阿納坂隧道
今回取り上げるのは、このブログが始まって以来のジャンル。
廃隧道
金ヶ崎隧道からとんと御無沙汰になっています。
というのも敦賀は廃隧道が少ないというよりも、廃道化されず現役の御大たちが多すぎるというのがその理由。
北陸本線の旧線跡なんてのはそのまま車道化されていますし。
そんなわけで今回は遠征以外では最も遠くまで出張ってきました。
福井県小浜市。
嶺南地方に2つしかない市制を敷く自治体です。(もう一つは言うまでも無く敦賀市)
この日3本目のレポで最終目的地であるこの隧道の名は
阿納坂隧道(あのうさかずいどう)
さぁ前回に引き続き、国道162号の旧道へ。
国道162号は敦賀市が起点なんですが、その事を知っている人は道マニアしかいないと思われます。
なぜなら若狭町から敦賀まで延々と重複区間だから。
起点は国道27号と同じく国道8号との接合地点、坂ノ下ランプ(立体交差式の交差点)ですが、重複区間中、その事を示すものは一切ありません。
実際問題、この道の存在理由は京都、小浜間に集約されてるようなもの。
小浜、敦賀間は海沿いの集落と観光地用道路といった雰囲気です。
そのため、国道162号の整備は福井県内区間が著しく遅れていて、今まさに改良真っただ中なのです。
そんなわけでここには活きのいい旧道たちが眠っているというわけ。
前回の世久見峠もその一つですね。
さてここは小浜市阿納。
阿納坂というのはここにあった峠の名前です。
一般的に峠は「峠」「越え」「坂」という名がつけられ、それがそのまま地名となることもあります。
それはいいとしていきなりの通行止め宣言。
旧道らしくなってきました。
苔むしたアスファルトがいい感じ!
旧道らしいこの風景に胸が躍ります。
麓の近くは梅林でした。
若狭梅は日本海側では有数の収穫量を誇る、若狭の名物の一つ。
国道沿いの至る所で目にすることが出来ます。
消えかけた白線とつづら折れ。
そして背後の山並みに刺す光。
林道っぽい・・・。
しかしそんな素敵な道も長くは続きません。
目の前に突然、壁が現れます。
これが阿納坂隧道。
重厚感あるコンクリート製の坑口が威圧感を感じさせます。
完 全 封 鎖
猫の子一匹通すつもりはないようです。
反対側の光が見えているだけに・・・残念・・・。
金網の隙間にレンズを押しつけて一枚。
ん?なんか見えるな。
なんだあれ?
まぁ反対側に行けば分かることか。
ワープ!!
こちら側には完成記念碑がありました。
しかしこれも今や人の目に触れられることなく朽ちていくのでしょう。
おそらく再来年の夏にはもう緑の海に消えているかもしれません。
うお!
おにぎり現存!!
国道の旧道化において国道標識の撤去はほぼ完ぺきに行われる仕事です。
だからこそ首なしポールが国道旧道には多く存在するのですが、
ここのおにぎりは難を逃れていました。
初めて見たかも・・・。
旧道のおにぎり・・・。
最初の立ち入り禁止の看板のあたりから山肌を見上げると坑口を確認できました。
これはカメラの望遠を目いっぱい使って撮影したもの。
現道との合流地点には綺麗なお地蔵さまが。
恐らく現トンネルが開通した際に置かれたものと思われます。
峠は廃れても、峠の概念は失わない。
古き日本の文化の継承を感じ、嬉しくなりました。
そしてこれが現役の阿納トンネル。
旧道よりも地被り(トンネル上の土)が深い地点を通しているにもかかわらず616mってことは、阿納坂隧道は短い部類の隧道だったことがわかります。
トンネルを抜けてすぐの交差点。
逆光でわかりにくいですが、ここを鋭角に左から合流してくるのが旧道です。
こちらの方が旧道区間は短いです。
すぐに道の自然回帰策である土盛りが見られました。
雑草の種を含んだ土嚢を旧道上に置いておくと言うだけの方法なんですが、
こいつは半端なく厄介!
土をもられて平場が消える上、その上を藪こぎして通らなければならないわけです。
ここはなぜか途中で放棄されていたので、てぃーだくんでそのまま失礼。
赤い!
なんなんだこの赤さ!
鉄なのか塗料なのかわかりませんが、やたら赤い西側坑口。
しかし片側だけこんな塗料塗ることもなさそうだし、やっぱ鉄分が染み出てるってことでしょうか。
不気味な赤色に一瞬怖気づけました。
中は物置として利用されている様子。
反対側から見えた影はこれかぁ。
そしてトンネルには似つかわしくない子ども達のイラスト。
トンネルじゃなくてもっといい所にできなかったのかなぁ?
排気ガスにまみれるし、ゆっくり見れないし、誰得だと思うんだけど・・・。
最後にもう一枚。
う~ん。
不気味で素敵。
通る機会があれば是非通ってみたい隧道です!
以上!阿納坂隧道編