柳ヶ瀬隧道
三重県遠征からの復帰一発目。
ここはやっぱ王道で行くべきだろうと思いまして、敦賀にある現役隧道の中で最も有名なものをご紹介しようと思います。
柳ヶ瀬隧道(やながせずいどう)
敦賀市民の間では「おばけトンネル」の悪名を着せられている(笑)県道隧道です。
ここが「おばけトンネル」などと言われる最大の要因はその古さ。
なんとここはかつての国鉄北陸本線の廃線をそのまま県道に転用し、あまつさえその隧道さえも県道用のトンネルとして再利用しているのです。
そんな歴史あるトンネルは今なお現役、
その年齢はなんと驚きの130歳!!
その雄姿をとくとご覧あれ!
この柳ヶ瀬隧道がある道は福井県道・滋賀県道140号敦賀柳ヶ瀬線。
国道8号を滋賀県に向けて走り、国道161号と別れてすぐ現れる交差点を左に入ります。
この県道140号、国道8号現道は全体通しても旧北陸本線を踏襲するルートをとっていて、ゆるやかな勾配やカーブと言った鉄道跡らしい道路構造となっている点が非常に興味深い道です。
ちなみに早いうちにご了承いただきたいのですが・・・、
このレポで掲載されている写真は3日に分けて撮影されたものを使用しています。
天候や時間帯等、統一されていませんので御理解お願いします。
ちなみにこの県道、国道8号と国道365号をショートカットするように指定されている路線の為、総距離はそう長くない。
その為、起点からでかでかと県境のトンネルへの道路情報が載せられている。
なんか主役を奪われた感があるなぁ・・・。
道は2車線、急カーブはない物のくねくねしているので走りやすくはないですが、それでも十分「県道」としての格は有しています。
上に見えるのは北陸自動車道上り線。この辺りはあまりの地形の急峻さに、上り下りが別々に通されているのです。
そんなところに明治時代に隧道通した男たちはそうとう漢ですね。
しかもそれが130年経った現在でもなお使われているんだから、土木マン冥利に尽きるんじゃないでしょうか?
そして現れたトンネル。
刀根トンネル
こちらも北陸本線由来のトンネルですが、今は見る影もありません。
まぁ2車線を通すのに単線トンネルじゃどう考えても厳しいですからね。
時代の流れには逆らえなかった悲しい隧道の名残とも言えます。
ただ彼の本来の姿を記憶するものはちゃんと残っていました。
詳しくはこちらをどうぞ。
そして見えてきました、明らかに古い隧道。
しかしこれは以前、別レポで個別に紹介した隧道なのです。
小刀根隧道(ことねずいどう)
前回軽くしか触れなかったこの隧道も今回掘り下げてみたいと思います。
内部は石と煉瓦で巻かれており、保存状態は良好。
現在でも近代土木遺産として、大事にされている様子がわかります。
天井は煤で汚れており、蒸気機関車の時代からタイムスリップしてきたようです。
そしてこれが今回、撮影した中で最もお気に入りの一枚。
静謐
余りの美しさに言葉を失いました。
こういうのを廃美と言うのでしょうか。
この隧道が一気に好きになりました。
名残惜しくも、県道を進むと見えてきました。
御大の登場
ただ先ほどの小刀根隧道とはうってかわって・・・、なんか・・・、
めっちゃごちゃごちゃしてる!
明治17年当時、日本最長の隧道としてこの世に生まれた柳ヶ瀬隧道 。
1世紀以上もこの地で「現役」としてその身を削ってきました。
北陸本線、柳ヶ瀬線、バス路線、そして県道。
4代にわたってこの道を支え続けた隧道。
たとえ現代的な道路標識で身を包まなくては安全を確保できなくなったとしても、今なお往来を守り続けるその姿に僕は感動を覚えます。
これがその近景。
小刀根隧道と同じく、その要石(アーチの頂点に来る台形の石)には「明治十七年」と刻まれています。
「おばけトンネル」と呼ばれていますが、この隧道は北陸本線時代に実際死者が出ています。
それは現在ならあり得ない事故。
窒息
車なら何とも思わないこの勾配でも、機関車にとってはギリギリの勾配だったようで、冬場の凍結したレールで車輪を空転させた貨物列車の乗組員5名が、自らの機関車が吐き出した煙によって窒息死したのです。
これが原因で北陸本線は現在の北陸トンネルへシフトチェンジしたという歴史を持つ。
良くも悪くも、この道の主役ともいうべき隧道といえるでしょう。
車内から撮影したものなので写りは悪いですが、内部はちゃんと照明も付いていて明るいです。
何度も通っていると次第に慣れてくるというか、たまに通りたくなるというか。
そして長い。
かつての日本一の長さはだてではなく、この狭さでなんと1,352mもあるのです。
正直僕は隧道大好きですが、そんな僕でも
さすがに歩きでは通りたくないです!
隧道を抜ければそこは滋賀県長浜市。
写真左は国道365号栃ノ木峠へ。
右に下る道が柳ヶ瀬隧道へ繋がっています。
最後にこの隧道を通る上での注意をご紹介。
・路線バス以外の大型車禁止
・歩行者、軽車両禁止(原動機付き車両のみ)
・高さ制限3.5m
・片側交互通行用信号機
禁止事項の見本市だな・・・
実はこの隧道には旧道とも言える峠があります。
その名も
久々坂峠
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以上、柳ヶ瀬隧道編