アジア進出する中小企業が必ずやるべきリスク管理のマニュアル
【ビジネス ニュース】 平成二十八年三月十四日に経産省(大臣:林幹雄)は、『中小企業のための海外リスクマネジメント(RM) ガイドブック』を公開した。中小企業が海外進出し撤退した事例等を統計し、特にアジアにおけるリスクを中心にまとめられている。既出と新出の中小企業が対象だ。アジアにおいては四段階で中小企業のリスク認識度が表になっており、取締役や担当者は有用できる。
テンプレートを含む百十四頁ある本ガイドブックは詳細版とし、二十四頁の簡易版「海外リスクマネジメントマニュアル」に大別される。後者について冒頭で海外RMの取り組みを三段階(計画・手続き・操業)に分け説明。RMの調査項目は以下の十三項目。
- インフラ・物流
- 資金調達
- 外資規制
- 環境規制
- 社会(慣習・文化・宗教等)
- 取引に関する法律
- 知的財産権に関する法律
- 税制
- 労働に関する法律
- 政治・経済
- 治安
- 自然災害
- 衛星・医療
次に自社のリスクの確認だ。チェックリストがあるので、簡易に把握するコトができる。前者の詳細版では、より精緻なリスク評価や、重要リスクの決定方法、各リスクの対策の概要等が記載されている。簡易な自社リスク確認項目は以下の六項目。
- 調達
- 生産
- 販売
- バックオフィス
- 社会
- 自然災害・感染症
後者の簡易版の末尾には海外RMにおいて支援が可能な外部及び公的機関も表記。困った際の連絡先や相談窓口が記されている。
<最初からDは避けるべき>
中小機構(理事長:高田坦史,画像引用)では、前者の詳細版を分解した資料群が用意されている。中でも「各国別リスク事象一覧」の“リスク認識”と“各国別シート”は重宝するだろう。アジア十二ヶ国を四段階(A~D)に分類し、先のRM調査十三項目に対応させている。それに因れば、最もリスクが低いAが付いた国はシンガポールのみ。最もリスクが高いDが多い国はミャンマーとなった。Dが付いてない国はシンガポールを含め六ヶ国。
当該資料群が優れている理由として単なる危険通知に留まらず、順応策や打開策へ導く“各国別シート”の留意事項が、自社リスク確認六項目に対応し記されている点が挙げられる。当該資料群が更新されない限りは、中小企業の海外進出にあたり最も重宝するモノであるだろう。
(了)