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浪江町 2019年5月

2019.05.10 16:41

2019年5月、福島県浪江町に伺う機会がありました。

そう。あれから8年間、時間の停まった場所。


福島第一原発からほど近い位置にある、福島県浪江町。

震災の前にはあの、『Dash村』があった場所でもあります。

震災の3日後に町の東部全域が避難指示地域に指定され、

約8千人もの方々が、我が家に帰れなくなってしまいました。


震災から6年が経過した2017年3月に一部避難指示が解除されましたが、

帰還困難区域に指定された地域は、あれから8年が経過した今でも、

まだ一般の人が立ち入ることができません。

今回、その帰還困難区域の中に入る機会がありました。


自動車で通行できる幹線道路から一本横道に入り、検問を受けて帰還困難地域に入ります。

町の沿岸部では大津波による壊滅的な被害があったそうですが、

ここは山あいの地域なだけに、津波の被害こそなかったものの、

激しい地震によって家屋のあちこちが崩れたり倒れたり。

捨てられた自動車、壁が崩れ、屋根だけが残る小屋。

窓ガラスは割れ、扉は壊れ、1階の内部がむき出しになってしまっている一軒家。

そんな光景が、まさに8年前のまま、広がっています。

恐らく8年前と違っているのは、雑草がより生い茂っていることでしょうか。


ここに来るまでの道程では、まさに水平線が見えるかのような

広大な平地が広がっていました。

恐らくそこは、津波の被害を受けた地域でもあったのでしょう。

その延々と広がる平原、目に見えるその全ての土地に対し、

除染作業が行われてきたのです。

土を数十cm剥ぎ取り、袋に詰める。

ただそれだけの作業ですが、そのあまりにも途方もない作業量を思うと、

気が遠くなります。


その周辺には、詰められた土袋が延々と積み上げられた場所が、

いくつも点在しています。

いまこの地域では、その土を処理してもとの土に戻し、

またはより農業に適した土に改良して

農地に戻すという試みが行われているとのことでした。


震災から8年経っても、いまだ人が住むことが許されない場所。

その土地を元に戻し、さらにはより良い土地にしようと、

懸命に努力を続けている人たちがいます。


帰還困難地域に残された住宅の多くは、

この後撤去されてしまうのだそうです。

人が消えた集落に、人の賑わいが戻る日は、やってくるのでしょうか。