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マヤ

三代目❤夢小説 『NAOTO編106』

2019.05.04 07:40

まりあが勤める保育園に到着してすぐ、園長が慌てた様子で二人を出迎えた。



「園長?なにかあったんですか?」



「まりあ先生何も聞いてないの?」



「なんのことですか?」



「碧くん、さっき退職願を出して自分の荷物をまとめて出ていったんだけど」



「碧先生が…」



「彼から何も聞いてないの?」



「私は何も…」



直人が園長に尋ねた。



「退職願いってことは、また出勤されるんですよね?」



「それが…」



「病気の親御さんの転院も済ませて、今日東京を発つそうでね」



「彼の故郷って…」



「東北です」



まりあは動揺している風でもなく、直人を真っ直ぐ見て、落ち着いた様子でそう答えた。



「なんの前触れもなしに…」



園長はため息をつきながら椅子に深く腰掛けた。



「同僚の先生達には、時に厳しく接することもあったけど、仕事ぶりは真面目で、園の運営にも尽力してくれていたのに…痛手です」



「園長…」



「あの、部外者の僕が立ち入ったことを聞くのも恐縮ですが」



「彼、保育園では特に問題行動などなかったんでしょうか?」



「少し神経質な面はありましたが、問題行動を起こすような先生ではありませんでしたよ」



直人は説明のつかない違和感を感じていた。



「園長、碧先生なにか預けていった物はありませんか?」



「何かって?」



「例えばスマホとか」



「いえ、何も」



「そうですか」



「そういえばまりあ先生、碧先生との挙式はどうするの?」



「それは…」



「すぐに連絡をとった方がいいわ」



口ごもって言葉に出せないでいるまりあに代わって、直人が切り出した。



「実は園長先生、今日はその件でお願いがあって伺いました」



つづく