自転車 case 03 作・草場あい子
2019.05.15 14:37
風鈴の音が聞こえる。
夏だ。
扇風機の風が風鈴を鳴らす。
私は縁側で横になる。
ちょうど屋根が影になって、床がひんやり気持ちがいい。
蝉の声が聞こえてくる。
ちょっとうるさい。
でも、なんだか心地がいい。
風鈴の音と、扇風機の回る音も、蝉の声も。
平和な音。
目を閉じたらもう開けたくない。
どんどん音が遠のいていく。
寝てしまいそうだ。
嫌いだった。
車の音も、人が歩く足音も、携帯の音も、自転車のベルの音も。
窮屈な感じがして、
自分のスペースなんてないみたいな。
だから外には出ない。
休みの日は家でゆっくりする。
自分だけのスペース。
ここで聞くと、車の音も、足音も、携帯の音も、自転車の音も平和な音に聞こえてくる。風鈴たちと一緒に。
外で聞くときと全く違う。
不思議な感覚。
遠くからチリンチリンッてベルが鳴る。自転車のベル。
心地がいい。やっぱり不思議。
2019年5月15日
草場あい子