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青川素丸 表参道の父

暦の起源

2019.05.15 16:13

 暦の起源について暦学者らは従来次のように考えてきました。「天体運行の観測などから年月日の単位は導けても、それだけでは事象の後先を決めることができない。つまり、時間単位を生活の中で利用するには、さらに年月日をそれぞれ区別する方法が必要となる。そこで年月日に名前や番号を割り付ける必要がでてくる。だから、古人は年月日で区切った時間の単位一つずつに番号を振って、数字によって過去の時間を保存し同時に未来の時間も管理する目的から暦を作ったのだろう」と。

 確かにこの考えは誰もを納得させる合理的着想です。機械的に年月日に数字を割り振り、時のIDとすれば、即ち暦が完成するというのです。果たしてそんな機械的な思考から暦は生まれたのでしょうか?拙者は暦の発想はもっと自然に依拠した観念的なものでなかったかと考えます。どうして古来、卜術において暦が利用されたのか?そこに割り振られた字自体に意味は無いのか?時間単位は数字的配列だけでなく、単位の相互の関係性まで考慮された配列になっているのではないか?等々多くの暦の謎が未解決のままとなっています。

 拙者は、暦はこれらのことが緻密に計算し尽された高度な概念の上に成り立っている可能性があると考えると共に、これまで暦の謎とされてきた問い、例えば「暦はいつから始まることになったのか(紀元の開始は)?」「なぜそこが暦の開始点となる必然があったのか?」など、こうした問いに、暦の起源を探る鍵があると考えています。(*ID=Identificationの略。身分証明の意。)

 もっともこうした暦の起源やルーツには時の為政者や権威との関わり、人間の思惑や意識が必ず介在します。拙者は「時間は人間が意識的、作為的に作り出した概念」と言います。つまり、時間は事象の経過や盛衰を把握するため、記憶に留めたり、さらに未来を預測し、財物を適切に管理するため、人間が意思を以って作った概念です。ところが、時間の概念は一旦完成してしまうと、逆に人間の行動を束縛する力へ変化し始めます。これが、恐るべき時間の魔力であり、現世を支配する見えざる時間のパワーとも言えます。私たちは現在、「時間の魔力」、つまり時間の単位一つずつに肉体的、精神的にも支配と拘束を受けながら社会に生きています。そこで、拙者は時間のパワーの根源を探り、暦に潜在している時空間の原理と因果の規律を探ることで、人間が逆に時間のパワーを制御する方法が見い出せないか考えるのです。拙者はこの時間のパワーの原理を解明するため、暦の研究を始めました。そして、これまでにない着想から、「事象変化のプロセスを把握するために作られた尺度」こそが暦であることに気づき、実はその起源が「人類の意識」に他ならないという結論に至ったのです。この発想と思路について、後ほど解説してまいりましょう。

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