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5つの許豆神社を巡る①:稲荷社

2019.05.04 08:18

10連休のGW。この間(4/30)、参加している<古今出雲植物研究所>の皆と、雲南の山々を歩き回ったので「もうこれで十分満足」と思ってましたが、陽気に誘われどこかフラッと出かけたくなり、たまたま気になった十六島の神社を巡ってみることに。十六島は"うっぷるい"と読むんですが、どこか北海道とか沖縄の地名っぽいですよね。十六島は古代から海苔で有名な場所(『出雲国風土記』にも記載あり)なんですが、少彦名命がここで海苔を獲った時、海水に何度も打ち振るったので「打ち振り」が訛って「うっぷるい」になったとか、朝鮮語で大きな岩を意味する”ウルピロイ”が語源だとか諸説あるようですが、どれも決め手にかけるらしく今もって謎のようでございます。

そんな十六島の港町を囲むように、許豆神社という名前の神社が、なんと5つもあるのをググマで発見(下画像参照)。我が家から片道1時間ということもあって、あまり深く考えずに出発しました。

現地に到着するも、テキトーにGPS設定していたので岬の先端にある「十六島風車公園」まで来てしまい、せっかくなので見晴らしのいい高台に登って海を眺めることに。まあ、ここは素敵なロケーションです。あいにくの黄砂?で遠くは霞んでおりましたが、海風も心地よくてなんなら夕方まで、クルクル回る風車を眺めてぼーっとしてても良いところです。

公園の中腹あたりのベンチがある広場は、なかなかの絶景。でしょ?

で、肝心な許豆神社ですが、まずは十六島地区にあるお社へ。

道を尋ねた地元の爺ちゃんに「おまえ、どっから来た?」と言われて、松江からだと答えると「なんでこぎゃんとこに」と笑われたので、地元の人にとってごくごく普通にその辺にある神社なんでしょうね(笑) まあ、僕、物好きなので。車を近くの駐車場に停めさせてもらい、狭く曲がりくねった道をひらすらテクテク登っていきます。途中のJAしまね十六島店でポカリを買って神社に登ることを話すと「頑張ってください」と励まされました。

こういう路地が好きです(笑)

振り返ると十六島の町の赤瓦が、海へ向かって連なる景色が絵になります。

15分ほどで参道入口の鳥居に到着。既にバテバテなのに、この石段。遠くにかすかにお社が見えます。石段は綺麗に整備されていて朽ちているところも無いので安心ですが、まあとにかく引き返したくなるビジュアルです(笑)

鳥居の横にあるこの石積みは貯水槽かな? 背後のほうにももう一段、コンクリ製の同じようなものが。急斜面にへばりつくような町なので、こういうのがあちこちにあるんだろうか? 赤錆びたバルブ類が時代を感じさせますね。

石段の中腹ほどに案内板。

島根半島四十二浦巡り再発見研究会さんが設置された最近の案内板は見やすいですね。休憩がてらしっかり読んで再び石段昇りを再開。

それにしても"許豆"とは不思議なワード。風土記の中では"去豆之社"と記されているようですが、もともとはこの辺りの地名にある"小津"という表記だったのではというお話です。主祭神は宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)という女神様。古事記においては須佐之男命と神大市比売との間に生まれた子ということになっています。全国的に稲荷神社の主祭神とされているようで、この許豆神社もお稲荷さんです。実際に本殿まで登ると凛々しいお顔のお狐様がお出迎えしてくれます。(上の写真の鳥居の両脇には狛犬がスタンバイしてますが)

本殿はこんな感じ。ここにも小さい狛犬がおりますな。

本殿に向かって右隣りにあるのが「紫菜島神社(のりしまじんじゃ)」で、十六島海苔を特産品とする地域ならでは。十六島の海苔は"日本最古のブランド海苔"と謳っているくらいで、古事記の時代から1300年の歴史を誇っております。地域の皆さんが危ない岩場で手摘みで採取する"命をかけた"高級海苔。10gほどのパックが最低でも1000円はしますが、味は保証しますぞ。島根にお越しの際は、是非ともお買い求めください。

境内の裏には数匹のお狐様と並んで、"沖島霊神"と彫られた石碑と苔むしたご神体。どことなく夫婦和合のイメージもある道祖神的なもの。漁や航海の安全祈願なのかな?

境内左手の人工的な岩のくぼみは、もとおとこのご神体が安置されていた場所のようですが、どこにどんなふうにハマってたのかちょっとイメージつきませんね。

境内には中ほどからバッサリ斬られた巨木もあります。接木されたのか自然に根付いたのか、4本の幹が元気に枝を拡げています。バイタリティ溢れてます。

ベースになってる木はなんだろう? こういうのを見分ける知識が無いのが悔しいです(笑) 根っこのあたりの木肌をジーッと見てると歳月を感じます。

おいとましようと思って石段を降りかけると、背後に視線を感じて振り返りました。

おおお。先ほどのお狐様の相方。ピンと立った耳とたくましい胸筋にしばし見とれてしまいました。石段途中の鳥居の前には八重桜(?)がまだ咲いておりました。

次は、ここから車で3分ほどの「北宮」を目指します。(5つの許豆神社を巡る②:北宮へ続く)