塾の先生が子どもたちに伝えたい本や読書の素晴らしさとそこから得られるメリットについて。勉強に活かす方法もついでに。
うちには沢山の本がある。
なんたって、塾部屋は壁一面本棚だ。さらに二階には「塾部屋に置くのはどうかなぁ」と思うような漫画がこれでもかというぐらい置いてある。
我が塾は我が家でもあるのだから、本が増えていくのは当然なのだけれど、先日生徒からもこんな風に言われてしまった。
「先生、本中毒者だね」
最高級の褒め言葉として捉えたが、生徒の顔は少しひきつり気味であった。来る度本が増えているのが怖いらしい。経済的なものを心配してくれているのかもしれない。そんな彼の心配をさておき、我が家の本たちはまだまだ勢いを衰えず増殖中である。
いつか本ダンジョンにしたい。
本日は、そんな教室で働く一「本好き塾講師」の僕が、「え?読書?かったるい」というあなたに向けて、改めて読書の喜びやメリットをお伝えしていきたい。
ちなみに、写真は我が家の本棚の一部だが、気になる人もいるだろうから言っておく。ここから筆者別・ジャンル別に整理しました。どうなったか知りたい方はぜひ見学にお越しくださいませ。
読書の素晴らしさを語る前に
読書の素晴らしさを延々と語る前に、まず大前提として言っておかなければならないことがある。心して聞いてもらいたい。
読書は、メリットを求めてするものではない。
タイトルに「メリット」と入れておいてこんなことを言うのはどうかとも思うのだが、大事なことなので最初に大きな声で伝えておきたい。
もちろん異論反論も大歓迎だ。あくまで個人的な考えのもとの意見である。
理由を説明しよう。なぜメリットを求めてするものではないのか。簡単である。
義務が発生すると、途端に物事はつまらなくなるものだ。読書も同様。「メリットを得よう」と思ってする読書は、続かない。鈴木雅之的に言えば、違う違うそうじゃない。
読書は、楽しむためにするものだ。そう、他の理由なんていらない。楽しいから、するのだ。
メリットはそこに後からついてくるものである。最初から見返りやメリットを追い求めてはいけない。それでは、読書は作業になる。いつかつまらなくなってしまうだろう。
楽しいからする。ああ、なんてHAPPYな響きだろう。楽しいからする。これ以上の理由があるだろうか。楽しいからする。何かをする理由としては、最強だ。
たとえ全然メリットになんかならなくても、楽しいからする。これがベストである。その上、メリットにもなるのだから言うことはない。とっても得した気分。いくらやってても怒られない趣味があったとしたら、なんて想像するとどうだろう。最高すぎるよね。
というわけで、熟考しながらつけたタイトルも改めて詳しく書くとすればこうなる。
【塾の先生が子どもたちに伝えたい本や読書の素晴らしさとそこから付加価値的に得られるメリットについて】
これを前提とした上で読み進めてもらいたい。誰も読み進めなくても、好き勝手続けていく。好きだから書くのである。
読書の素晴らしさとメリットについて
ここは簡潔にまとめてみよう。もうみんな知っているかもしれないから、箇条書きにしていくね。「他にもあるよ」という方は好き勝手に足してほしい。フランクにいこう。
- 楽しい
- 感情が動く(ワクワクする・ハラハラする・感動する・イライラする・笑う)
- 知識がつく
- 知識欲が刺激される
- 世界が広がる
- 自分の考えとは違う考えを知ることができる
- 活字に慣れる
- 話題が増える(家族や友達と語れる)
- 本好きと繋がれる
- 色々なことに興味が湧く
ざっとこんなところだろうか。読書好きの方なら頷いてくれるに違いない。
逆に、まだ読書の素晴らしさを感じたことがない、読書が苦手という人は、ぜひ面白い本に出会うところから始めてみてほしい。
心躍るような冒険譚、謎が謎を呼ぶミステリー、心温まるハートフルストーリー、鬼気迫るノンフィクション。
読んだ本が面白ければ面白いほど、あなたはどんどん本の世界にハマっていく。
最初の入り口が肝心だ。その入り口が大きければ大きいほど、あなたはどんどん先へ行ける。広く深い世界へ、足を踏み入れていくことができる。
え?そこまで言うならオススメはないかって?ならば、ぜひ以下の記事を参考にしてもらいたい。各記事で、本当に面白い素晴らしい本たちを紹介している。
ちなみに、文字を読むのが億劫という人でも、今や朗読してくれるサービスだってあるからね。ぜひ気になる本があったら(リアルの世界ででもネットの世界ででも)手に取ってみてほしい。
一冊、夢中になれる本に出会えたら、あなたは力強くその歩を進めていくことができる。いつの間にか、読書の世界の深淵に、足を踏み入れているはずだ。
そして、その世界の広さと深さに気付く頃には、あなたはいくつものメリットを手に入れているに違いない。
読書の楽しみを覚え、活字に慣れ、知を蓄え、様々な考え方や人生に触れ、自分の世界が広がっていく。もしかしたら、本の内容について既に誰かと話したり語ったりしているかもしれない。すると楽しみは増えていくよね。
一冊の素晴らしい本が、あなたの読書人生を劇的に変えていく。本屋で本を探すようになる。好きな作家ができて、新刊を追うようになる。本好きな友達とつながって、面白い本や自分の好きそうな本の情報が集まってくるようになる。興味のアンテナが大きくなって、色んな本に興味が湧いていく。そしたら自然に読書量は増えていく。付加価値は、増えていく。世界は、広がっていく。
