【案内⑤】第35回定期演奏会 Ensemble +PLUS
彼女の名前は佐藤仁美。
九州交響楽団のヴァイオリン奏者である。
彼女の命は二人の息子=猫にゃん
そして料理。
4年前のこと。
佐藤は客演に招かれた直方市の演奏会の打ち上げで、ある男より福岡発弦楽四重奏について熱く語り倒される。
その男とは。
当夜の演奏会、直方谷尾美術館室内楽定期演奏会を主催するクァル・オタ(クァルテット・オタクの略)、渡辺伸治である。
( `―´)ノ
佐藤は、九響の同僚二人とのEnsemble+PLUSを弦楽四重奏へと発展させた時、福岡発 弦楽四重奏団としてレギュラーにすると約束をもらった。
弦楽四重奏の願望大ありの佐藤たち。
当然、大喜び。
しかし同時にクァルテット・エクセルシオを聴きなれているオーディエンスの前で演奏するプレッシャーも感じた。
( ;´Д`)
更に、佐藤たちはもう一人のメンバーを見つけられないでいた。
日本人の室内楽活動のほとんどは手弁当である。
収入が得られない。
そして弦楽四重奏は他の室内楽より仕込みに時間がかかる。
もしメンバーの誰かが約束していたリハーサルの日に、お金になる仕事を入れる。
その時から四重奏団の崩壊が始まる。
一緒に弦楽四重奏をやる。
それは家族になることなのだ。
(-。-)y-゜゜゜
家族が見つかるまで指を加えていても仕方ない。
そう思った渡辺は佐藤たちに2つを提案。
Ensemble+PLUSを室内楽定期演奏会に隔年ペースで起用。
まずは聴衆と顔合わせ。
そして育成である。
そのお初に直方市出身、ミュンヘン音楽大学教授の占部由美子との共演をはかった。
もう一つは福岡市での自主公演でのベートーヴェンの弦楽三重奏曲作品9、全3曲の連続演奏である。
シリーズ作品を純メンバーだけで時間をかけて研鑽する。
それに大きな収穫を期待したのだ。
佐藤たちは回を重ねるたびに、渡辺の予想を上回る実りを聴かせた。
今年1月、佐藤たちがベートーヴェンの作品9の終曲を弾き終えた時、渡辺は「よくやった!」と叫んだ。
もちろん叫んだのは心の中だけ。
(#^^#)
そして2019年度の室内楽定期の起用に際して、佐藤は弦楽四重奏に挑戦することを渡辺に伝える。