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とおん舎

めでたい郷土玩具 〜富山土人形〜

2019.05.10 08:41

福徳人形との出会い

私がはじめて富山土人形の福徳人形と出会ったのは富山に帰省した時に行った、護国神社の蚤の市でした。

小さな土人形は どれも素朴で 可愛くて。

古道具屋さんのおじさんに

「これは、富山土人形の最後の職人 渡辺信秀氏の土人形だよ。」と教えてもらいました。


小さくて可愛いものを収集するのが元々好きだった私。

収集熱が燃え上がってしまいました。

小さくて素朴なお人形は、どれも自然体で、計算されていない可愛さがあります。

まさに、私のものづくりの目指すところでもあります。


調べると、これは福徳人形と言って元々お菓子の中に入っていた子供用のおもちゃ(今で言うグリコのおまけ的な)だったそうです。

そして今も金沢市の諸江屋さんで期間限定で販売されているとのこと。

現在は富山土人形(伝承会)の福徳人形が使われているそうです。


年末を待って、お取り寄せしました!(毎年11月末くらいから販売されるそうです)

福徳せんべいの中には、小さな土人形が入っているのですが何が出るかはお楽しみ。

しかも、これは何だろう?という謎のモチーフもあったりします。

集めるのはいいけれど、一体何種類あるのか?なんと言うモチーフなのか?が気になるところです。

↑各地で集めた私の小さくてかわいい郷土玩具コレクションです。


富山土人形を伝承する土雛窯

そんな折、私が作った「めでたい郷土玩具」の包装紙がご縁で、土雛窯の古川圭子さんからご連絡をいただきました。なんと包装紙が欲しいと言ってくださったのです!

↑古川さんのインスタグラム。かわいい富山土人形がたくさん紹介されています。

今度富山に帰る際はぜひ取材させてください!とお願いし、今回実際に工房にお邪魔させていただきました。


富山土人形とは?

土で作った素焼きの人形で、富山藩時代より続く富山県の伝統工芸玩具です。

現在、富山土人形は2ヶ所の工房で製作されています。

伝承会と土雛窯です。

古川さんは富山土人形最後の職人渡辺信秀氏の元で土人形の製作を学ばれ、昔ながらの技法で富山土人形を復活させたいと土雛窯を作られたそうです。

春休みに帰省した際に「土雛窯」にお邪魔して、実際の制作風景をみせてもらいお話を伺いました。

Q.福徳人形とはどういうものですか?

ふっとくとも呼ばれ、昔は日本各地にありました。

金沢を中心とした北陸で売られている、正月だけの季節のお菓子です。

米を原料とした皮で巾着、宝珠、振槌、手毬などの形をつくり、その中に小さな人形が入っています。

昔はお正月に家族でお菓子を食べて一年の運を喜ぶ習慣があったそうです。


Q.福徳人形は何種類あるのですか?

今は25種類です。昔は他のモチーフもあったようですが、型がなくなって作られていないものもあります。

※名前についてはあとで紹介する日付シートに記載しています。


Q.富山土人形の作り方教えてください。

渡辺家以外にもあった古い富山の土人形を発掘し、そこから型をとって製作しています。

原型よりは2割ほど小さくなります。

型にねんどを伸ばして5mmほど貼り付けます。

2つの型をくっつけて空気穴をあけて焼きます。

そして、昔ながらの泥絵の具を膠で溶かして着色しています。

その後、胡粉を3回塗り重ねます。


Q.富山土人形はカラフルですが、どうしてですか?

昔は、家の中が暗かったので原色で家の中を明るくしたのだと思います。

↑こちらは古川さんのコレクション。貴重な古い富山土人形のまねきねこ

空襲を免れた土人形は貴重な存在です。

土人形を発掘し、型をとり、伝承されています。


日本の3大土鈴「蛇の目土鈴」って?

富山土人形にはお土産にしても可愛らしい蛇の目の土鈴があります。

蛇の目というのはちょっと怖い気がしますが、この土鈴はカラフルで1つ目、2つ目、3つ目とありユーモラスです。

こちらは土雛窯の蛇の目土鈴。

現代風にアレンジしているのかと思いきや、昔からある柄なのだそうです。

上の穴に紐を通していくつか繋げて持つのもよい。

もともと、子供の魔除けのまじない鈴としてお守りとして使われていたそうです。

今の時代にもお守りによさそうですね。


鷽(うそ)替え神事について

実は私が工房を訪れた4月は、5月にある「うそかえの神事」に使う 鷽うそ の製作でお忙しそうでした。

実は去年、13年ぶりに富山の於保多神社で鷽替(うそかえ)の神事が復活されたのです。

その時に使われたのが古川さん達が作った土人形のうそでした。

↑こちらは販売用の水色のうそ。つぶらなひとみ。かわいすぎる!!

毎年鷽の色が変わるそうで神社の5色をあらわしているそうです。

販売用は水色ですが、神事に参加すれば他の色ももらえます。

コレクターは全色欲しくなるでしょうね(笑) 私も欲しい!

詳しくはこちら↓去年の神事の様子

うそをまことに。凶事を好事に。というのがいいですね。

しかも、この神事。

鷽を「かえましょ。かえましょ。」と言いながら参加者でまわして交換し、

神主さんが釣り上げた番号が書いてある鷽を持っていた人は金色の鷽がもらえるそう!

金色の鷽だなんて、なんて縁起がいい!

当たったら、幸せが舞い込みそうです。

一度参加してみたいな。

今年もあるそうですよ。


日本人て、鷽→嘘みたいに、ダジャレ的なのが昔から好きなのかしら。

要は縁起をかつぐのが好きなんですね。

人々の願いや祈り、も込められているような。

この考え方が日本人らしく好きなのかもしれません。

余談ですが、この鷽替えの神事は各地で行われており、しかも鷽ではなくほかのものが使われることもあるそうです。

鯛替えとか鱒替えとか(笑)面白い。


めでたい日付シート

古川さんに福徳人形の25種類について教えていただき、手帳などに切って貼って使える日付シートを作りました。

日付は31日まで、福徳人形は25種類。ということで、残りの6種類は私のコレクションの中から

小さくて素朴で大好きな郷土玩具、吉備津の狛犬と鳥、蛇の目土鈴、そして愛媛といえば!姫ダルマと金天だるまを入れています。

※印刷の関係で本物と色が多少違いますが、ご了承ください。

どれも、昔からめでたい、お守りとされてきたモチーフです。

なんだか、めでたいと言われたら嬉しくなりませんか?

手帳や手紙にちょこっと貼ったらいいことあるかも。


↑実は福徳人形には3種類の鳥がいるのです。どれもかわいい。シートに載っているので探してね。


とおん舎のWEB SHOPでも販売中です。


最後に

今回富山土人形の製作現場に行き、直接お話を聞かせてもらって、

素朴な郷土玩具の良さを改めて知るとともに、昔ながらの技法の伝承の難しさも知りました。

そして、後継者がいないという問題もあります。

こちらは各地の伝統工芸産業全体の問題かもしれませんね。

しかし、昔ながらのよさがあり素朴で味わいのある郷土玩具には根強いファンもいます。

頑張っていらっしゃる職人さんたちを応援したい!

まずは自分が購入して暮らしの中で楽しみ、郷土玩具の良さをいろんな人に知ってもらいたいと思います。