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風よ伝えて(爺さんのブラジル移住)第91段

2016.03.12 22:02

庭の動物達(その1)

 ブラジルは、今から、暑くなっていく。

 庭の動物達は、だんだん種類が多くなっていくようだ。

 ごそごそ、動きはじめているようだ。

 今、庭で見かける動物たちを、紹介してみよう。

 先ずは、年中、庭にいる2匹である。

 1匹は、5か月前に日本から来た、爺さんである。

 雨が降らなければ、朝7時には庭にお出ましになる。

 服装は、ブラジルのお父さんに貰ったワイシャツを着ている。

 ボロボロでもない。

 ジーパン姿で、麦わらぼうしを冠り、手袋をし、長靴を履き、蚊取り線香の入った缶を腰にぶら下げている。 

 手袋以外は、全て日本から船便でブラジルに送ったものである。

 魚釣りの時などに使う折りたたみ式の小さな椅子を2つ、日本からっ持ってきた。

草とりの時に使っていたが、2つとも、ひしゃけて(つぶれて)使えなくなってしまった。

 体重オーバーだったのだ。

 今は、日本で、おふくろが風呂に入る時に使っていた足場用の台に座りながら、草とりをしている。

 介護用品の1つである。

 これも、日本から送ったものである。

 この台に座り、鎌を持って、頑張っている爺さんの姿を想像してやって下さい。

 もう1匹の庭の常連さんは、飼い犬の「サニー」である。

 ブラジルに来て五ヶ月も過ぎ、ようやく犬の名前も、間違えずに言うことができるようになっている。

 犬達は、庭を駆けずりまわったり、お互いにじゃれ合っている。

 サニーも他の犬達とじゃれ合っているが、他の犬と違う行動をする。

 人と一緒に遊びたがるのである。

 雑種なのだが、シェパードの血が入っていることが、見ただけで判る。

 シェパードより、少し小柄である。

 シェパードは、人と馴染むのがうまいのか、サニーはそうである。

 七月頃だったと思うが、私の横に座って、草とりを見ていた。

 しばらくしてから、私の頬を舌で舐めようとしたことがあった。

 「やめてくれ!   お付き合いは、友達からにしようや!」

 私は、肘でサニーの顔をこついた。

 サニーは、びっくりして逃げて行った。

 その後は、あまり来なくなってしまった。

 サニーはボールや、石などを投げてやると、走って取りに行く。

 庭には、まだ、ところどころに、捨てられたまま瓦礫がある。

 その瓦礫を拾い、投げてやると、他の瓦礫でなく、間違いなくその瓦礫を拾ってくる。

 私が投げた瓦礫であるかどうか、どうして判るのだろうか?

 不思議に思う。

 匂いなのか?

 サニーは、くわえた瓦礫を、私のところに持っては来ない。

 サニー専用の、拾ってきた物を集める場所があり、そこにくわえていく。

 私のところに持って来ないのは、持って行っても食べ物を貰えるわけではないと、判っているからか?

 朝、草とりをする前に、必ず瓦礫を捜し、投げてやる。

 サニーは、庭の中を鉄砲玉のように、飛んでいく。

 すばやい、動きである。

 私は、そんなサニーに、1つの訓練をした。

 投げる前に、口笛を吹き、そして、瓦礫を投げる。

 すぐに憶えた。

 サニーは、私が見えない場所にいても、口笛を吹いてやると、その口笛に答え、走ってくるようになった。

 投げてやる。

 取りに行く。

 そしてサニーは、自分の宝石の在り処に、瓦礫を貯めていく。

 私は、草とりをしていて、瓦礫を見つけると、口笛を吹き、瓦礫を投げ、サニーを走らせる。

 草とりを終えると、私は、サニーの宝石の在り処に行き、瓦礫を箱に入れ、庭の隅にある瓦礫置場に、その瓦礫を片付ける。

 今まで、瓦礫を見つけると、そのたびに瓦礫置場に片付けていたのがなくなった。

 昔、テレビで、「リンチンチン物語」を見ていたが、リンチンチンはシェパードであった。

 リンチンチンまでにはなっていないが、シェパードの血を持つサニーを私は賢いと思うようになった。

 次は、小鳥である。

 サビアは、少し遠い場所で囀っているが、また近くに来ることを期待している。

 数種類の小鳥が囀り、心を和やかにしてくれている。

 茶色の小鳥で、日本のスズメより少し小柄な小鳥が、樹の枝にととまり、囀る。

 「チュン、チュン」。と可愛い声で囀る。

 まさしく、「チュン、チュン」と囀っている。

 他にも数種類の小鳥が囀っているが、小鳥の囀りをどのように表現し、書くのかわからない。

 表現が難しい。

 「ピーチク、パーチク」と「雲雀」の囀る様子を言葉に表現した人は、素晴らしい人と思う。

 「雲雀」は「ピーチク、パーチク」と囀っているとは聞こえない。

 でも、「雲雀」の囀りにお似合いの表現であると思う。

 この言葉を借りて、マチダ家の庭と、その近くでは、数種類の小鳥たちが、かわいい声で、「ピーチク、パーチク」と囀り合っている。

 こう表現させてもらいます。

 「てんとう虫」が顔を出しはじめた。

 「アブラムシ」を食べてくれるという。

 もし、薔薇にアブラムスがついたら、食べてくれるだろうか?

 赤くて、黒い星が七つでなく、もっとたくさんあるてんとう虫。

 頭とお尻が緑色のてんとう虫。

 黄色で、黒い星のてんとう虫。

 黒くて、白い星のてんとう虫。

 「てんとう虫のサンバ」の歌の如く、「赤、青、黄色の衣装を付けたてんとう虫がしゃしゃり出て・・」。

忙しく動き回っている奴。

じっと動かないでいる奴。

様々である。

 時には何故か、ひっくり返って、短い脚を前後に動かして、助けを求めている奴もいる。

 どうして、ひっくり返ってしまったの?

指をさしだしてやると、その指に必死にしがみつく。

 持ち上げて、元に戻してやる。

 きっと、「オブリガーデン」と言いているはず。

 てんとう虫は、この庭のマスコットになって欲しいと思う。

 「蝶」は、黒い羽根に、何やら他の色の模様のある、日本のモンシロチョウより少し大きい蝶を、見かけることがある。

 もっと、たくさんの種類の蝶が飛んでくると良いのに・・・。

 それには、たくさんの花を咲かせねばなるまい。

 ブラジルには、たくさんの種類の蝶が、生息すると聞く。

 

 他には、私の腰に付けた、蚊取り線香を嫌う奴。

 葉に留まり、手を擦ったり、足を擦ったりしている奴。

 そして、名前を知らない、昆虫達。

 「欽ちゃんの 良い子、悪い子、普通の子」

 庭の生き物がみんな,良い子であって欲しいが、そうでもないようだ。

 色々な奴が、出てきそうだ。

 夏に向かうにつれ、マチダ家の庭では、様々な生き物の、様々な生活の様子が、見られそうである。

         草を取る 一息つぐや 空仰ぐ

               小鳥の囀り 我は和むや

爺さんの毎日の草取りの恰好。

ドロドロの中でも、我、進まん!