【私情まみれの書評】リアルプリンセス①/執筆者:まり
こんにちは。
今回はポプラ社より刊行されている『リアルプリンセス』をネタバレありで紹介したいと思います。
この本には短編が6編収録されているのですが、表題に丸数字が付いている通り、この記事で6つの物語全てを紹介しているわけではありません。というか、今回1つしか紹介しません←
クレームは呉々も黄色い悪魔・スギ花粉にお願い致します。
奴が私のやる気スイッチをボコボコに破壊していきました。
+++作品紹介+++
寺地はるなさん、飛鳥井千砂さん、島本理生さん、加藤千恵さん、藤岡陽子さん、大山淳子さん――6名の女性作家がラプンツェルや乙姫や眠り姫等、古今東西のプリンセス・ストーリーを現代に置き換えて紡いだアンソロジー。
その中から寺地はるなさんの『鍋かぶり』について執筆したいと思います。
有名な昔話は突き詰めた狂気の美しさが表現されていたり、最終的にハッピーエンドではなくメリーバッドエンドでは?という話もあるので、現代設定にしたというだけで読む前から心が昂ぶります。←怖
+++鉢かづき姫+++
『鍋かぶり』の題材となった物語はお伽草子の『鉢かづき姫』です。
まずは鉢かづき姫のあらすじについて触れたいと思います。
河内国交野(現代での大阪府)に住んでいたある貴族は夫婦仲が良いにも関わらずなかなか子供が授かりませんでした。
そこで(奈良県の)長谷寺の観音様に「子供夜露死苦!」と祈願します。
望み通り女の子を授かり、やがて美しいお姫様に成長するのですが、実は観音様はある交換条k…お告げをしていたのです。
それは「姫の頭に鉢を被せよ」というただの虐待でした←
お姫様の母君は病に臥せっており、自分が死んだ後の姫の行く末を案じて、観音様のお告げ通りお姫様の頭に鉢をかぶせてしまいます。
すると何故か姫の頭から鉢を外す事が出来なくなり、ここからお姫様の受難の旅が始まるのです。
この作品は、まんが日本昔ばなしDVD28巻に収録されていますので、気になる方はチェックしてみてください。
+++鍋かぶり+++
現代設定の鍋かぶりでは夢の中のお告げ、などというあやふやな物ではなく助産師の適当な言葉により鍋をかぶることになります。人災です。
鍋をかぶる経緯に現実味を持たせた為、鍋が頭から取れなくなった滑稽さがより際立つ事になります。
作者の寺地さんはそれを狙ったのでしょうか…?
個人的にはリアルにいきなり不思議要素をぶっ込まれて違和感ありまくりでした。
その時の私の心情がこちら↓↓
私:……何?鍋にセメントでも入ってたの?(;・д・)
理由はともかく四六時中鍋をかぶっていれば、当然ですが周りは奇異の目を向けてきます。
鍋かぶりとなった主人公は人間不信になるような扱いを受けながらも自分を支えてくれる人と信頼関係を築いていくのです。
+++まとめ+++
最後にこの作品の表題は『リアルプリンセス』ですが、あまり【リアル】に拘らない方が作品を楽しめると思います。
主人公は鍋が頭から取れなくなるという非現実的なトラブルに見舞われましたが、私達も生きていく上で時々思いもよらない災難が起きたりします。
逃げ出すも良し、流れに身を任せるのも良し、正面から立ち向かうのも良し、肝心なのは自分の中でどう昇華していくかという事ではないでしょうか。
辛いこと、悲しいことがあっても最後には「今自分は幸せだ」と胸を張って言えるよう過ごしていきたいと、この作品を読んで思いました。
それではここまで拙い文章をお読み頂きありがとうございます。
次回も『リアルプリンセス』の別の作品を紹介したいと思いますのでよろしくお願い致します。