゲームに失望していた。
ゲームに失望しながらそれをどうしようともせず、離れられず依存している自分にもまた、失望していた。
敵も、勝ち負けも存在しない、リズムアクション系ゲーム(所謂音ゲー)に逃避したり、
逆に、ほぼ対人しか存在しない、格闘ゲームにのめり込んでみたり。
…物心ついてから今まで、様々なゲームと出会い、プレイしてきた。
そしてついに、ひとつのゲームに辿りついた。
敵を殺さなくていい。無意味な事をしなくていい。確実な答えは存在せず、決まったシナリオも存在しない。
経験値は目に見えないけれど、自分の内に確かにたまっていき、それによって対象を攻略する。
実に奥深く、面白いゲーム。
それは・・・他人の心だった。
ひとと出会い、心を覗き、対象を選択し、自分に想いを向けさせ、通わせること。
そして共に生き、成長すること。
なんて素敵なゲームなんだろう!私はその"ゲーム"に出会う度、のめり込んでいった。
―自分が、他人の感情を食い物にして生きる、ネットゲームに巣食う妖怪のようなモノだ、という事に気付いたのは、大分後になってからだった。