Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

「かゆみ」コラム 〜愛知県春日井市 みやこ内科クリニック〜

雷雨アレルギーについて

2019.05.22 11:26

雷雨アレルギーについて

急に肌に違和感を起す。

いつも使っている化粧水や保湿剤がピリピリする。

そのきっかけになるのが、雨が降った後に強風が起こったとき。

その原因についての論文があったので、まとめました。

ちなみに、喘息は呼吸器がかゆみは皮膚が炎症を起すので。

喘息の方は皮膚の炎症を起しやすいので調べています。


The literature suggests epidemic thunderstorm asthma occurs due to a complex interaction of patient and environmental factors. Patient factors include previous aeroallergen sensitization and a previous history of allergic rhinitis. Environmental factors include high concentrations of respirable aeroallergens in the atmosphere and thunderstorm outflow tracts that produce downdrafts containing these aeroallergens.

和訳と要約

「文献では雷雨喘息は患者の要因と環境要因が含まれて起こると書いている。患者要因は空中アレルゲンに反応するそしてアレルギー性鼻炎の既往がある。環境要因は空気中に高濃度のアレルゲンとアレルゲンを含んだ下降気流です。」


アレルギー体質の人が、雷雨でアレルギー物質をたくさん含んだ風を浴びると雷雨喘息が起こる。

それはそうって納得ができますが。

これがどれほどのものか。

On 21st November 2016, Melbourne experienced an epidemic of ‘thunderstorm asthma.’ Although previously described in the literature, risk factors and natural history remain incompletely understood.(1)

和訳と要約

「2016年11月21日にメルボルンで雷雨喘息が大きく広まった。文献では以前から言われていたのに、リスク要因と自然の歴史は完全に認識できていない。」


この可能性について言われていたけど、それについて対策ができておらず。

メルボルンで雷雨喘息が大規模に起こってしまった。

日本でも、黄砂や花粉などアレルギーが多く偏西風もあり風が強い。

起こる可能性は十分あります。

In this study of 263 respondents out of 344 patients presenting to ED with thunderstorm asthma, 58% had no asthma diagnosis. However, 53% of these had a history suggestive of probable undiagnosed asthma. (1)

和訳と要約

「雷雨喘息344人の患者のうち263人の回答者、58%は喘息の診断は受けていない。ただ、このうちの53%は喘息未確定の診断を受けている。」


喘息と思っていなかった58%の人は、いきなり喘息を発症した。

今までなかったので、対応ができずに運ばれたというのが雷雨喘息です。

ただ、雷雨が起こったら喘息が起こるのかというと。

タスマニアで雷雨喘息について研究したら、5年間起こっていないという研究結果も出ています(2)。

なので、雷雨が起こったら喘息が起こるとは限らない。

オリンピックで大気汚染がわかったのコラムでも書きましたが。

日本の花粉はスギがメインなので2月、3月、4月にピークを迎える。

黄砂の時期は3月、4月(ピーク)、5月。

4月のピークの時が重なるわけです。

この時期に雷雨が起こったらアレルギーを起こしたことがない人も起こる可能性があります。

アレルギーじゃないって思っても、雨が降って風が強かった日に顔がピリピリしたら。

要注意かもしれないです。

風が強い日は、長袖を着るなど肌の露出を少なくするなど工夫をしましょう。


目次へ戻る


今回の引用文献

(1)An epidemic of thunderstorm asthma in Melbourne 2016: asthma, rhinitis, and other previous allergies(海外論文サイトへ飛びます)

日本語題:メルボルン2016年における雷雨喘息の流行:喘息、鼻炎、およびその他の以前のアレルギー

著者:Kanishka B. Rangamuwa, Alan C. Young, and Francis Thiencorresponding


(2)Evaluating the Risk of Epidemic Thunderstorm Asthma: Lessons from Australia(海外論文サイトへ飛びます)

日本語題:流行性雷雨喘息のリスク評価:オーストラリアからの教訓

著者:Sharon L. Campbell,Paul D. Fox-Hughes, Penelope J. Jones,Tomas A. Remenyi, Kate Chappell, Christopher J. White and Fay H. Johnston