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昇仙峡・弥三郎岳(しょうせんきょう・やさぶろうたけ)

2019.05.06 13:05

『昇仙峡』は山梨県甲府市甲府盆地にある渓谷です。全国各地には一級河川がありますがその水はどこから湧いるのでしょうか。山梨県には荒川という一級河川があり、その上流に位置するのが昇仙峡です。そのため、湧いたばかりのきれいな水を見ることができる場所になっています。

昇仙峡は景勝地として多くの観光客が訪れてきます。日本では昇仙峡の観賞価値が評価され、文化財保護法により国指定の文化財となりました。正面の高い場所は昇仙峡のシンボルと呼ばれる覚円峰(夢の松島)です。その後ろ側にあるのが『弥三郎岳』でロープウェイを使用すればパノラマ台まで一気に上昇し、頂上付近からの景色を楽しめるのが人気となっています。

市営・県営・臨時の無料駐車場は合計4か所あります。私たちは県営無料駐車場に停めることができたため、まずはロープウェイの駅を目指して歩きました。

昇仙峡では道路沿いにたくさんのお店が並んでいるため登山用のザックを必要としない場所になっているのかもしれません。お食事、飲み物、宿泊、お土産など。歩くペースが遅くなってしまうくらい色んなものが置かれています。

遊歩道に入る手前で昇仙峡の主峰・覚円峰(夢の松島)が見えてきます。水に触れられる場所まで降りることができるため、ここで多くの観光客が景色を見て楽しんでいます。

遊歩道に入ると落石注意という標識がたくさんありますが、いままで落ちてきた岩石の大きさを見ると脅威を感じます。落ちてきたとしても避ける間もないくらい大きなものばかりです。昇仙峡では大きな落石や不思議な形をした落石に名前をつけ、観光協会が奇岩・奇石として紹介しています。

ここでは登山というよりは、自然の美しさを堪能しながら歩けるスポットとなっており、記念撮影やInstagramをはじめとしたSNS投稿のために観光客が増えています。

東側から西側に向かって昇仙橋を渡り覚円峰の下へ行きます。橋の真ん中に立つと渓谷の深さに驚かされます。

覚円峰から先には仙娥滝があります。ここでは階段が設置されていますが、その付近で多くの人がカメラやスマートホンを出し撮影に夢中となってしまう場所です。岩に登って撮影する方や、階段から身を乗り出して撮影する方など、登山をしていない人でもこのような眺めに大きな価値を抱いて思い出に残そうとしたくなる場所です。

仙娥滝の階段を登りきると遊歩道が終わり、道路に合流します。ここでもたくさんのお店が並んでいます。また、市営・県営・臨時の無料駐車場が利用できなくてもお店が管理している駐車場が多くあるため親切な観光地となっています。

今回は5月に昇仙峡へ来ましたが、たくさんの場所でつつじや桜が咲いていました。気温の変化が大きいことで、違った季節の花々が一緒に咲く現象も起きるようです。

しばらく歩くと郵便局がありますが、その反対側(左側)に昇仙峡ロープウェイの駅があります。昇仙峡ロープウェイの行先はパノラマ台という駅で、弥三郎岳の頂上付近になります。登山で弥三郎岳へ行く場合はこのロープウェイの駅を通過して北側から頂上を目指すことになります。

駅を通過して登山口へ入るまでに30分も道路を上がることになります。道路からは昇仙峡ロープウェイのパノラマ台が見えます。

30分ほどで案内標識が出てきます。道路沿いに真っすぐ進めば夫婦木神社で、ここを左に曲がれば羅漢寺山になります。羅漢寺山とは弥三郎岳のことを指すため、迷わずにここを曲がるようにしてください。

ここからはコンクリートから土に変わりますが、頂上付近まで車のタイヤの跡が残っています。上の神社や駅の売店に食料等を運搬するために使用されいますが、自動車が走行できる道になっているため登山道のレベルは初級となります。

ただ、注意をしなくてはならないのが熊との遭遇です。たくさんの注意標識があり、住民の方々からこの林道での熊との出会いについてお話をお聞きしました。

林道に入ってから1時間程度で八雲神社へ到着します。ここまでゆっくり歩けば休憩をとらなくても登れるようなコースとなっています。

八雲神社は、今より約四百年以上も前に参拝者の道中の安全を祈願したところでもありました。現在では、縁結びの祈願で大変人気があり、出愛の鐘を鳴らしに多くの観光客が訪れています。

出愛の鐘がある場所からは南アルプスがきれいに並んで見えます。

八雲神社から弥三郎岳はおおよそ20分ほどになります。地面は土ではなく、花崗岩の上を歩くことが多くなります。

登山をしない人でも安全に頂上へ到着できるように階段や鎖が設置されてあります。しかし、弥三郎岳は最後に近づくにつれて道が狭くなり急斜面が多くなるため下山時は緊張感が高まります。

頂上手前の大きな岩の上で景色を展望できます。北側に金峰山が見えます。5月の金峰山頂上付近にはまだ雪が薄く残っているのが確認できました。

南側には南アルプスや富士山が見えます。

すぐ目の前には昇仙峡の覚円峰などを見下ろすことができます。

頂上ではたくさんの人たちが景色を見て感動の声を上げています。昇仙峡は自然に興味を持っていなかった人でも『また来たいね。』『来てよかったよね。』という満足を持って観光できるため、景勝地として文化財にふさわしいということに頷くことができます。

日帰り登山・日帰りハイキングでは、登山レベルの向上を目指す活動ではなく、皆さんが楽しく健康に歩んでいけるために各個人の身体的・精神的・社会的条件を考慮し、参加する人同士が仲良く接しあえる環境をつくります。この人たちもお互いにまだ出会ったばかり。この登山に参加すればあなたも新たな出会いがあるかもしれません。