不妊治療で男性の役割 そして、男性ができること...②
佐久平エンゼルクリニック 政井哲兵先生のお話
2019年1月発行『i-wish ママになりたい 男性不妊の検査と治療』
無精子症の場合は泌尿器科と連携
長野県東信地域には、残念ながら男性不妊の高度医療が受けられる施設がありません。そのため首都圏で体外受精を受けるために通院されるご夫婦もいらっしゃいます。しかし、TESE手術もさることながら、女性の通院も負担も増え、金銭的な負担も増えてしまいます。そこで私たちのクリニックでは、首都圏の男性不妊専門クリニックと連携することで、地元で不妊治療を受けることができるように体制を整えました。
精巣から精子を回収するTESE手術を首都圏の男性不妊専門クリニックで行い、回収できた精子を使って、私たちのクリニックでTESE - ICSIをすることができます。
この方法で、実際に妊娠され、無事に卒業していったご夫婦もいらっしゃいます。
男性不妊でも治療負担は女性に
無精子症ばかりでなく、男性側の原因で不妊治療が必要となっても、現在の生殖医療では、どうしても女性により多くの身体的、精神的負担がかかります。この身体的負担については特に、男性が女性に代わってあげることができません。
でも、男性にもできることがあります。それは、とても重要なことです。
男性にできること
1つめは、禁煙です。
喫煙は、明らかに精子に悪影響を及ぼします。それは、副流煙を吸う奥様の体や卵子にも及びます。禁煙で自然妊娠する程度までの回復は無理でも、体外受精や顕微授精の成功率が明らかに上昇するぐらいに精液所見の改善が望めることがあります。
2つめは、体重のコントロールです。
肥満や極端な痩せでは精液所見が悪くなりますので、BMI値は18・5~24を目指しましょう。
そのほかには、過度の飲酒、睡眠不足、栄養バランスの偏りなどは造精機能に悪影響を及ぼしますから注意しましょう。
これら生活習慣の改善により精子の質が上がれば、仮に体外受精、顕微授精が必要な状況ではあっても成功率が高まる可能性は十分に考えられます。少ない回数での体外受精や顕微授精で妊娠ができれば、それだけ女性が受ける身体的、精神的負担も軽くなるでしょう。
佐久平エンゼルクリニック 政井哲兵先生のお話
2019年1月発行『i-wish ママになりたい 男性不妊の検査と治療』