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TURTLE MARKETING ACADEMY

21.チームワーク

2019.05.09 13:48

 ビューティアドバイザーの職場は百貨店内のカウンターです。その広さは柱巻き1本程で、動ける面積は約25~30平米ほどしかありません。その面積にはショーケース、テスタースタンドなどの必要な器材のスペースも含んでいますので、ビューティアドバイザーが動き回れるスペースは全体の半分以下になります。その狭いスペースの中で10人ほどのビューティアドバイザーが何億円もの売上を上げているのです。㎡当たりの売り場効率からすると、百貨店の化粧品売り場は最高の効率を上げている売り場になります。さて、そこで重要な問題は、普通以上の円滑なチームワークがビューティアドバイザーにとって必要だということです。

「あの人が嫌い、この人が嫌だ」なんて言っていたら仕事になりません。仲良く同じ目標に向かって相互に協力しあわなければ最高のおもてなしもできません。それができなければ売上はあがるはずがありません。

 

接客は元来お客様と一対一の個人芸と言われますが、化粧品の場合はたくさんの同僚と一緒に仕事をするチームワークを主体とする接客業と行っても過言ではありません。したがって「自分さえよければ良い」などと言っていては良い仕事はできません。お互いが譲るところは譲る気持ちを持ち合わせなくてはならないからです。手が空いているビューティアドバイザーは接客中の同僚の手伝いをしなければなりません。また、その情景は自然の流れでなされていなくてはなりません。お客様はスムーズでハキハキした動きを観察しています。円滑に行われていれば、すがすがしい気持ちになっていただけます。その様子が別のお客様が引き寄せるのです。このような千客万来の場所、それが化粧品のカウンターです。

このような理想的な職場をつくりだせるかは、すべてカウンターのチーフの責任です。チーフは自らが率先垂範をして部下に範をたれなくてはなりません。「良き部下は良き上司がつくる」これは正論ですが、同時に「良き上司は良き部下がつくる」ことも正しいことを忘れないでください。

 

近年、サッカーファンが増えてきましたが、日本サッカーのスタイルは個人芸か、またはチーム芸なのかということが話題になります。南米やヨーロッパでは個人芸が主流ですが、日本ではチームワークを大切にすべきだと思います。日本には日本人にあったスタイルがあるべきで、敢えて海外のスタイルを真似ることはないと思うからです。チームプレーをベースに個人プレーが上乗せになれば日本のサッカーはもっと強くなっていくでしょう。化粧品の販売もサッカーと同じようにチームワークをベースにした個人プレーなのです。

 

2015年3月31日の日本代表とウズベキスタンとの試合で、岡崎 慎司選手がゴール前で見せた相手DFのブロックのお蔭で柴崎のゴールとなりましたが、この行為についてハリルホジッチ新監督が岡崎選手を絶賛していました。もし、これがヨーロッパの選手だったら、自分の得点にしたはずだとコメントしていました。これはサッカーの試合で起きたチームワークの好例ですが、日本社会は元来から個人芸よりもチームワークを大切にする文化です。この特質は、日本民族が助け合いを必要とする農耕民族であることが起因しています。それに対して西欧人は狩猟民族で狩猟は個人プレーです。民族の遺伝的特質は簡単には変えることはできません。

どうすれば、良いチームワークをつくることができるか、それは、「相手の立場に立って考え、そして行動する」ことです。相手の立場に立つには繊細な神経をもっていなくてはなりません。

日本人として海外で生まれ育ち、成人して日本に戻ってきたタレントがいますが、彼を見ると、一目で一般の日本人と風貌や考え方が異なっています。

前述で民族の特質を述べましたが、実際はDNAとは関係がないかもしれません。たぶん遺伝性の問題ではなく、単に育った環境の違いからくるのかもしれません。育った環境の違いが原因ならば、それは多分「躾」の違いからくるのでしょう。

「躾」という字は「身を美しくする」と書きます。身を美しくするには「したいことだけど、してはいけないことは絶対にさせない。そして、これをわからすこと」。そして「したくないが、せねばならないことをさせること」です。

この躾を親が子供に、またはチーフが部下に教えなければならないことです。これが心身ともに身に付いたとき、私たち日本人としての「躾」が身についたと言えるでしょう。

 

綾瀬 はるか主演のNHK大河ドラマ「八重の桜」は会津藩の幕末の話でした。会津には「ならぬことはならぬものです」という什(じゅう)の掟(おきて)がありました。

什とは同じ町に住む六歳から九歳までの藩士の子供たちが、十人前後で集まり生活していましたが、この集まりを会津藩では「什 (じゅう)」と呼び、子供達は什の集まりで「什の掟」を学ばなければなりませんでした。

 

(1) 年長者の言うことに背いてはなりませぬ。

(2) 年長者にはお辞儀をせねばなりませぬ。

(3) 虚言(うそ)を言うことはなりませぬ。

(4) 弱いものをいじめてはなりませぬ。

(5) 戸外でものをたべてはなりませぬ。

(6) 戸外で婦人(おんな)と言葉を交わしてはなりませぬ。

(7) ならぬことはならぬものです。

 

現代風ではない掟もあるかもしれませんが、全般的に日本人の躾として遵守したいものばかりです。