春の北海道大縦走
【日程】2019/04/27-05/04
【メンバー】玉木(他2名)
【レポート】
北海道縦走行ってきました、残雪期に。今年のGWは10連休。毎度のパートナー長野さんもモレナク10+α連休。去年リタイヤし北海道在住の安井さん3人で、大雪十勝の縦走を計画する。私は、前日までギリシャでクライミングだったが、モスクワ乗り換えに乗れず、当日帰国となる。なんとか雪山装備を調達し、成田から慌ただしく北海道へ飛んだ。
連休前の26日、この日の入山は控えて頂いた。翌日27日も旭岳ロープウェイから石室までの行程。やはり時差ボケ、2.5ヶ月ぶりの山歩き。体は正直だ、息が上がる。腿がパンパン。この小屋は綺麗で快適、後続はいなかった。綺麗な雪山を堪能+ビールで入山祝い。
28日快晴、3時起床4:45発。この登りでテキメンについて行けないと実感。弱音ボロボロ。6:55旭岳山頂、ここからは離されまいと喰らい付く。鞍部に下り、御鉢巡りになったら突風だ。芯まで冷えないのが救いだが、休憩したいよぉ。なんと4人Pとすれ違った。北海岳を越え白雲小屋に10:15着。当初はここまでの計画だが、後半の悪天を考え先を行く。私の体も順応してきたようだ。ハイマツ帯のだだッ広い雪原や、雪無し夏道、腐れ雪の落とし穴を駆使し15時忠別小屋に辿り着いた。10時間行動、担いだ氷結のうまいこと。2階の窓を掘り起こし、狭いが暖かい夜を過ごす。
29日快晴、3時起床4:55発。一登りでトムラウシがドーンと飛び込んできた。感動の瞬間。夏道通しでなく巻いてみるとヒサゴ沼に出てしまうが、絵になる場面だった。ここも北面は突風だが南面に回ると、夏を感じる程。空身でピストン、トムラウシGet!11時。どこにもトレースはない。三川台に回り込むトラバースがいやらしくアイゼンを装着。夏はあの高台をお花畑の中歩いたなぁ。今日は三川台までの予定が、5人Pとすれ違う、ラッキー!トレースがある。三川台はショートカットしたらしい。当然、跡を追う。鞍部の平にテント張って、行動終了13:30。小1時間お外宴会を満喫。
30日晴れ曇り。今日は12時間行程?で2:30起床、4:20発。夏道は稜線通しだが、小ピークはトラバースで巻く算段。腐れ雪なのでノーアイゼンだが急斜面のトラバースは緊張する。案外、時短にはならなかったようだ。で、最難関オプタテシケにとりかかる。いや~でかいのなんの。眺めるには良いが、どこを登ろう? 先の5人のトレースを追い左へトラバースする。風が出てきた。もうトラバースでなく直登しよう、でピッケルを出す。アイゼンは履ける状態でもないし、腐っているのでトップでなければ我慢できる。でもこの勾配、滑ったら止まらんなぁ。緊張で喉が渇く、風に体が浮き焦る。トップの安井さんはまだまだ高みを行く、まだかよぉ~。歩いてみると結構長い斜面だった。赤布もあったが、なんとスキー跡があった。ここ滑ったのぉ~?でやっとこ腰を下ろして休憩、12:30オプタテシケ山頂。いやはや、楽しませてくれるねぇ。また痩せ尾根なのでアイゼン着けて先を行く。最後のピーク石垣山は右から巻いて念願の美瑛富士小屋に14:50到着。真っ先に大の字になって体を休めた。ふ~口も利けないほど疲れてる。明日は停滞かな?休憩後、ドアを掘り起こし水を作る。もうテント設営、ダウンに着替え、水作り、は日常的になってくる。夜半から雪になったようで小屋内まで吹き溜まってる。
1日 夏タイムで5‐6時間なので、4時起床、視界もあるので小屋の除雪をして6:45発。稜線にでたらハイマツ地獄で難儀する。遊びすぎのツケ、風邪が抜けきれずトップは始終任せっきり。お二人さんご苦労様です。青空も見え隠れしたが、今は真っ白。美瑛富士も美瑛岳もピークはカット。この辺りが最も寒く、ホワイトアウトで心細かった。二人が王子様に見えた。この美瑛~十勝が、唯一夏道でつながってないルート。時に杭があるのが安心だが、上部はホワイトアウトで判然としない。GPS、コンパスで慎重に行く。この雪庇は、真の稜線じゃない。これを下るのはおかしい、上を目指そう等など。すると道標が出て安堵する。が、日々の疲れと、踏み抜きで遅々として高度を稼げない。黄色い硫黄がかぶった雪面は見えるが、十勝はまるで見えない。高い方高い方へ進み13:30やっとこ十勝岳山頂。風を避け小休止。1時間チョイでカミホロ小屋に着くはずだ。しかし風は強く雨まで降ってきた。いくつかのピークを落とし穴に苦戦しながら越え、ガスった中に小屋が浮かんで見えた、14:45。これで休める!2階から侵入したが1階は吹き溜まりの雪柱になってる。毛布も使わせてもらいヌクヌクのテント設営、着替え、水作り、1階の除雪。明日は崩れる予報。
2日視界はあるが風と雨。明日には前線が抜ける予報なので、停滞決定。10時にラーメン食べて16時に夕食以外、ひたすらに眠ってた。
3日強風。9時には空身ピストンできるよう準備するが一歩も外へ出られない猛吹雪。12時まで粘るが一向に回復の兆しなし。停滞決定。眠れもしないが横になるしかない。小屋が浮くくらいの突風で“遭難”が頭をよぎる。明日晴れてくれ~~
4日3時起床5時発。完全縦走のためにどうしても富良野岳にこだわった。そこからのトラバースを懸念しピストン後、ここから下山が有力だった。しかしこの風雪で雪は固く締まり雪崩もなかろう。朝一には出発しよう、で外に出ると眩しい太陽がサンサンと降りそそいでた。十勝の全容を初めて見た。綺麗で格好良い。3泊お世話になった思い出のカミホロ小屋、お掃除して出発。待った甲斐があった~が合言葉。済んだ青空のもと、心も足取りも軽く稜線漫歩。分岐から空身で富良野岳GET、8時。固い握手を交わす。大雪からの70kmのロング縦走達成。下りに入ると気温はあがりハイマツ地獄に苦しめられる。晴天のGW、たくさんの登山者があがってくる。これでルートも安心、トレースを使わせてもらい11:45下山する。今夜はキャンセルのおかげで入れた白銀荘泊まり。自炊宿なので凌雲閣でビール生姜焼き定食で乾杯。毎日棒ラーメン、ジフィーズだもん。死ぬほど美味かった。で、白銀荘で2時間入浴+洗濯。車回収に行った安井さんを19:30に迎え入れ、刺身+日本酒で打ち上げ。極上のヒトトキだ。これまた山歴史に残る山行ですわ、お二人様、感謝します。
報告 玉木