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高齢者の健康を守る東京都の要。東京都健康長寿医療センターを視察しました

2019.05.14 03:20

東京みらいの3名で、東京都の高齢者医療の最先端、東京都健康長寿医療センターに視察に行ってきました。


元々は、明治5年に本郷に設立された生活困窮者やホームレスのための養育院として設立されたところをスタートに、昭和47年に都立の高齢者医療・研究の拠点として再構成され、平成21年からは地方独立行政法人へと移行しています。


元々は先の厚生委員会でも質疑を行った、都立病院の独立行政法人化の検討にあたって、すでに独法化して10年が経つこちらのセンターにメリットやデメリット、現場目線での変わったことなどを教えて頂きたいという想いから東京都病院経営本部に視察の調整を進めて頂きました。

こちらのセンターには病院部門に加え、研究部門と経営部門があります。

病院部門は重点医療(血管病・高齢者がん・認知症)などの各分野において高度な医療を提供し、「断らない救急」を目指して地域医療への貢献も行います。

入院する患者の平均年齢は78歳で、うち30%は認知症も発症されているということで、大変複合的な治療と退院後を見据えた地域医療との連携が推進されています。

また、研究部門は高齢者の社会参加やフレイル・認知症予防などにも取り組む研究を推進し、学会等での発表実績は平成29年2738件、同年は外部資金獲得も96億8千万円と各方面から高い評価を受けています。


見せていただいたのは多目的室(介入教室)、緩和ケア病棟、一般病棟、リハビリテーション科、放射線診療科の5箇所です。

強く感じたのは、どのエリアにも大変職員の方の数が多く、手厚くケアをされているという印象でした。

意見交換の場で伺ったところ、職員の数も都立直営の頃と独立行政法人化後の今では、今の方が増えているということでした。

直営の頃、約100名だった医師の数は現在120名に。

約450名だった看護師は現在約490名に。

そのほか、直営の時には配置が認められていなかった看護助士や医療事務従事者も現在は独自の裁量で増やすことができている、ということで、その分経営的には大変シビアで厳しい部分も多々あるが、特に高齢者の医療には様々なケアを同時に行う必要があるため、その医療の質を下げるわけにはいかないのだ、という経営陣の気概を感じさせられました。

最後に見た放射線診療科で、設備投資についても貴重な現場の医師のご意見を伺うことできました。

こちらで使われている機器の中で、特にこちらを、とご紹介いただいたのがDual energy CTというものです。

これは従来のX線を使用したCTよりも、端的にいうと処理患者に投与する造影剤の量を7割カットと大きく減らすことができるという利点があるそうです。

詳しくはこちらに、センターが発行した案内があります。

造影剤は腎機能の衰えも見られる高齢者にとっては大変負荷もかかるものだということで、データを後から処理し、仮想的に電圧を下げていくだけで体の様々な部位を見ることができるというこのdual energy CTは大変高齢者に優しい機器だということで、一昨年10月から導入されているそうです。

こういった設備投資も都立直営と独法ではスピード感にかなりの隔たりがあり、日々技術の進歩が目覚ましい医療現場で「これを導入したい」という考えがあったとしても、その判断や決済に5年ほどかかってしまうこともあるのが都立直営。そしてスピード感はある代わりに、やたらめったらと新しい機器に手を出していってはゆくゆく採算が取れなくなってしまう恐れもあることから、長期的な計画を立てながら設備投資を行っていくことが求められるというのが独法化を経てセンターの皆様がお持ちのお考えのようでした。


さらに、産後の医師などの柔軟な働き方改革についても、一時は院内に保育所を増設することも検討されたそうですが、院内アンケートを行ってみたところそこに預けたいとする人数がそこまで多くなく、大変費用もかかる保育所運営を行うことはせずに、保育料の負担補助を行うことや、各課のそれぞれの責任者ごとに「チームの中で補い合えるなら、経営部門にいちいち尋ねずとも時短勤務などを認めて良い」という裁量権を持っていただいているようです。これも本当に革新的なことだと思いました。

このような努力もあってか、現在センターで働く看護師は毎年新卒で採用を重ねているため大変若くパワーのある職員さんが増えているようです。ただ、当然そうなると適齢期の職員も多く、結婚や出産を経てやはり課題となるのは当直体制をどう維持していくか、という部分にあるようです。


大変学びや気づきをたくさん頂きました、センターで研究される高齢者医療がひいては都内全域や近隣県に在住の方にも貢献し、その知財を提供されていかれることを望みます。多摩市の地域包括ケアにも届けてゆきたい!


森澤都議もブログに書いています!ぜひご一読ください。