Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

劇団木霊

『グレート・ギャツビー』/照明💡

2019.05.15 05:16


スタッフブログ第4弾。


今回グレート・ギャツビーで照明のプランを担当しています、柴田大河です。


最初に言っておきます。私は文章を書くのが下手です。だらだらと書いてます。

エッセイ:照明紹介=7:3

だと思って読んでください。



照明は何をするスタッフセクションか、私も未だ明確に答を持ててないですが、簡潔にあらわすならば、光(と影)を使って舞台空間を演出するセクションだと思います。


これは今年の4月に私の下宿先の近くで撮った桜の写真です。(画質が悪くてすみません。)この近くは桜並木があって、4月になるととても綺麗な桜ロードができあがるんですが、それと同時に私はこう思っていました。


「すぐ散るのにこんなに花を咲かせて、しかも花が散ったらすぐ葉を出す、桜よ、お前のエネルギーが怖い。」


桜の樹の下にはではないですが、桜はもしかして不気味なものなのではないかと思っていた時にこの写真の光景に出会いました。


これは前から信号機の緑の光が桜にあたってるだけなんですが、桜の持つ不気味さを私の中により強く感じさせることになりました。


これと同じことを照明は目指しているのだと思います。


際立たせたいところ、見せたくないところ、こう感じて欲しいを光(時には影)を使って印象づける


といった感じなのでしょうか。色々な考え方があるとは思うんですが、私が気をつけたいと常々思っているのは、あくまでも芝居を見せるための照明なのであって、照明を見せるものでは無いということですね。ライブとかならまだいいのかもしれませんが、あくまでもお客様は芝居を見に来ているんだという気持ちでやりたいです。


私の照明論に関する知識の情報源は主にTwitterなんですけど、色々な考え方があります。どれもなるほど、そういう考え方があるのかの繰り返しです。照明は今のところ現場主義によってるところがあり、座学として使える本が比較的古いので(それでも基礎知識としては充分有用なのですが)どうしても現場で働いてる人の声の方が力が強くなりがちなんだと思います。長いものにはまかれるタイプです。

ちょっと話がそれました。さて、劇団木霊の照明班はどんなことをするかというと、公演の度に機材をレンタルしています。早稲田にある照明のレンタル会社とプロの照明家から機材をお借りしています。その機材を使って公演ごとにプランをたてて、実際に機材を仕込んでいって、操作する…といった感じですかね。


こんなものも使ったりします。提灯。これは私が初めて照明として関わった公演のやつです。

まるで宗教画のようなシーン、スモークと呼ばれる機会で煙を出し、そこに照明をあてることにより光の筋をみせることも。美しい。

こんなふうに文字だって出すことができます。ちなみに右の黒い服の人、私です。



今見ていただいた写真、三者三様だったと思うのですが、どれも同じアトリエです。舞台美術によって全然違う空間になっていますよね、演出や衣装も当然違います。それにあわせて照明も変わります。それを決めるのが照明プランナーです。(ようやく本題)


・照明プランナー

稽古が始まる頃に今回はこんな感じでいくよ!というのを演出家と照明プランナーが話し合います。この時の演出家の要望は人によって違います。

こういう色が欲しい!この機材で!スモーク使って!かっこよく!全然わかんないから任せた!(演出家の声)

それに従いつつ、少しずつ今回使う機材を考え始めます。同時に木霊にある機材に問題がないかどうかも確認します。修理できる場合は修理します。劇団木霊が持っている機材だけで足りない場合はレンタルします。大抵の場合、演出家のオーダーは最初と変わります。そのため、必要になりそうなものを少し予想して多めにレンタルすることが多いです。これはもうしょうがありません。だって稽古をやればやりたいこと変わりますもん。しょうがない。そのため、稽古を見に行ったり、通しを見たりしながらプランを少しずつ変更、改定、確定させていきます。

本番が近くなってきたらプラン打ちを演出家とします。これは最初にやった話し合いよりも濃密に話します。ここはどこ?時間は?どういう雰囲気にしたい?などなど、ここでプランが確定できるようつめていきます。

プランがある程度決まってきたら、今度はそれをどの灯体でどう照らすかなどプランを実現する部分を考えます。照明は機材、吊り方、当て方、照らし方、光量、色等ひとつ変わるだけで見え方が変わるものが沢山あります。多数の方法から1つを選択します。この探究こそが照明の醍醐味だと思います。探究には知識や経験、センスが問われてくる部分にはなるので普段の生活から知識を蓄えるようにしています。舞台を観る、ネットの照明に関する記事、照明の本など色々参考に出来ると思います。

 本番が近くなると、どこにどの灯体を吊るかを図で示します。この図をを仕込み図と言います。これを書く意義は自分でやりたいことを確認できるのと他人に伝えられることです。というかこれを元に色んな人と吊り込むので超重要です。これを綺麗にかけるようになりたい。

吊り込みが終わるとパッチ、シュート、明かり作りとやります。(説明は省きます。知りたい人はそれぞれ調べて見てください。)

無事明かり作りが終わるとプランナーの仕事は終わりです。ここからはオペレーターの仕事。


・照明オペレーター

オペレーターは芝居にあわせて照明を操作する人をさします。プランナーからどのタイミングでどう変えるかを教えてもらい、実際に操作します。操作のやり方は調光卓という機械を使って動かす場合と最近ではパソコンやiPadを使ってやることもあります。が、木霊は依然調光卓を使っています。パソコンやiPadの方がすごく聞こえますが、やってることは何も変わりません。私は調光卓でやる方が好きなタイプです。


オペレーターは本番とその前1週間くらいからが忙しくなります。

照明や音響が変わるタイミングや、なにか仕掛けが動くタイミングのことをきっかけと呼ぶのですが、それをさらっていく場当たりやゲネプロといういわゆるリハーサルを経ていよいよ本番です。私は役者をやるよりオペレーターの方が1つのミスなくやらなければという気持ちになり緊張します。役者のときはたとえミスがあったとしてもそれを挽回するチャンスはどこかにありますが、オペレーターのミスは命とりです。こわい。でも役者や音響とタイミングがあった時の気持ちよさはすごいです。役者の言い方の微妙な差異だったり動きだったりできっかけのベストタイミングって微妙に変わるんですよ。プランナーの指示と少し違ったとしてもその場にあった照明変化をやった方がいい時もあります。(もちろんその逆も)

芝居をみながらきっかけのタイミングを考えたりするので結構客観的な目は必要かもしれません。オペレーターも経験とセンスと知識と言えるかもですね。



舞台照明は空間をみることを求められるセクションではあります。そのため普段の生活の仕方も1歩引いた見方をしちゃいます。職業病みたいなものです。あと劇を観に行った時に上に吊ってある灯体をみていつどう使われるか予想しちゃいます。職業病みたいなものです。でも楽しいですよ。


特に面白いこともいえずだらだらと書いちゃいましたが要点をまとめると


・照明は舞台を光と影で演出する

・プランナーとオペレーターがいてプランナーがプランをたててオペレーターがそれを実行する

・照明をやると1歩引いた見方(客観視)ができるようになる(気がする)。


といったところでしょうか。もしこれで照明に興味を持っていただければ幸いです。


本公演の『グレート・ギャツビー』では、照明がどう生きてくるのかも見て欲しいなと思います。


それではこの辺で失礼します。最後まで読んで頂きありがとうございました。ここまでちゃんと読んでいただいた方には公演を見に来てくれた時になにかあげますのでぜひお声がけください!



 

劇団木霊   柴田 大河