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梨の日

『82年生まれ、キム・ジヨン』

2019.05.09 14:59



『82年生まれ、キム・ジヨン』

著:チョ・ナムジュ


僕モテで以前、大川編集長が読んで書評していた本。

入江監督からも勧められて即買い、ポツポツと読んでた。


小説、なんだけど小説ぽくない文章。


ーキム・ジヨンが通う精神科医のカルテの記載(記録)として、彼女の生い立ちがずっと書かれている。

キム・ジヨンのエッセイのよう。


キム・ジヨンは、フィクションの人物。

でもどこかに生きているような、具体的で今の時代にリアルな存在。

韓国という国での、あまりに激しい男尊女卑を浴びてきた彼女。

それは祖母、そして母を描き、キム・ジヨンにたどり着くことで、昔から現代の女性の在り方も知ることが出来、また、時代を繋ぐ物語にもなっている。


国が違えど、同じ女性としては目がくるくるとしてきそうな瞬間が何度も。

あまりのフラッシュバックに自分で驚いて、本から離れた箇所もあった。

うん。

日本でも、共感してしまうことがあった、ということ。



この本はフェミニズム小説として一世風靡をした。

韓国のアイドルが読んだ、と言えば「フェミニストかよ!」と大炎上が起きたり。

はたまた、男性国会議員が何十冊と買って配ったり。


時代を繋ぐ面白さの他にも、男性がヒヤリとする仕掛けもあったり、小説の手腕はとくと発揮されてもいる。

韓国の結婚後の名前の呼び方は、「〇〇(旦那さん)ちの奥さん」となり、自分の名前がきえてしまう。

習慣ともいえること。

だからこその女性へのリスペクトとして、常に女性の登場人物はフルネーム。(これが読みやすかったりもする)

そしてその逆に、男性は…。



今や韓国の女性陣が立ち上がり行動を起こし、多数の制度を施行させたり動いている。

ネットに敏感で情報を得るのが早い世代がすぐに集まったりも。


日本も、同じ点はいくつかある。

若い世代と母親、祖母世代では情報の得方やスピードが違う点は同じ。

でも、声を上げているかといえば、僅かな気がする。



「今じゃすぐセクハラって言われちゃうからなぁ」

なんて笑い話に飲み屋で話すおじさん達の多いこと。

つまりは、女性が「セクハラ」という言葉を自分の武器に出来たこと、声をあげていることになる。


国の教育費無償だったり、ママさんに優しい制度も出てきてはいる、と思う。

思うっていうのは、私が渦中にいないからってこともあるけれど、実際にこそだてしてる友達から、「この制度が出来てよかった」なんて話は聞かないから。




あくまで、この本の中は韓国、外国の話。

女の私ですら根本的にその1点は消えない。

これが韓国男性が読んだら、と、あとがきにも書いてあるのは興味深い。


では、日本人男性が読んだら???


恐らく、誰かに配る男性国会議員はいなかろう。

自分のことではないと知らぬふりをするでしょう。

だってそもそも日本の話じゃないだろ、なんて言って。


じゃぁ真剣に読んだ人には?

小さな娘を持つ父親や、女性の側にいてくれる男性ももちろんいる。

響いてくれる人もきっといる。(と信じたい)

でも私の直感では、恐らく真には届かない気がした。残念だけど。


優しくしてくれともケンカがしたいわけじゃない、ただ、これを読んだなら、この中の男と、同じことしないでよ、と思うばかり。

してしまってる、言ってしまってるその言葉がある事実、つまりは無意識なんだろうな。


女性の性差別の本、と前提に説明されれば、上記のように言われないために読まない人も出てくるでしょ。笑)

是非読め!とは言わない。

でも私は読んで良かった。

自分が読んでて不思議と分かると感じたことは、共感であり、自分にもあったことで。

読んでる最中の違和感ある感情は、やっぱり悔しさだったり哀しさだと知れたから。

私も、無意識に刷り込まれていたんだな。

それは小さい頃から「男の子は青、女の子は赤」みたいな当然の感覚みたいに。



それでも私の周りにはたくさんの男友達がいる。

男性に恋もしてきた。

こわい思いをした時に側にいてくれたのも男性だった。

まだ声は上げられない。

全員が敵ではないあくまで平和の中にいるから。

決定的なことはされていないから。

それでも、生活している中で、私個人のことではなく、私が男性から女だからと理由に受けたショッキングな言葉や事は、小さく小さく、実際にある。

被害をうけていないから、言えないんだな。

そうやって、個人のことだからと飲み込んで生活してる女性は、周りだけでも何人いるんだろう。


ー女は困ったら風俗で働けるからいいよね


なんて会話もあったなぁ。

その時は笑って「そっすねー」なんて言ってたけど。

昔の、女を買うって風習からきてるんじゃないの?

男性の求める事を施してあげる立派なサービス業となってますが??


「女には敵わない」「女は強い」

なんて本気で言ってる人はどのくらいいるんだろう。



あくまでここは個人的なブログとして機能させてる。

影響力が多大にある有名人でもない。

でもネットに現れることも、自覚した上で、読んだあとの本音の気持ちを残しておきたかった。



最後の一文は、あまりの衝撃に駅のホームで呆然としてしまった。


そんじょそこらのホラーよりもこわかった。




よくこの21世紀まで持ち込んだなとすら思ってしまうよ。

それが当たり前としてたからだね。


日本の女性たちがデモを起こす日がくるんだろうか。

一部ではなく、ごくごく普通に生きてる人も参加するような。




巻末にもあった、逆反発が起きるのも理解できるけどさ。

あまりに女性保護!みたいになると今度は「男性差別だ!」の声が出てきてしまったり、ね。


同じ人間だけど違う生物なんだから。

どうにか、性差別という言葉が死語になる未来があることを願ってやまないです。

やっぱりいい人だって、いるから。




映画化の話も進んでいて、今撮影中なのかな。

また映画になったらなったで良いも悪いも話題になりそうだけど。

どうか、日本でも公開されますように。

その時には、メルマガ陣全員で観て語ることをしてみたい。