僕が読書の一番のメリットだと思うのは、その「自分の中の世界が広がっていくこと」だ。
例えば困難にぶち当たった時、「そういえばあの物語の主人公はこうやって困難と対峙していたな」という姿勢や気構えや具体的な方法を、僕らは本から学び活かすことができる。
自分の中にはない、様々な考えや経験や発想を、本から手に入れ、まるで自分のものとして使うことができる。
自分の人生にいつか役立つような、誰かの激動の人生や成功や失敗を知ることができる。
それも、たった数時間で。書籍化されたというたしかなクオリティで。RPGでいえば賢者の書のような宝物を、僕らは容易く手に入れることができるわけだ。
そんなことってあるだろうか。
あったとしても別にいいのだ。読書が素晴らしいことに変わりはないのだから。
さて、最後に勉強における読書のメリットにも触れておこう。ここ、塾ブログだからね。
読書の勉強におけるメリットとおすすめの方法
タイトルで「子どもたちに伝えたい」とあるから、塾っぽくそこにも触れておかねばなるまい。
ただ、安心していい。もしも18歳以下の子どもで、この記事をここまで読んでいるあなたがいたとしたら、その時点で、君には読書の素晴らしき才能がある。間違いない。
もしかしたら此処から先を読み進めるよりも、夢中になれる本を開いて読み進めるほうが素敵な時間を得られるかもしれないが、折角だからこのまま読み進めてもらいたい。もうすぐ終わるよ。
当たり前だが、もちろん、読書は勉強にもいい。というか、今や入試において「読書できることは大前提」かもしれない。
先日の記事でも紹介したが、神奈川県の公立高校入試問題の文字数は約55000字。普通の小説単行本がだいたい10万字である。一日でその半分を読みながら、問題を解くということだ。
逆に言えば、本ぐらい読めないと入試問題は解けないってことである。
ね、まず「読書が大前提」という意味がわかるだろう。まだ疑っている方は、是非今年の入試問題を見てほしい。ここからすべての科目に飛べる。
いかがだろうか。なかなか活字慣れしていない子は、文字数の暴力をまともに喰らうことになる。もうボコボコである。それを防ぐためにも、面白い本探しをしておくといい。
そう、繰り返しになるが、入試のための読書ではなく、まずは読書を楽しめるように面白い本を見つけることが重要なのだ。
あなたの心を刺激する本が、必ずある。とりあえず本屋に行こう。図書館でもいい。浴びるほどの情報の中で、お気に入りの本が見つかる奇跡のような瞬間に出会おう。
それでもなかなか見つからないと言うなら、藤沢に来い。一緒に探そう。ここは本の街。
ちなみに、「本は読むんだけど、なかなか成績が上がらないんだよね」という方は、以下のことを試してもらいたい。ここから紹介するのはメリットありきの読書だが、すでに読書の楽しみを知っているあなたなら実践できるはずだ。合わなければすぐに元に戻せばいい。
- 読み物を変える
- 読み方を変える
- 読んだあとの行動を変える
まずシンプルなのは「読み物を変える」ということだ。
好きなジャンルばかり読んでいないか?たまには違うジャンルのものを読んで世界を広げてみよう。その際も「面白そうだ」と思えるものから触れられるといい。
例えば、先入観を捨てて、教科書を読んでみるといい。これ、読んでみると意外と面白い。国語なんかは成績アップにもつながりやすいし、オススメである。
そして、読んだらアウトプットすることだ。感想を綴ったり、誰かと話したりするといい。これが「読み方を変える」「読んだあとの行動を変える」の中でもトップクラスにおすすめの方法である。
人は、インプットだけだとすぐに忘れてしまう。アウトプットしながら、思い出す作業によって、記憶は蘇り、忘れにくくなる。そうやって頭の中に引き出しが増えていくわけだ。
というわけで結論。本を読んだら、家族と話せ。
内容について話し合って、面白かったところや「うーん違うな」と思ったところについて語り合い、なんなら「自分だったらどうしただろう」とか、「自分だったらこう言う結末にした」とか、奇想天外なものでもいいから発表しあえばいい。考察した結果を説明すればいい。否定はしてもいいけど、なくてもいい。合言葉は「それもいいね」「面白いね」だ。フランクに、楽しく、能動的に話すという場が大切だ。
もちろん、相手は家族でなくてもいい。友達でも知り合いでも、塾の先生でもいい。もちろんブログで独り言気味でもいい。SNSでも、慣れるまではノートにはしり書きでも構わない。
そうやって、読書はあなたの血肉となっていく。
そうやって、読書はあなたの日々に欠かせないものになっていく。
まぁ、まずはただただ楽しめばいいんだけどね。
そのこと自体が、勉強より先の、あなたの人生をとっても彩り豊かにしていくよ。
というわけで、本についてざっくばらんに語ってみたという会でした。乱文長文失礼。
よかったら、こちらもどうぞ。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
そして、「そのための時間を作る」ということもとっても大事なこと。それについてはまた今度。