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【案内⑤】第35回定期演奏会 Ensemble +PLUS

2019.05.12 15:00

 彼女の名前は佐藤仁美。

 九州交響楽団のヴァイオリン奏者である。

 彼女の命は二人の息子=猫にゃん

 そして料理。

 4年前のこと。

 佐藤は客演に招かれた直方市の演奏会の打ち上げで、ある男より福岡発弦楽四重奏について熱く語り倒される。 

 その男とは。

 当夜の演奏会、直方谷尾美術館室内楽定期演奏会を主催するクァル・オタ(クァルテット・オタクの略)、渡辺伸治である。

( `―´)ノ

 佐藤は、九響の同僚二人とのEnsemble+PLUSを弦楽四重奏へと発展させた時、福岡発 弦楽四重奏団としてレギュラーにすると約束をもらった。

 弦楽四重奏の願望大ありの佐藤たち。

 当然、大喜び。

 しかし同時にクァルテット・エクセルシオを聴きなれているオーディエンスの前で演奏するプレッシャーも感じた。

( ;´Д`)

 更に、佐藤たちはもう一人のメンバーを見つけられないでいた。

 日本人の室内楽活動のほとんどは手弁当である。

 収入が得られない。

 そして弦楽四重奏は他の室内楽より仕込みに時間がかかる。

 もしメンバーの誰かが約束していたリハーサルの日に、お金になる仕事を入れる。

 その時から四重奏団の崩壊が始まる。

 一緒に弦楽四重奏をやる。

 それは家族になることなのだ。

(-。-)y-゜゜゜

 家族が見つかるまで指を加えていても仕方ない。

 そう思った渡辺は佐藤たちに2つを提案。

 Ensemble+PLUSを室内楽定期演奏会に隔年ペースで起用。 

 まずは聴衆と顔合わせ。

 そして育成である。

 そのお初に直方市出身、ミュンヘン音楽大学教授の占部由美子との共演をはかった。

 もう一つは福岡市での自主公演でのベートーヴェンの弦楽三重奏曲作品9、全3曲の連続演奏である。

 シリーズ作品を純メンバーだけで時間をかけて研鑽する。

 それに大きな収穫を期待したのだ。

 佐藤たちは回を重ねるたびに、渡辺の予想を上回る実りを聴かせた。

 今年1月、佐藤たちがベートーヴェンの作品9の終曲を弾き終えた時、渡辺は「よくやった!」と叫んだ。

 もちろん叫んだのは心の中だけ。

(#^^#)

 そして2019年度の室内楽定期の起用に際して、佐藤は弦楽四重奏に挑戦することを渡辺に伝える。