UTMF2019参戦記ー中盤戦①(麓〜本栖湖エイド)
中盤戦は長い。51km地点から140kmまでの約90kmが僕にとっての中盤戦だった。
結論から言うと、僕はこの区間で359位→49位へと、スーパージャンプアップに成功する。おそらく完走した中で一番ジャンプアップしたのではないだろうか?とにかく前半戦とは別人だった。心の底から楽しい90kmだった。
夜間トレイルで野生が(ほんの少しだけ)覚醒する
麓エイドを後にすると、あたりは真っ暗。ヘッドライトとハンドライトを同時につける。今回チョイスした「LEDLENSER」は充電の持ちもよく、存分に使って大丈夫ということはテスト済みだったので、とにかく思う存分自分の周りは明るく照らす。
僕はお化けを見たことはないけど、いないとも限らないと思っている。だから、夜間トレイルはそこそこ怖い。なんならこのコースは青木ケ原樹海を深夜に通る。それはかなり怖い。(ちなみに相方さんに「青木ヶ原樹海」の事を話したら、そもそも樹海が自殺の名所というのを知らなかった。ジェネレーションギャップなのか、ゆとり教育の賜物なのか知りたい)
そんな適度な恐怖心みたいなものが、僕の野生に火をつける。
確か竜ヶ岳の下りだっただろうか。そのあたりから覚醒し、続く本栖湖のエイドには元気いっぱいの状態でピットインする。
この区間、僕は50人以上を抜き、エイド到着順位は301位だった。
UTMFはレジェンド含有率が高い
UTMFがUTMFたる所以の一つに、レジェンド含有率の高さがある。つまり、スタッフやサポート、選手としても有名選手が多いのである。これは他の大会ではなかなかない。というか、ない。
本栖湖エイドでのポジティブサプライズは、リビングレジェンド石川弘樹さんだ。弘樹さんは昨年「二十曲りエイド」で一緒にスタッフをさせて頂き、心の底からその紳士さに惚れ込んでいるのだけれども、ここでも元気をもらった。
「これから、これから」
弘樹さんのセリフそのままを口付さみ、次のエイドである「精進湖」を目指す。この区間は唯一試走をした区間であり、あらかたコースの内容は頭に入っている。知っている、というだけでこれだけ楽になるなら、もっと試走をすればよかった笑
とにかくここの区間はスピードアップした。
嫌いだが得意なロードもあるので、ここで踏ん張り順位を上げる。青木ヶ原樹海にも突っ込むが、もはやお化けより夜通し走っている俺らのほうが怖い。お化けもびっくりだろう。
そんなことを考える余裕も出てきた。信越でペーサーをやってくれた「世界の小松」に言わせると、僕は「不可解」だそうだ。たぶんメンタルに左右されすぎるところがあり、自分でもコンディションをつかめないところがある。そして、こういう余裕が出てくると、僕は強い。
本栖湖エイドは唯一のドロップバックが許可されているエイド。何を補給するか、何をするかを決め、冷静な状態でピットイン。
寒さ対策のため、ウエアを着替える。靴下も替え、ワセリンを塗り直し、シューズも「テラカイガー5」から「ティンプトレイル」に履き替える。
ここから新しい100kmレースが始まる。そんなフレッシュな気持ちで精進湖エイドを後にした。
続く》》》UTMF2019参戦記ー中盤戦②(本栖湖〜二十曲りエイド)