一区切り。(リンネについて②)
どうやらニホンは、大きな一区切りを迎えるらしい。ただ意外と人々の関心は薄いように思えるの。
あぁ、紹介を忘れていた。
使徒のスプーンじゃ。
最近、天乃川は異端審問会業務が多くての。儂が代わりに書く。
この時期は何やら異端審問が多く行わられる。心情的に不安定になりやすいのだろう。その不安定さが異端を引き起こすこともよくある事だ。まぁ……"異端"そのものがまず不安定な定義なのだがな。
そうそう、忘れていたが約1ヶ月前のエイプリルフールの日。あれは、散々だった。
天乃川がやたらいろんな人に絡んでは、何か物欲しげな目で見てくるのだ。時間が経ち、今度は次の日になった瞬間に「昨日の私、変じゃなかった?」と聞き回る次第。
皆口を揃えて「いつも通りだった」と言う。
そうしたら天乃川が拗ねて何処かへ消えたのじゃ。恐らく自室に篭り、自室の共通認識を遮断したんのだろう。このリンネで、"認識"を遮断されてしまったものは、文字通り認識することが出来なくなるからな。
そうしたら、異端審問官のオオカミ爺さんが苦笑いしながら「昨日はエイプリル・フールだったのですよ」と自分は知らないふりをしていたことを告げた。天乃川なりに、"いつもと違う天乃川になっている"というわかりにくい嘘をついていたらしい。
その様子に慌てふためいていたのは、側近の兎くらいだったな。あいつはいつも素直に受け止めるからの。
そうだ。前回、天乃川が触れた単語について一つ。解説しようと思う。
"穴"のことだが、これはリンネの出入り口を指す。シンジュクのとある場所に存在するその大きな穴は、リンネの者以外は見えない。
リンネ側から人間界への穴は常に開いているが、人間界からリンネへの穴は常に閉じられ門番がいる。
通称、七福神。七つの人格を持った武器オタクじゃ。気持ち悪いほどよく喋るやつでな。正直、苦手。
人間界から戻る時は、穴の場所に立ち、此奴の許可を取り、文字通り落ちる。あの出入り口が"穴"と呼ばれるのは、その通り落下してリンネに行くからだ。あれには慣れるのに苦労する。
リンネ側からの穴は、シンジュクの他にも各所に点在しているが、人間界側からの穴はニホンにはシンジュクの一つの場所にしかない。つまりどれだけ遠くに行っても、リンネへの入り口に行くにはシンジュクに行くしかない。
理由はよくわからない。私の知恵を絞っても、理解不能だ。そもそもあの穴が、何故あるのかも知らない。
先程"ニホンにはシンジュクの一つ"と言った通り、本当はもう二つある。
長くなってしまうな、また次の機会にでも。
では。