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Pink Rebooorn Story

第5章 その9:「完全奏功」

2019.04.30 12:19




2016年1月7日、術後初のK病院。今日は乳腺外科ではなく、再建後の経過観察のため形成外科で診療を受ける。久しぶりに田辺先生に会えたと思ったら……この日私がされたのは、




「ぐりぐりぐりぐり」




されたこと(TT)




術後、体内に溜まった水を抜かなければならないのだけれど…何か注射器のようなものでスマートに吸い出してくれるのかな?と軽く考えていたら、なんとそのまま先生の手によって押し出されるという超アナログなやり方!もちろん麻酔もなし(TT)でも、この処置のおかげで、固くなっていた乳房がやわらかくなった。手術の病理結果はさらに約一週間後とのことで、この日の診療はこれで終わりだった。




真っ黒く変色し、一部皮膚が穴のように内側にめり込んで陥没している傷口も気になりつつも、それより気になっているのは、病理結果だった。




仕事は順調に再開できたとはいえ、次の診察日のことが気がかりで仕方ない。心配しすぎるといけないと思い、近場へ運転してみたり、マンガを借りてみたり、部屋の棚を整理整頓してみたり、ほどよく気を紛らわせて過ごすよう心がけた。




うれしいこともあった。まず、髪の毛やまゆ毛が生えてきたこと!よーく見ると顔の産毛も生えている。こうなったらヒゲでもありがたい。胸やお腹の皮膚が回復し、無感覚だったり痛かったりするところがジンジンするような感覚に変わってきたのも良い兆候だと思えた。普通の感覚機能が戻ってきている証拠かもしれない。




そして、13日、運命の病理結果の日。




相変わらずといえば相変わらずの私は、やっぱりこの日を迎えるまでに悪夢を何度か見たし、右目の下もヒクヒクしていたし、ストレスっぽい口唇炎もできていた。




だって、もしここで、病理結果に問題があったとしたら…?

こんなに頑張ってここまでやってきて、それでもまだがん細胞が残っていたら…?

小さな期待と大きな不安の中、受け取った結果はこのようなものだった。






MR 検査報告書

(術前化学療法後、摘出手術&乳房同時再建前)


PET/CT 検査報告書

(術前化学療法後、摘出手術&乳房同時再建前)


組織診 報告書

(術前化学療法、摘出手術&乳房同時再建後)





尾田平先生は、いつものぶっきらぼうな口調で、良い結果であるということを伝えてくれた。そして「陥没している部分は、縫合した方が早いな」と言った(のちに、この部分は再手術となった)。




傷口がある程度治るまではまだまだ時間がかかるだろうし、どれくらいきれいに元通りに近付けるかもわからない。それでも、言葉にならない嬉しさで、私は今この時を噛みしめた。




化学療法を終え、手術を終えて、今がん細胞がなくなったからといって、私の人生が乳がんから完全に離れるわけではない。一年後二年後、その先もずっと検診は不安でいっぱいになるだろうし、食事制限も私のことだからそう簡単には辞められないだろう。ずっと私は乳がんと関係をもったまま生きていく。でも、それでいい。この歩みそのものは、私が私であることの証だ。




これからも不安はなくならない。でも。




こんなに弱い私がここまで弱さをむきだしにして頑張ったのだから、そして弱くても弱いなりに勝ち取ってきたものがあるのだから。




そんなに簡単に、降参してたまるか。




弱くっていい。時には負けたっていい。「痛いの痛いのとんでけー!」って励まし励まされて、翌日またやり直したらいいんだ。




私を支えてくれたすべての人のために。今も苦しんでいる誰かのために。