16. 意思決定
学生時代は試験の点数が高い学生が優秀だと言われましたが、社会にでると優秀なビジネスマンと呼ばれる人は企業の成長に貢献できるかどうかによります。言い換えると「適切な意思決定ができる人」となります。
「適切」とは、違法な行為は困りますが、会社および社員にとって利益になるという意味です。意思決定の内容は致命的な事項から事務的な些細なことまで様々ですが、一般的に職位が高ければ懸案事項の重要度は増え件数は少なくなります。
一方、職位が低くなれば内容も軽度で件数は増える傾向にあります。
カウンター内の仕事に関しても同様で、チーフと新人のビューティアドバイザーでは意思決定の内容は異なってしかるべきで、チーフが新人と同じことを意思決定しているようではチーフとしては失格です。
意思決定をする際に気を付けておくことは、その決定した根拠を明確にしておくべきで一時的な個人的感情で決めてはいけません。プライベイトでは個人が好きなように決めればよいのですが、仕事上の意思決定はそれではこまります。同じようなミスを将来繰り返さないためにもキチンとした理由を明らかにしておく必要があります。
意思決定をすることは非常にストレスで、もし意思決定をする必要がなければ仕事はなんと楽なことでしょう。意思決定の評価はあくまでも結果であってプロセスではないからで、どんなに頑張っても成就できなければ評価されません。職位が上になればなるほど意思決定の呪縛から逃れることができなくなります。したがって、逃れることができないのならばポジティブに考えるように割り切ることが必要でしょう。
言い古されていることですが、意思決定の手法にKKD方式があります。この方式は経験(Keiken),勘(Kan)そして度胸(Dokyo)のそれぞれの頭文字をとったものですが、この手法は未経験者にはお勧めでできません。その理由は意思決定に明確な根拠が無く、個人の経験、勘、そして度胸だけで決める方式だからでワンマン経営の企業に多く見られる手法です。社長に「どうしてそのように決定するのですか」と質問すると、「長い経験から間違いない、一目みて勘がはたらいた、そうあってほしいから」そのような返事が返ってきます。それでも結果がよければよいのですが的中率は高くはありません。適切な意思決定に必要な善悪の根拠を10項目として列挙しました。
(1) お客様が喜ばれることは善い事である
(2) 売上が上がることは善い事である
(3) 経費効率が高いことは善い事である
(4) 顧客数が増えることは善い事である
(5) イメージにプラスになることは善い事である
(6) 社員がやる気を起こすことは善い事である
(7) 職場が明るくなることは善い事である
(8) 納入業者が喜ばれることは善い事である
(9) 社会貢献に寄与することは善い事である
(10) 情報を共有することは善い事である
これらの10項目が全て該当するならば最適ですが、実際には「優先順位(プライオリティ)」を設定します。
優先順位は意思決定者の経営方針や経営哲学によって変わりますが、個人的にトップ3を挙げると、「お客様が喜ばれることは善い事」「社員がやる気を起こすことは善い事」「社会貢献に寄与することは善い事」ですが、貴方の優先順位はどうでしょうか。
最後に、最悪な基準は上司が喜ぶ、社長が喜ぶなどですが、社長の奥さんが喜ぶ事、これは冗談のように思われますが、意外に暗黙の了解事項として結構あるのです。
これらの間違った根拠が社員の意識に潜在していると、いつか爆発し会社にとって致命傷になることがあります。