キングコング・西野亮廣が堤大介監督と共にエンターテイメントについて語る!「お客さんをいかに主役にするか」
5月20日、EJアニメシアター新宿にて開催中の『トンコハウス映画祭』で『キングコング西野亮廣氏×堤大介監督「エンターテイメントを創る理由」上映&トークイベント』が行われた。
上映会が終了後のトークイベントの冒頭で西野は「本当に良かった!最高!」と上映された作品を絶賛。
更に感想を聞かれると「自分の人生と照らし合わせて見る事が多くて。最近は無くなりましたけど、日本中からバッシング浴びたりした事があったものですから、そういうのを思い出す『ダム・キーパー』は泣いちゃいますね。」と印象深い作品の1つに堤が監督する作品をあげた。
堤は、西野の活動について「僕らが目指している所の最先端を行っている人」と賞賛し「今後のエンタメはどうなると思いますか?」という質問を西野へ投げかける。
西野は「エンターテイメントの形を変えたのはインターネット。もっと具体的に言えばSNSだと思っています。SNSが広まる前は技術が高い物がクォリティーが高いという風に思われていたんですけど、SNS以降はお客さん1人1人が主役になれる、発信者になれるので、クォリティーが高いという事は、お客さんが参加出来る余白がデザイン出来ている事、お客さんをいかに主役にするかという事に変わったのが大きいと思います。だから自分が物を作る時も、作る段階からお客さんを巻き込んで一緒に作り手側にしていきます。」と持論を展開。
また炎上や、批判を受ける事については「自分の事で言えば7年くらい前にクラウドファンディングをしたって事で炎上したんです。まだ日本で根付いていなくて良かれと思って、こんな物があるよって提案したんですけどね。最近思うのは「知らない」という事と「嫌い」という感情は極めて近い所にあるという事。人は知らないものを嫌いたがるというか。だから新しい事をする時には嫌われるというのはある程度仕方がないと割り切って考えていますね。誰かがバッシングの対象になって誤解を受ける立場でやらないと、いつまでたっても未来が来ないので。」と、次々に展開される西野論に堤も観客も興味深そうに耳を傾ける。
西野の「ディズニーを超えたい」という発言についての話題になると、堤が「超えるとはどういう事か?」と質問を投げかける。これに対し西野は大きく分けて3つあると話す。
「1つ目は、TVで活躍していた時に、視聴率とかで考えたらざっくり毎週4000万人が僕の事を見てくれていたんですね。だけどTVに出れば出るほどライブの集客が落ちていたんです。つまり「認知」と「人気」が比例していなかったんです。何故かって考えた時に、お客さんの中で僕の物語が終わっちゃったんだなって。最初は「西野はとんでもない所へ行くかもしれない」という事で応援してもらっていたにも関わらず、TVに出てからは、番組の中で結果を出す、そして大御所を超えるとか大きな事を言わないようになっていって、それで皆は「あー、何となくそこら辺に留まってしまう奴なんだな」って。物語が終わっちゃったから応援する理由が無くったんだと思ったんです。だから物語を終わらせてはいけない。しばらく終わらない所に旗を立てようと思った時に「上って誰だろう・・・ディズニー!」ってなって。「ディズニーを倒す!超える!」って言っちゃったら、しばらく終わらないじゃないですか?それが1つですね。」
「2つ目は、オンラインサロンをやっていて今、2万5000人くらい会員がいるんですけど、毎日入会者と退会者が出るんですよ。興味深いのが、プロジェクトが立て続きに上手くいってると会員が減るんです。そしてプロジェクトが上手くいくかどうかは関係なく調整している時は会員が増えるんです。つまり「来週どうなる?」っていう状況を作り続けていれば応援してもらえるんです。これはアニメ―ション、映画、ドラマ、漫画など全て一緒で、キャラクターが応援してもらわないといけない。そういう時に失敗は必要であると思うんです。目標を立てないと失敗が可視化できない。だから、大きく目標をかがげて、ちゃんと負けている所を可視化した方が応援してもらえるんです。それが2つ目の理由ですね。」
「3つ目は、シンプルにディズニーが好きだという事です。1番好きなので、だから超えたいという事があります。」
この話しを聞いて堤も「解りやすいですね。」と感心している様子であった。その他にも様々な話を展開する中で2人には多くの共通点があったようで、このステージ中に親交が深まっていく事を感じるトークステージとなった。
最後に観客からの質疑応答で「忙しい西野さんがこのイベントに出演しようと決めた理由はなんですか?」と問われると西野は「ファンだからです。単純にこの人が面白そうだと思ったからですね。ちゃんとエンターテイメントで戦っている人だからリスペクトしています。今度飲みに行きましょうね!」と話すと堤も「はい、聞きたい事がまだ沢山あるので!」と答え、2人が意気投合する中、トークイベントは終了した。
文:山岸一之
写真:谷利沙紀