土曜の午後 Vol.1 Çocuklar( 子ども達)・・・。
ここFethiyeは地中海にあり、春先を過ぎると、めったに雨が降らない。
晴天続きの土曜日の午後、久しぶりにカメラを手に散策することにした。
私たちが住んでいるところからは、徒歩10分ほどで、
海岸沿いの大きな公園に行くことができる。
この日も、家から出ると既に日差しは初夏。
周囲の家々の庭先には、いたるところでバラが咲き誇り、オリーブの花が開いている。
垣根やパーゴラに這わせている葡萄も実を付け始めた。
ちょっと行ったところにある古びたバイク修理屋さんの中には、
実はお宝・・・?
古いBMWのバイクが眠っていたりする。
こちらはチェコ製(?)のバイク
その店のすぐ傍に、黒い桑の実が落ち、歩道を黒く染めている。
上を見上げ、手の届くところになっている実を採って口にする。
公園の芝生の上に座り、くつろいでいると、「先生〜!」と呼ぶ声がした。
見ると、男の子が3人、彼の学校の生徒たちだった。年の頃は11〜12歳。
その中の2人が私たちのカメラに興味を持ち、触ってもいいか尋ねてくる。
気をつけて使えよ・・・
彼がそう言い、私がカメラの紐を肩からかけて持たせてあげる。
一人目の子はバンバン写真を撮りまくり、もう一人が俺にも使わせろと取り合いになる。
彼はそっと、私に「荷物から目を話すな」と耳打ちする。
実は彼の学校のある地域はジプシーが多く住んでいるところで、哀しい事だけれど、子どもたちを完全に信用することはできないのだという。父親が刑務所にいて、母親は夜の仕事をしているという家庭も多いらしい。
俺が(彼らの)学校の先生で、俺のことを慕ってるから滅多なことはしないけど、これが知らない人なら分からないよ・・・という。
二人目の子にカメラが渡る。この子はじっくりと対象物を見て、写真を撮る。こうやって撮るとまた視点が変わって面白いよ、と地面に近いところからズームで写真を撮って見せる。
彼と話したげだったのに、話せなくて、木に登ったりしていた三人目の子が、ちょっと離れた椅子に座っていたので、話しかける。
「なんか悩みがあるの?」
「悩みなんかないよ」
「どの授業が好きなの?」
「化学だよ。社会(彼の専門)はあんまり・・・」
そんな会話を交わす。
二人目の彼は周囲を注意深く観察し、この写真を撮って見せにきた。同じところを2枚撮った、その2枚目の写真。初めてにしては、とても上手・・・!!
子どもたちは満足したのか、さよなら〜と言って、何処かへ去って行った。
「あの子(木に登ってた子)は、教室でも落ち着きがなくて、いつも注意してるんだよ」
「でもあなたの事、慕ってるじゃない」
「そりゃそうだよ。いつも子どもたちのために良かれと思ってやってるもの」
「子どもたちはみんな良い子たちで、すごいエネルギーを持っているけれど、環境の中でそのエネルギーをどう使っていいか分からずに、どうしようもないジレンマを感じているのよね」
トルコの子どもたちの目はいつも輝いていて、生きる力に満ちている。初めてトルコを訪れた時から、その目に魅了されてきた。
その一方で、ものすごい格差社会にあり、とても暗い側面がある。
人と人との関わりは一期一会、どれだけのことができるのか、個人の限界を感じる昨今だけれど、人との関わりにおいて、温かい気持ちを交わし合う、そんな事でこの世界が少しでもよくなってほしいと改めて思った。
土曜日の午後 Vol.2 Adamlar(大人編)・・・。上へと続く。
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